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また、来年の春に

春の宵風に桜

香しき匂いを放ち

(いざな)われ二人きり


あなたと手をつないで

浮月橋を渡り

橋の頂で

夜を見上げる


春の月を見上げ

隣に立つあなたを見上げ

私は握る手を強む

あなたは私に気づいて

愛おしく優しく微笑む


「きれいだね」


今この瞬間

あなたと同じものを見ている

あなたと同じ想いを抱いている

それがたまらなく尊くて嬉しくて

ただただ無上に悲しい


会える時は一瞬で

別れの時も早くて


「また、来年の春に」


あなたは春の蜃気楼

桜と夜の香りが纏う幻

霞みのようにあなたは消え

私もまた降り出した雨とともに

ゆっくりと消える


けれど

『また、来年の春に』

そう約束しているから

来年も会える


私はそれまで

桜の根元で眠る

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