13/122
許されざる恋
夜空を照らす月
揺らぐ水面に 照り映える光
小さな灯の小舟に乗り
あなたとの逢瀬を楽しむ
お互い瞳と笑みは重なれど
指先にも髪の一房にも 触れることはない
決して交わらない愛 決して許されない恋
月が見下ろす闇 暗き湖上で 私とあなただけ
どうか 儚き夢を見させて 甘い幻に酔わせて
二人だけの世界で ただ──あなたを感じていたい
人は愚かで罪深いと責める
浅ましくふしだらと顔を歪める
わかっているの
私は遊女 あなたは皇子
この逢瀬は毒の蜜
身分違いの恋に幸せはなく
決して結ばれることもない
だからこそ
あなたの前では涙を見せないの
見送る時 私は艶然と微笑む
どこにもない再会の約束
今宵が 今生の別れになるかもしれない
それでも──
私はずっとお待ちしております
あなたを慕っております
また月が照らす夜に会いましょう




