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治三郎の意図・栗田健男中将の勘違い
栗田健男海軍中将の元には、「北方に敵機動部隊あり。」と言う南西方面艦隊が発したとされたこの電報を信じていた。
「これと雌雄を決する為、反転した。」
と、戦後来日した米国戦略爆撃調査団に事情を説明している。しかしながら、件の電報は発信者・受信者共に不明。戦艦大和の電報綴りにも残っておらず、南西方面艦隊にもそんな電報を打った記録はない。
栗田健男中将は、作戦失敗の理由を聞かれて、
「通信の欠落による。」
と答えたが、その事実は全く異なるモノであり、栗田健男中将が乗艦する戦艦大和には、4本の電報は達していた。通信が混乱して不確実だったと言うのなら、北方に敵機動部隊あり。との電報をも不確実ではないかと思うのが道理。
その敵を求めて決戦しようと言うのでは、理屈が合わない。栗田健男中将が受けていた命令は、あくまで、「レイテ湾突入、敵輸送船団撃破。」
全滅をとしてでも、やるべき仕事であった。治三郎の確固たる決意と栗田健男中将の勘違いが運悪く交差してしまった瞬間であった。




