34
倉庫から出て廊下を歩きだしたら直ぐにセレスタさん達に連行されているレスティンさんとかち合った。
「「あ」」
「よう、久しぶりだなレスティンさん」
「な、な、な、何で貴様がここに居る!!」
「あんた等が気が付いてなかっただけで、俺はずっとこの屋敷に居たぞ?まぁ、あんたとはもう二度と会う事も無いだろうし如何でも良い事だろ」
「このっ・・・貴様か!貴様が私を嵌めたのだな!!」
「そんな訳ねぇだろ。これだけ手際よく踏み込んで来てんだから事前に調べ上げてんに決まってんじゃん。そんな事よりセレスタさんかケベックさん、将軍さんに呼ばれてんだけど案内して貰えるかい?」
「「なっ!」」
「何故我々の名を・・・・・」
「貴様何者だ?閣下に呼ばれているだと?」
「何故ってさっき将軍さんに名前呼ばれてたじゃん。あ、案内は良いや、場所は解ったし勝手に行くよ」
俺が潜伏している間一度も使われなかった会議室か。
「待て何処に行く!」
「だから将軍さんに呼ばれてんだって言ったろ?場所は会議室らしいから案内は要らないよ」
「待たぬか!私が先に行って閣下に確認を取ってくる」
「貴様のような怪しい奴を野放しに出来ん。暫くここに居て貰おうか。お前達はレスティンを連れて行け。私がこ奴を見張る」
「将軍さんを待たせる事になるけど良いのか?一緒に行った方が良いんじゃないの?」
「む・・・・・良かろう、付いて来い」
セレスタさんとケベックさんに挟まれる形で会議室へと向かった。気持ちは解らんでもないけど、今の俺が将軍さんに危害を加えるとか無理じゃね?正直一対一で勝てる気がしないし、戦う気も無いけど。
「閣下、こちらに居られますか?」
「うむ、連れが居るであろう?通して良いぞ」
会議室に着いて入り口の扉をセレスタさんがノックし中に将軍さんが居るのを確認すると、中から将軍さんの返事が返って来た。
「ハッ!了解しました!」
セレスタさんとケベックさんが訝しげな表情で俺を睨みながら将軍さんに返事をして扉を開けた。
部屋の中央に有る円卓の一番奥に座る将軍さんとその後ろに控えるメイドさんが見える。
「失礼するよ・・・ケベックさんとセレスタさんも一緒にどうだい?将軍さんが心配なんだろ?」
「クックックッ・・・中々肝が据わっておるな。良かろう、二人とも好きにせよ」
「ハッ!では警護に付かせて頂きます」
俺は平静を装いつつテーブルに向かい椅子に座った。いや、マジで怖えーよ。テーブルを挟んでいてもその風格に圧倒されそうだ。
俺の背後にセレスタさんとケベックさんが立つとメイドさんが俺と将軍さんの前にお茶を置いた。
「そうして見ると二人が貴様の家臣に見えるな」
「ははは・・・御冗談を。ああ、御茶菓子は俺が出すよ。良かったら食べてくれ」
置かれたカップを持ち上げ、ティーソーサーの上にクッキーを出して将軍さんに向かって押し出した。
「ほう・・・収納魔法か?魔族には見えんし、何処ぞの国の間者ならばうちに引き抜きたい所だが・・・・・」
「失礼します。こちらを改めさせて頂いても?」
「どうぞどうぞ、毒殺とか警戒しなきゃいけないから仕方ないよ。因みに仲間内で大好評の『チョコレートクッキー』って言うんだ。気に入ってくれたらお土産にどうだい?入れ物が無いけど」
メイドさんが毒見のためにクッキーを一つ摘まんでまじまじと眺めた後に口に入れた。
「・・・・・うっ!」
「大丈夫か?!貴様堂々と毒を―――」
「んんん~!何ですかこれは!砂糖とは違った癖になる甘さとほろ苦さ!!このような美味しいお菓子は生まれて初めてです!!直ぐに持ち帰れるよう入れ物を用意して参ります!!」
「「え・・・・・」」
余程気に入ったのか我を忘れて部屋を飛び出して行った。そして、ポカーンと口を開けて開いたままの扉を眺めるセレスタさんとケベックさん。
「クックックックックッ・・・ハハハハハ!!あ奴が我を忘れて飛び出すなんぞ初めて見たわ!!それ程の物とは恐れ入った。では、私も頂くとしよう・・・ほう・・・確かにこれなら女性が好むのも無理はない。其方等も試してみるか?」
「い、いえ、私達は護衛任務中ですので遠慮しておきます」
「まぁ他にも色々あるけど、それはまたの機会にでもって事で」
良し、掴みはOKだなとテーブルの下で小さくガッツポーズをした俺だった。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




