17/122
おやすみ
あなたの隣で眠らせて
あなたさえいれば何もいらない
だからどうか眠らせて
けれど
あなたの瞼が開くことはない
唇が言葉をつむぐことはない
すでに去った生命の温もり
今あるのは過去の愛
そのはずだったのに
瞼が開かれ 私を見つめる
起き上がり 私をかき抱く
愛おしげに 微笑むあなた
まぼろしか都合のいい夢か
あなたは「ともに眠ろう」と告げてくる
私は涙を流しながらうなずいた
あなたは私の涙をぬぐい
口づけしてくる
紛れもなき
あなたの冷たい温もり
あなたの変わらない愛
私はただ満たされる
深い深い愛と熱に包まれながら
あなたと私は向き合って横になる
ずっと訪れないでいた
暗いけどやさしい眠気が襲ってくる
あなたは私にささやく
「おやすみ」
「……おやすみ……なさい……」
私も返して
心地よい眠気に身をゆだねる
最後の最期まで
あなたの存在を感じながら
私たちは今度こそ
二人で永い眠りにつく
それはもう 誰にも邪魔されない
二人きりの世界




