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謎の反転
ハルゼー大将率いる米国海軍空母機動部隊は、まんまと囮にかかった。さぁ、引っ張り上げろと、小沢艦隊は全力で、ルソン島沖を離れ、敵艦隊を北方に引き寄せた。
と、ここまでは良かった。ここで栗田艦隊は何度も言う様だが、太平洋戦争の謎の一つとして有名な180度反転をしてしまう。25日正午頃、砲撃開始前に、何故か栗田艦隊はレイテ湾突入を止めて、くるりと反転し、戦場を去ってしまった。
その時の様子を米国側の司令官であった、米国海軍のクリフトン・スプレイグ少将は、回想でこう語っている。
「自分の眼を信じる事が出来なかった。しかし、日本艦隊は一艦残らず、私の眼で見る限り、退却している様であった。……戦闘で疲れきった私の頭には、敵艦隊反転の事実が素直に受け入れられなかった。その時までに、私が考えている事と言えば、いつ泳ぐかと言う事だけであった。」
神の助けと言うものは、本当にあるのだと言う事を、十字を切って祈らずにはいられなかった、クリフトン・スプレイグ少将であった。




