おまけ 骨はうっとり 山はどっしり
とても短いです。
みんなで竜さまから降りて、お骨さまも竜さまから離れる。その拍子に、竜さまの額からするっと何か落ちてきた。ニーノが素早く受け止める。
ふわふわの尻尾が目に飛び込んできた。
「ントゥ!」
「目を回したようだ」
洞の入口近くのやわらかそうな土の上にントゥを横たえると、ニーノは竜さまを振り返る。
「薬浴の用意をして参ります。貴様はここで待て」
後半はもちろん私向けだ。そして、さっさと邸に戻ってしまう。周りの変化にきょとんとしていたスーヒは、すぐにニーノを追った。干し草のことで、スーヒはニーノが好きなのかも。
「やくよく……お風呂?」
――うむ。ニーノは洞から離れるときは、不毛の地まで行かずとも、少なからず有害な物に触れると考えておる。今回はわしとともに行ったゆえ、影響は少なかろうが、それでも心配なのだろう。
「おお……」
遠くに行った後のお風呂は、ニーノから見てとっても大事なことだったんだ。
――準備が整うまで、ここで待つがよい。エーヴェ。
「はい!」
竜さまともお骨さまともまだまだ一緒にいたい。
「お骨さまー! 竜さまの洞へようこそ!」
両手を上げて叫んだけど、お骨さまから返事がない。
「お骨さま?」
お骨さまは口を半開きにして、羽を広げ、後ろ肢で立ったまま固まってる。
「りゅーさま、お骨さまが動きません」
竜さまもお骨さまに顔を向ける。
――そっとしておくのじゃ。友は感じ入っておる。
竜さまの説明に、もう一度お骨さまを振り仰いだ。
お骨さまはしばらくして、ひょいひょいと後ろ肢で歩いて森を向き、また同じポーズで固まる。またしばらくすると、違う方角を見て、固まる。
残照で明るかった空が、すっかり星に覆われて、ようやく、お骨さまは竜さまの方を向いた。
――友。なんと……、なんと、たくさんの生き物がおるのじゃ。すごいのじゃ。ここには友の空気がいっぱいじゃ。
――気に入ったか、友よ。
お骨さまが羽と胸をいっぱいに広げる。
深呼吸してるみたい。
――とても好きなのじゃ。友の座は、良き場所じゃ。
お骨さまの頭から、きらっと何かが落ちた気がして近づく。
草の上でほよんとするペロがいた。
評価・いいね・感想等いただけると大変励みになります。
是非、よろしくお願いします。




