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2.特性がある?

新章が始まって、もたもたしてます。

更新ペースがゆっくりになるかもしれません。

 サーラスの皮を干し終わって、鍛錬だ。

 お昼過ぎちゃったから、今日は短い。

 竜さまの鱗を背負って、お屑さまの腕輪をつけて、ペロもいる。

 ここは四季みたいな季節はないけど、葉っぱを散らす木や卵を暖める鳥を見ると、季節の巡りはあるみたい。

「お? あっちで木がキーキーきしむ音がするよ」

 竜さまの鱗で耳が良くなってる。


 ――枯れた木があるのじゃ! キーキーきしむのは、もう中身が枯れて側の木に寄りかかっておるからじゃ。

「ほー! ん? ぽぽぽって鳴いてる」


 ――鳥じゃ! 大きな鳥で地面を歩いておるのじゃ。前につつかれたことがあるのじゃ! ぽはっ!

「おおー!」

 お屑さまはいろんな経験をしてます。

「おくずさま、竜さまなのに、動物は怖がりませんか?」


 ――わしは屑であるぞ! 周りを(おびや)かしはせぬのじゃ! しかし、たとえ山であっても、怖がるものではないぞ! 大きさに(ひる)む者はおるが、竜は偉大なのじゃ!

 うーむ。お屑さまの話を聞いてると、竜さまには何か(きよう)()があるのかな?


 ――む? ジュスタ! 危ないぞ!

「――ん、うあっ?!」

 ジュスタは足の周りを動き回っていたペロをよけようとして、変な所に右足を置き、すっころんだ。

「わー! ジュスタ!」


 ――愚か者! 大の油断じゃ! 上の空であったろう? ここは森じゃぞ! うかつなのじゃ!


 お屑さまが激しくぴこんぴこんする。

 駆けつけると、ジュスタは足首をさすってる。

「おおお! ケガしましたか? だいじょうぶ?」

「ごめん、ごめん。お屑さまの言う通り、うかつだったな」

 苦笑するジュスタに、ペロも寄ってくる。鉢を揺らしながらうろうろ。

 ペロはジュスタの足下をくるくる周りながらついて来ていた。いつもうまく歩いてたのに、こんなことになるなんて。

 ペロとジュスタを見比べて、おろおろする。

 ジュスタはますます苦笑い。

「だいじょうぶ。少し手当をすればいい」

 安心させるみたいに、ペロの鉢をなでる。


 でも、お屑さまが三連続でぴこんぴこんした。


 ――ジュスタ! みるみる腫れておるぞ! なんと! 痛いのじゃ! まったくのうかつなのじゃ! (わつぱ)と水玉とを連れ歩いておきながら、なんたる体たらくじゃ! ふがー! 愚か者っ!


 うわ! サンダルの紐が食い込むくらい腫れてる。

「おお……。あ、水! 水取ってきますか?」

 きっと冷やしたほうがいい。

「――そうだね」

 ジュスタはサンダルの紐を(ゆる)める。

「でも、ここから沢までは少しある。……杖を作るほうがいいかな」

 杖? じゃあ、枝を持ってくればいいかな?

 聞く前に、ペロがジュスタの足に身体をごん、とぶつけた。

「いてっ!」

「わー! ペロ! ダメだよ! ジュスタ、痛いよ!」

 ペロを離そうと鉢を引っ張るけど、ものすごい力で抵抗される。

 その上、ペロはジュスタの足首をぷるんと飲み込んだ。

「わーわー! ぎゅーってしちゃダメだよ!」

 鉢を引っ張ったら、中身がだいぶ出てたのか、鉢ごところんと後ろにひっくり返る。

 びっくりして、すぐに起き上がった。

「ペロー!」


 ――童、待つのじゃ!

「うん、大丈夫」

 お屑さまとジュスタに止められて、きょとんとする。


 ――ペロは水玉じゃ! 冷やせるかもしれぬ! こやつはジュスタを心配しておる! ぎゅーっはせぬ!


 驚いて、ペロの様子を見る。ペロはジュスタの足首を覆って、ふよふよしてる。

「ジュスタ、痛くない?」

「うん。――ホントに冷やしてるのかな? 水が熱くなるから、離れたほうがいいだろうけど」

 ジュスタは心配そうにペロを眺めている。

 そうか。熱くなるとペロは蒸発しちゃいます。

 でも、鉢をかぶってからは日光浴してるところも見かける。

 ペロは謎がいっぱい。


 ――む? むむ! およ? およ? おかしいのじゃ!


 お屑さまが身体を大きくたゆませて、ぴこんっとする。

 さっきまで、みるみる腫れていってた足首が、今は逆にしぼんでいく。

「ジュスタ、足、戻ってるよ!」

「――うん、そうだな」

 ジュスタの目が丸くなってる。

 私の目もきっと丸くなってる。

 しばらくして、すっかり足の腫れが引くと、ペロはぽよっとジュスタの足から離れる。

 ジュスタが足首をなでる。その場で立ち上がった。

「痛くない……」

「おぉー――!」

 ――なんとー!

「ペロ! えらい!!」

 リラックスモードのペロに手を伸ばす。ペロは手を器用によけて、鉢に駆け寄った。

 きちんと鉢をかぶると、ジュスタの足下に戻ってくる。

 ぽかんとしていたジュスタが、しゃがんでペロの鉢に手を置く。

「ペロ――、すごいな、お前」

 ペロはすこしゆらゆら揺れてから、ジュスタの周りを回り始めた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] お屑さま、とても物知り。世界を一番知っているだけあってどんなに些細に思えることもすらすら答えられるのが面白いです。 あれは何じゃこれはどういうことだ?と小さなことでも見過ごさずに思考するお…
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