浮気されたので婚約破棄した結果
「王子これはどういうことですか!」
私、セリーヌ・マキエラ侯爵令嬢はアウグスト王子に怒っていた。それもこれも王子が浮気していたからだ。お相手は確かマース男爵の令嬢です。
「どういうこともお茶会をしていただけだけど」
「それは見ればわかります! そういうことではなくどうして私という婚約者がいながら1対1でお茶会をしているのですか!」
そう、私と王子は婚約している。それなのに他の女、しかも男爵家の令嬢などという身分の低いものとお茶会をするなどあってはならないことです。
「それはレティシア嬢に助けられてね。その感謝を伝えるために呼んだんだよ」
「だとしてもわざわざお茶会をしなくてもいいではないですか! それに人払いしてまで!」
私だって二人きりでは数えるほど、それも小さい頃だけで最近ではお茶会をしても来てくださらないのに。しかも男爵家ごときにわざわざ会って直々に礼を言うなどおかしい。きっと浮気に違いないわ。
そう思ってマース家の令嬢をよく見る。背は小さく流行りの遅れたみすぼらしいドレスを着ている。顔立ちは整っているがそれだけだ。美貌も財力も権力も私の方が圧倒している。
「それにしてもそんなみすぼらしい格好でよく王子の前に出てこられたわね! 恥ずかしいと思わないのかしら」
「セリーヌ嬢、そこまでだ。彼女は私が呼んだんだ。それなのに侮辱することの意味を考えたほうがいいよ」
く、確かにそれはまずい。
「それとどうして呼んでないのに君はここに来たのかな?」
「それは親切なメイドが教えてくれたからですわ。王子が逢引きしていると」
「別に逢引きではないけどね」
「噓ですわ! ならなんで私に何も伝えてくれなかったのですか!」
そう、教えられて下されば別によかった。それなのに何も教えてくださらないからこんなに怒っているのだ。
「別にそちらの方が好きなのなら婚約破棄してもよろしくてよ」
「ならそうしようか」
え、何を言われたのかよくわからなかった。しかし徐々に理解すると頭に血が上った。私との婚約を気軽になかったことにしようと言われたのだと。
「わかりましたわ! せいぜい後悔しないことね! それではごきげんよう!」
そう言って私は足早にその場を去った。
「これでよかったのですか?」
そう言って目の前の王子様に問いかける。
「ああ、よくやってくれたね」
実は今回のことは仕組まれていたことです。詳しいことはわかりませんがマキエラ侯爵家に復讐ができると聞いて話に乗りました。
何故私が侯爵家に復讐がしたいのかというと、実は私は侯爵家の子供だからだ。戯れに産ませて捨てられるなど色々あったからだ。
しかしそんなことができる力がないため諦めていたところに話を持ってきたのが目の前の王子様だ。
「しかしこんなことで復讐になるのですか?」
「実は侯爵家は今財政難に陥っていてね。それで色々と悪事に手を出しているから婚約をなかったことにしようとしたんだけど、あちらから言わせたかったんだ。そっちのほうが王家が受けるダメージが小さいからね」
そう王子が言うが別に王家の事情はどうでもいい。悪事に手を出しているのはどこの家でも一緒のはず。そんなことで復讐ができるのか聞くと、
「どうやら禁止している奴隷にも手を出しているからそれが見つかれば没落はまぬがれないよ」
と答えられたので復讐ができそうだと安心した。後はお茶を楽しんでから帰宅した。
それから1か月ほどたつとマキエラ侯爵家は没落した。ざまあみろ。
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