33/136
何度でもあなたに会いに行く
便利な世の中になった
パソコンがあれば
いつでもあなたに会える
子どもが私のために
古いビデオテープの映像を
動画としてパソコンに保存してくれた
機械なんてさっぱりわからず
子どもの説明も理解できず
突然画面の中に 若い頃のあなたが映った
「洋子見てみろ。ほら、かわいいだろ~」
撮影している私に語りかける 声
二度と聞けないと思っていた あなたの声
ころころと変わる表情
生きているあなたがいる
思わず食い入るように見つめていた
場面は変わって
カラオケで得意顔で 調子っぱずれな声で歌うあなた
息子の幼い顔を手で丸め 団子顔なんて言っているあなた
誕生日に ケーキのろうそくが一息で消せなくて やり直そうとするあなた
写真の思い出も とても捨てがたいが
画面の中に 生き生きと映るあなたがいる
だから私は 何度でもあなたに会いに行く




