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「ブレッド様、そこまで聞けば十分です。私はこの店を買い取るか投資すればいいのですね?」
「いや、この店は俺が再生するから、ロレンツはヤンクさんと取り引き出来たら良いかなって」
ヤンクさんは食品問屋を営んでいるから如何かなと思って呼んだだけなんだよね。前置きが長くなったけど。
「ご配慮感謝致します、ブレッド様。ヤンクさんと言いましたね?私はロレンツと申しまして、とある筋から高品質の小麦粉を大量に手に入れる事が出来るのですが如何でしょうか?」
「いや、うちは小さな問屋だから高級品を取り扱う余裕も顧客も持ち合わせてないんですよ」
「いえいえ、高級品ではありますが価格は従来の物よりもお安く提供出来るのですよ」
「はぁ?そんな訳ないでしょ。彼が紹介したいと言うから待ってましたけど、そんな胡散臭い話に乗れる訳がない」
「またそれですか・・・いえね、王都に来てからと言うものの、持ち込む店は全て同じように断られたんですよ。ですから今こそ独占出来る良い機会なんです。ブレッド様からの紹介ですし、ご契約頂けるなら他の者との契約は一切致しません。どうです?王都の全ての民が貴方の売る小麦粉無しでは生きていけなくなる所を見てみたいと思いませんか?」
ロレンツが説明すればする程胡散臭くなって行くな・・・・・こいつ、実は商売向いてないんじゃないか?
「そ、それこそ信じられない話じゃないか!い、いや、そんな事が出来る訳が無い!!」
ですよね~・・・・・
「ええ・・・ええ、解ります。私もほんの少し前までは貴方と同じでしたから・・・でも、今は違う!スラムで汚い仕事をして食い繋いでいた私が僅か数日で王都へ進出出来たと言っても信じられないでしょう。ですが事実です。ブレッド様の御力を持ってすれば、この街を支配するなど造作も無い事なのです!!貴方も私と共にブレッド様の協力者となり、歴史の生き証人・・・いや、歴史を動かす当事者となりましょう!!」
「あ、あんた相当イカレてるな・・・その兄ちゃんは新興宗教の教祖かなんかかよ・・・・・」
「違う!違うから!ロレンツはちょっと興奮して自分でも何言ってるか解らなくなってるだけだから!!」
「私は至って本気ですが?そうだ!ブレッド様!この者にブレッド様の御力の一部をお見せして頂けないでしょうか?そうすれば彼も解ってくれると思うのです」
う~ん・・・俺の事を知ってる人は出来るだけ増やしたくないんだけどなぁ・・・・・
「あ~・・・この店に材料の納品をしてる事にして貰えるなら見せても良いけど?」
「ん?この店の再生をするんですよね?食材の納品はてっきりうちが請け負うものだと思ってましたけど・・・・・」
「この母娘はもう後が無いから助けるけど、ヤンクさんは違うだろ?何も知らずにロレンツと取り引きだけする分には危険は少ないけど、知ってしまったらもう後戻りは出来ないけどどうする?全てを知るか、ロレンツと取り引きだけをするか、二度とこの店に関わらないかの三択だ」
「・・・え、いや、その・・・・・」
突然の選択を迫られ狼狽えるヤンクさん。
「三番目を選んだら必ず後悔する事になりますよ、ヤンクさん」
いや、ロレンツ、その台詞は逆効果だと思うぞ。
「あ、あの・・・今まで助けて頂いたヤンクさんが危険な橋を渡る事は有りません・・・借金は必ずお返し致しますので、私達の事はもう忘れて下さい」
「今まで有難う御座いました」
如何したものかと俺とロレンツを交互に見るヤンクさんにお礼と別れの言葉を掛けるリゼルさんと娘のカレンさん。ヤンクさんは一度目を瞑り、大きく息を吐いてから答えを出した。
「・・・・・ハァ・・・今更はいそうですかなんて縁を切ったらかみさんにどやされちまうよ・・・解った、あんたの秘密を聞かせて貰うよ、ブレッド君」
こうして王都での足掛かりとなる協力者の『ローグ商店』のヤンクさんと『トマス食堂』改め『喫茶カレン』のリゼル、カレン親子が仲間となった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




