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命と名づけ
一に生まれし
眩き光と暗き闇
幾つにも割れて 弾けて広がり
重なり重なり 交わり交わり
混ざって削られて
溶けて澄みわたる
白と黒 銀と紫 金と青
夜 朝焼け 昼 夕焼け
月と太陽の狭間
さまざまな色でたゆたう
虹色の海を泳いで
少しずつ 沈んでいく──
ゆらゆらとゆらゆらと
定まらぬ形よ
くるくるとくるくると
まわる珠よ
きらきらときらきらと
輝く灯よ
しんしんとしんしんと
深き影よ
少しずつ
すべてを飲み込み覚えて
形を成していく
役目を定めていく
初めて世界に
産み出されるもの
人はそれを
命と名づけ
魂と呼び
生を歩き死で眠る




