14.邸への招待
ちょっと短めです。
「なんとかまとまったぜー」
骨を集めてロープでくくったシステーナとジュスタが戻ってくる。
「けっこうかさばるので大変ですが、竜さま、お願いします」
――うむ。
――ジュスタが空飛ぶ船を作るのじゃ! 早く見たいのじゃ!
ぴこんぴこんするお屑さまを、お骨さまはのぞき込む。
――空飛ぶ船……飛ぶ船を作って、どうするのじゃ?
「エーヴェたち、古老の竜さまに会いに行きます!」
「竜さまやお屑さまも一緒に、他の竜さまにも会うんですよ」
ジュスタがゆったり笑って、付け加える。
――古老! では、皆、遠くに行くのじゃ。
――うむ。
「お骨さまも一緒に来たらどーです?」
あっけらかんとシステーナが言い放つ。
「おお!」
「無責任に言うな」
わくわくしたけど、隣でニーノは息を吐いた。
システーナが唇をとがらせる。
「けど、一回、邸にお骨さま呼びてーよー」
「すてきです! テーマイもお骨さまに会えます!」
――じゃが、森はこそばゆいのじゃ。
首をかしげたお骨さまに、お屑さまがぴこんぴこんする。
――あほうめ! 山と骨は一緒に飛んだのじゃ! 飛んで行けばよいのじゃ!
――おお!
――ほう。
竜さまもお骨さまもびっくりしてる。
「おおお! お骨さま、邸に来られるよ!」
ぴょんぴょん跳ねると、お骨さまも羽を揺らした。
きょきょきょきょきょ……
――友の座に行くのじゃ! 初めてじゃ! うぉっふぉっほお!
お骨さまがうぉほっほをする。
私も一緒にうぉほっほをする。システーナとジュスタもうぉほっほ。
――なんじゃ? なんじゃ? 愉快なのじゃ!
お屑さまはぴこんぴこん。
戻ってきたントゥが、ぴょーんぴょーんとお骨さまを登っていく。
――ントゥも行くのじゃ!
「行くのじゃ!」
わー! 楽しい!
「では、砂漠の縁までお骨さまに泳いでいただいて、そこから竜さまとともに飛んでいただくのがよいでしょう」
後ろ手を組んで立ってるニーノが結論した。
竜さま、お骨さま、お屑さま、ニーノ、システーナ、ジュスタ、ペロ、スーヒ、ントゥ! 私も入れて、十人だ!
「みんなで邸に帰ります!」
朝ごはんを終えて、出発の準備。
竜さまの背中に骨をくくりつけ、荷崩れに備えてジュスタとニーノが側につく。ペロはントゥの目を盗んで、お骨さまにくっつき、ントゥはお骨さまの頭の上。システーナと私はお骨さまの背中の上で、スーヒは竜さまにつかまえてもらう。お屑さまの腕輪はシステーナが持った。
――では、座の境で落ち合おう。
――落ち合う?
――あほうめ! 待っておるということじゃ!
――おお! 落ち合うのは初めてじゃ!
竜さまたちも、心なしかウキウキして見える。
「うっふっふー! りゅーさまと待ち合わせです!」
「じゃー、竜さま、また後で」
「貴様らは、お骨さまに失礼のないように」
「はーい!」
お骨さまは砂漠を悠々と滑り出す。歩くのが大変な砂の海を、すいすい泳いじゃうお骨さまはすごい。
途中で上空を飛ぶ竜さまを見送って、砂漠を進んだ。
今回は、ニーノに言われて頭と体に布を巻き付けてる。本格的な砂漠の旅って気分。
「お骨さまはどっちが竜さまの座か分かりますか?」
――分からぬ。じゃが、友がいる場所は分かるのじゃ。
「おお、すごい」
お骨さまは、ちょっとだけ羽を揺らす。嬉しそう。
そういえば、竜さまはお骨さまを見つけてたから、竜さまもお骨さまのいる場所が分かるのかもしれない。
「お屑さま、竜さまは他の竜さまのいる場所が分かりますか?」
黄色い砂漠に飛ぶ虫を探してたお屑さまは、ぴこんとこちらを向いた。
――近くにいれば分からぬでもないが、普通は分からんのじゃ! 骨も、山以外の場所はきっと分からぬのじゃ! 骨と山は珍しいのじゃ!
「でも、お屑さまはお屑さまの場所ぜーんぶ分かってんだろ?」
システーナが口をはさむ。
――わしはわしじゃ! わしの場所は当然分かるのじゃ!
千か所くらいが分かるのは全然当然じゃないけど、お屑さまにとっては普通。自分の場所が分かるみたいに、お骨さまは竜さまの場所が分かるのか。
「お骨さまとりゅーさま、とっても仲がいいです!」
――そうじゃ! 仲が良いぞ! 友じゃ!
お骨さまは頭を上げ、ばっと羽を広げる。
ントゥが骨の間を素早く飛び回って、お骨さまの頭に戻っていった。
評価・いいね・感想等いただけると大変励みになります。
是非、よろしくお願いします。




