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門を開け放ち前に進む。全身鎧にヘルメットを脇に抱え堀に掛かった橋を渡り、この俺、アルファが負けたら次は誰を出そうかな、なんて暢気な事を考えながらフォスターと対峙した。
「あの日以来だな、魔王よ」
「ああ、出来れば戦いたくないんだが、そうも行かないみたいだから相手はするよ。先に言っておくが俺は剣術とか格闘技なんてやった事ないし、決闘の作法?みたいな物も知らんから負けても卑怯だなんだと後で文句言うなよ?」
「なに、一対一であれば何をしようと自由だ。敗者が勝者に苦情を言う事等出来なくなるのだからな」
ようは一対一の殺し合いって事かぁ・・・・・それが個体を指すのか存在を指すかの解釈次第で俺は何人でも投入出来るな・・・・・
「あ、この勝負の結果に関係なく王国軍は撤退するってのは変わらないんだよな?」
「勿論だ。セレスタ!勝負を見届けた後は必ず撤退するのだぞ!!」
「・・・了解しました、閣下・・・・・」
「うむ。これで良いな、魔王。では始めるとしよう」
「おう・・・何時でも良いぜ」
脇に抱えたヘルメットを被り、両手にバゲットランスを出すと、フォスターがその場で青白く光る剣を横に振った。あ、危ねぇ!
「グッ・・・ぉ・・・が・・・か、貫通しやがった?・・・・・」
剣から放たれた青白い光の帯を受け止めようとしたバゲットも鎧も切り裂いて直接俺の身体にダメージが入った。
俺は転生後初めて受けた痛みにその場で膝を付き、背後でガシャンと鎧の転がる音が聞こえて振り返った。
「・・・痛ってぇ・・・何だ、これ・・・俺が一人減った?」
「クックックッ・・・今までこれを喰らって生きていたのは貴様が初めてだ。だが何時まで耐えられるかな?光の女神より賜りし我が祝福の力存分に味わうが良い!魔王よ!!」
安易に一騎打ちなんて受けるんじゃなかった・・・将軍ともあろう男が何の策も無しに自らの命を差し出すような真似をする筈が有る訳が無い・・・・・
「「「「「フォスター将軍万歳!!」」」」」
「「「「「アルバゴーン王国に栄光あれ!!」」」」」
・・・・・喧しいんだよ・・・吹き飛ばすぞてめぇら・・・・・
お決まりの台詞で歓喜に沸き立つ王国軍の声を背に受けたフォスターが剣を振る度に青白い光が俺を襲う。俺は形振り構わず地面を転がりながら避けつつ距離を詰めようと、隙を見てはバゲットを投げつけたが全て切り落とされ、その度に俺自身の存在その物が消えて行く痛みに襲われた。
こ、これが奴の力か・・・・・力が・・・力が抜けて行く・・・このままじゃ―――
*
*
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「・・・・・・・・・・」
「どうしたのブレッド?」
「呆けているのは今が戦闘中だからではありませんか?」
「え・・・ちょっと!顔色悪いわよ!如何したのブレッド!!何が有ったの?!」
「・・・・・済まない皆・・・今は他に気を割く余裕が無い・・・暫くの間元の姿に戻るけど、食事だけは出せるようにしとくから心配しないでくれ・・・・・」
嫁三人に断りを入れて元の姿、食パンや乾パンに姿を変え意識をフォスターと対峙する俺、アルファへと送った。他の俺に使うリソースを減らさないと避ける事もままならなくなりそうだったからだ。
「ブレッド!何が起こってるの?!答えてブレッド―――」
「何で・・・え?セシリア何処に―――」
薄れ行くメアリーとミレーヌの声を聴きながら嫁担当の俺達と同様に全ての俺の意識を閉ざしてアルファへと集中した。
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