108/137
陽獄・暗獄
【陽獄】
あの日
満月が砕けた
星々が弾けた
夜空に亀裂が入り
見たこともない
強い強い光と熱が
世界を帯びた
闇が焼ける
影が揺らぐ
人や街 森や山は溶けて
燃えて燃えて
どろどろに溶けて
でも死ぬことも
消えることもできなくて
真っ白で眩しくて
暑くて熱くて
月の代わりに
陽がすべてを覆った
かつての常夜は
灼熱と焦熱
どろどろに溶けた
生き物たちが
犇めき合う
陽獄である
【暗獄】
あの日
陽が消えた
雲が濁った
青空が黒くなった
見たこともない
深い深い闇と雪が
世界を覆った
光が消える
熱が失われる
人や街 森や山は雪に覆われ
凍って凍って
かちこちに固まって
でも死ぬことも
消えることもできなくて
真っ暗で冷たくて
寒くて震えて
陽の代わりに
闇がすべてを覆った
かつての常光は
真闇と氷雪
固く凍った
生き物たちが
全く動けない
暗獄である




