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アウトレンジ戦法の盲点
治三郎がアウトレンジ戦法を思い付いた原点は、戦艦大和にある。大和は米国も持っていない様な巨大戦艦を作り、米軍の届かない位置(長距離)アウトレンジから46㎝主砲を撃てば、1隻で全て撃破出来ると理論付けされて作られた史上空前の巨大戦艦である。
山本五十六も、fleet in being (現存艦隊)として、大和の存在については一定の評価をしている。歴史的に見れば大和は有効的な戦略の元で、期待された働きを発揮出来なかった。
だが、このアウトレンジ戦法には盲点がある。大砲ならば砲撃手が、空母部隊ならば良きパイロットがいなければ、アウトレンジ戦法は机上の空論に終わってしまう。現に艦上攻撃機天山や、艦上爆撃機彗星と言った日本海軍が誇る、協力な航空機を保有していたにも関わらず、それらを乗り越せなかった為に、アウトレンジ戦法は遂に成功しなかった。
理論としては完璧でも、実戦ではやってみなければ分からないと言う、机上の計算通りには行かなかったのであった。




