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墓守の天使
廃墟の地下には 広大な墓地
清浄なる空気に満たされ 数多の死者が眠る
魔法の明りで仄かに照らされ 周りは静かに美しい花々
大きな墓碑に刻まれた 痛ましき国の歴史
栄華の果てに 大国は戦場となり 多くの民が亡くなった
鎮魂の鐘が鳴る 一人の天使が舞い降りる
彼女は一つ一つ墓に 花を供えていく
最後の女王は天使となり 墓地を司る守護者となった
驕りの果ての罪を忘れるなかれ
喪われた命を忘れるなかれ
私が人であった頃の すべてを忘れるなかれ
彼女は墓碑に向かい 復唱し誓約する
それこそが自分にできる 最大の償い
そして──
天使は静かに飛びたち 墓地は静寂に包まれた




