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色彩王国物語

何を描こうかなその空間。真っ新な世界(スケッチブック)

誰にも邪魔されない、わたしの空想(魔法)は、世界の創造()となる。

必要な道具も描けばいい。すべては自由だから。


木黒晶(えんぴつ)。空間を形づくる一本線。

線をすばやく調子よく走らせて。

描くものと配置が決まれば、それは世界の柱。


白水晶(消しごむ)。空間から余分なものを消す。

いらない線は調和を崩してしまう。

世界をより美しく映すために。

木黒晶と対をなす。

 

色彩花(えのぐ)。多くの色を集めた幻想花。

一枚一枚、花びらの色が異なる結晶石。

美しく明るく温かく、暗く汚く冷たく。

時に喜び、怒り、泣き、楽しく、苦しく。

あらゆる人の心を動かし自在に操る。


花びらの皿がついた大きな色創板(パレット)

多彩を生み出す一枚板。

乗せることができるのは、十の色彩花(絵の具)だけ。


不思議な木毛(ふで)。木と柔らかい毛でできた箒のよう。

ひとたび木毛(ふで)を動かせば、あらゆるものを彩り染める。

これがなければ、世界は輝けない。


清らかな流れは澄みわたり、常にあふれる光の泉。

道具を洗い、色に濃淡を与える変わった水。

この水は黄桶(きおけ)でしか汲みとれない。

黄桶(きおけ)は壊れやすく、いつもどこかに転がっていく。


すべてがそろえば、楽しい時間の始まり。

さあ、世界を彩ろう、彩色の宴。


空は青く、雲は白く、太陽は赤く。

大地は茶と緑に溢れ、支えるのは世界の中心にある、一本の大樹。

巨大な樹と満ちる緑葉。根元には小さき新芽。


大樹の近くにはお城を描こう。薔薇と蔦がおおう白亜の城。

空には虹の架け橋、空中庭園。

お城に住まうのは、聡明な虹の女王と勇気の騎士。

そして、二人の娘の幼き薔薇姫。


城の周りには、家とお店と人を描こう。

虹の女王を愛する人々の、笑顔が絶えぬにぎわう街。


片隅には高き山と深い森。山は白く、森は黒で染めよう。

山に住まうのは、誇り高き白き牙狼。

人嫌いで冷厳で、だけど見守るやさしさを秘める。


森に住まうのは恐ろしき影の魔女。

やきもちでいじわるでみにくい老婆。

しかし、内気でとても哀しい寂しがりや。

誇り高き白狼は、影の魔女に静かに寄り添う。

影は虹を嫌い、故に美しさを引き立てる鏡。


光の泉。その場所を知るは、明の才媛と彩の賢者。

賢者と才媛は互いを艶め、持ちつ持たれつ。

離れぬことが出来ぬその関係。


最後に、大好きなお花を描こう。

大きな虹色花(ゆうさいか)。茎は金、色花片は虹の七色。

小さな白黒花(むさいか)茎は銀、色花片は白と黒と『  』。

二つ合わせて美しき色彩花(しきさいか)

どちらも欠けてはならぬ世界の宝。花を守りしは、虹の女王と影の魔女。


いつか わたしの分身に掛けた呪いが解かれた時。

真の姿を映す、白黒の荘厳の美。

その時、すべてが永く輝き放つだろう。


そこは色彩王国。わたしが描く幻想世界。

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