黄金の愛娘―カルガネイラ―
太陽と山々が 黄金に染まった日
神々の喜びとともに きみは生まれた
命の輝きをまとい 全身で産声を上げた
神々の加護がなくなりし時
私たちは神々に生贄を捧げる
再び儀式を行うことが決まった
捧げ物として選ばれたのはきみ
十二歳に成長した私の娘
聖なる穀物と聖なる水を食べ
その身を神聖なものとしていく
そして神葉の茶を飲む
きみに苦痛がないよう 怖くないよう
意識を少しずつ眠らせていく
やがて瞼は落ちて その息も止まった
美しく華やかな衣装と布に 幾重にも幾重にも巻かれ
ついにその寝顔も隠された
最期母に抱かれて きみは白雪の中に眠る
神々の元へいったのだ
ああ ああ……
泣き声も叫び声も 一切言葉にならず
どんなにどんなに愛おしくても
きみは神々のものとなった
だから──
きみを忘れない
生まれた日 名前 月と星の座 太陽の柱
私は石板に 妻は刺繍に
きみの生きた証を刻む
きみを忘れない
その顔を 呼び声を 命の輝きを
たとえ この身朽ち果てようとも
たとえ この命が消え去ろうとも
きみの生きた証は残る
山々の神々とともにきみは眠る
いつか この地から人が消えようとも
いつか 神々が夜に隠れようとも
きみは山々の中で眠る
きみを忘れない
『カルガネイラ』──それがきみの名
太陽と山々が黄金に染まった日
きみが生まれた日
私と妻の愛しき
ただ一つの命の証
黄金の愛娘
きみは永遠に在り続ける




