37/50
タライ・オブ・THEシー
マリアナ沖海戦で、艦載機を失った第一航空戦隊の空母は、海に浮かぶタライの様に無力な存在と、化した。
そんな最悪の状況下で行われたのが、レイテ沖海戦であった。連合艦隊は、この一戦命運を懸けた。しかし、決意とは裏腹に、圧倒的な破壊力を誇る米軍と真っ向勝負しては、勝てる見込みはない。苦悩した軍令部と連合艦隊は、驚くべき奇襲作戦をあみだした。
水上艦艇の残り全てを投入し、敵上陸部隊を乗せた輸送船団をしようという乾坤一擲の作戦であった。超大型戦艦の大和や武蔵を中心とする第2艦隊(司令長官栗田健男中将)をもって、レイテ湾の米国輸送船団に殴り込みをかける。その際、ウィリアム・ハルゼー大将指揮下の米国機動部隊が邪魔なので、小沢治三郎の艦隊を囮にして、レイテ湾から遠く北方へと、誘きだそうと言うのである。
例え、この戦いに勝利した所で、既に戦いのすうせいは、最早決していたが、ここでプライドを見せておく事でしか、存在感を示せない日本海軍なのであった。




