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4.ばったりびっくり

遅くなりました。

 傾いた身体を、竜さまの鼻が受け止めていた。

 そのままゆっくりとずらして、床に横たえる。

「――ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ニ、ニーノ?!」

 びっくり! ……びっくり!

 あわあわして前に進めない。

 ――エーヴェ、案ずるな。

 竜さまが、すん、と鼻を動かす。

 ――ふむ。(しよう)(もう)したようじゃ。

 竜さまの声に、ちょっと力が抜けた。

「りゅーさま、ニーノ大丈夫?」

 側に行く前に、竜さまはニーノをそっとくわえて、背中に乗せる。

 ――大事ない。少し眠ればよかろう。

「……ニーノ、……寝たら、元気」

 竜さまの顔とニーノがいる背中を()()()()見比べる。

 ふわっと鼻息がかかって、竜さまの顔を見つめる。

 ――うむ。起きたときの顔が見物じゃ。

 すう、と金の目が細まった。

「おお……おお! ニーノ、びっくりする! きっとにっこりするよ!」

 ぴょんと飛び上がったとき、洞の入口に足音がした。

 走ってきた人影を見て、お、と前傾姿勢になる。

 向こうも、同じポーズになってにやっとした。


「ジュースーター――!!」

「エーヴェー――!」

 走って飛びつくと、軽々と持ち上げられる。

「ただいま帰りましたー!」

「おかえりー」

 くるくるの長い髪の毛が懐かしくて、おでこをすりすりした。

 ジュスタもとっても久しぶりです!

「おや。エーヴェ、ちょっと大きくなったかな?」

「お? 重いですか?」

 ジュスタは重さを覚えてたのかな? なんだか嬉しい。

「抱っこしたとき、エーヴェの目線がちょっと高い」

 言われてみると、目までの距離がちょっと遠いかもしれない。

 とろける蜂蜜が嬉しくて、にこにこする。


「――ん? ニーノさんは?」

 視線をさまよわせたジュスタに、はっとした。

 すっかり忘れてた!

「ジュスタ、大変なのです! ニーノが寝ちゃった!」

 ジュスタがきょとんとした。

「寝ちゃった? ――竜さま?」

 ――うむ。少し疲れたようじゃ。ここで寝かせておく。

 竜さまが鼻先で背中を指し示す。

「ああ。――そうなんですね。珍しい」

 ふわっと笑って、ジュスタがこっちを見る。

「本当にときどきだけど、ニーノさん、疲れて眠っちゃうことがあるんだよ」

「なんと!」

 ニーノが疲れるなんてあんまり考えたことなかった。

 ときどきあるんだったら、心配ないかもしれない。

「一気にたくさん力を使ったときになるみたいだね。でも、竜さまが見てくださるなら安心だ」

 ――うむ。

 首を伸ばした竜さまは、胸を張ってるように見える。

 だけど、力を使ったって何だろう?

「あ! 大きなムカデが来ました! 壁を作って、ロープを作って、びゅんびゅん飛びました!」

「ムカデ? 端のほうに着いたのかい?」

「エレメント、力が足りなかったよ。だから、途中で降りたのです」

「そうか。じゃあ、急にたくさん力を使ったのも無理ないな」

「シスが来てくれたよ! りゅーさま、ありがとう!」

 ――シスが間に合って何よりじゃ。

 ジュスタは竜さまを見上げる。

「なるほど、そういうことですか。じゃ、シスさんも戻ってきますね」

 おお、ジュスタはとても察しがいいのです。


「では、竜さま。俺はエーヴェをお風呂に入れてきます」

 ――うむ。

「おふろ! くさい!」

 両手を上げる。

 デジャビューです!

「はは、くさいやつだ。ニーノさんから、準備するように言われてたんだよ」

「おおお! ニーノすごい!」

 本人は、竜さまの背中の上でばたんきゅーだけど。

「じゃあ、エーヴェ、お風呂行ってくるね! また来ます! りゅーさま!」

 竜さまに手を振って、ジュスタと手をつなぐ。

 (やしき)への道を歩き出した。

物語のテンポや切り方に迷ってます……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 目覚めたときのニーノの顔や反応が見てみたいですね。見物じゃ、と言った竜さまのお顔が悪戯っ子のように空目しちゃいました。熟睡していて記憶がないのにちょっとむぅっとするかな。 ジュスタも久々。…
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