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応接室で優雅にお茶を飲むフォスター将軍と、その正面で青褪めた顔を俯かせて小刻みに震える領主のレスティン。フォスターさんがでか過ぎてレスティンが小動物に見えるな・・・・・
「そう怯える事も無かろう?貴様とは幼少期からの付き合いだ。私も貴様の祖父殿には可愛がって貰った覚えがある。それとも・・・何か疚しい事でもあるのか?」
怖ぇ~・・・これ、絶対何か握ってるよな?ブラフだとしても、この人に詰められたら喋っちゃうだろ。つーか、この二人は幼馴染なんだな。
「い、いえ、そのような事は御座いません。将軍閣下が直々にお越しになるとは夢にも思わず・・・その・・・何分急な事で戴したお持て成しも出来ず・・・・・」
「よい。私が公式の場以外では堅苦しいのが嫌いなのは其方も知っておろう。で、現状は?」
「は?・・・げ、現状・・・あ、ま、魔族の侵攻は鉱山都市で止まっていると報告を受けております。手前のロイドの民の避難も完了しておりまして・・・・・」
「避難したロイドの民と言うのは練兵場に居る者か?私の記憶よりも数が少ないが、如何言う事だ?」
あ~、こりゃあ間違い無く全部解った上での詰問だな。事前に自分の部下を送り込んで調べてるよこの人。レスティンさん終了のお知らせって奴だ。
「そ、それは・・・その、か、勝手にロイドに戻ってしまいまして・・・・・」
「で、貴様は止めなかったのか?その時貴様は何をしていた?」
「こ、この屋敷の門番が二人倒されてまして・・・侵入者の捜索の指揮を執っておりました。その騒ぎで対応出来ずに領都を去った後で報告を受けまして・・・・・」
いやいや、荷造りが終わる頃には報告が入ってたよ。嘘はいけないなぁ、嘘は。
「ほう、止められなかったと・・・・・なぁ、レスティンよ・・・我々貴族のお役目とは何だ?陛下が常々仰っておられるお言葉を言ってみよ」
「は、はい・・・へ、陛下は『民あっての国だ、我々貴族は民を護り導くのが役目だ』と・・・・・」
へぇ~、良い王様じゃん。こりゃ、話し合いでワンチャン有るかな?
「そうだな・・・だが、貴様はその言葉の意味を理解しておらんらしい。鉱山都市を奪われた事はまだいい。戦とは何が起こるか解らぬ物だからな。だが、避難させた領民に碌な支援もせずに愛想をつかされた事実は見逃せぬ。本件は直に陛下にも届く。追って沙汰が下るであろう」
おいおい、既に手配済みかよ。ん?まてよ、この状況を利用させて貰うかな。レスティンさん、あんたはここで退場だ。
『『『『『執務室へ行け』』』』』
応接室に隠れた複数の乾パンの俺が同時に声を発した。これなら場所の特定も出来ないだろ。
「む・・・・・ここか?フンッ!ふむ・・・裏に隠し通路でも有るのかと思ったが、違ったか?」
マジでやべぇよこいつ・・・乾パンの俺が隠れていた幅3mは有る本棚を左腕一本で引き倒しやがった・・・本満載だったのに・・・・・
「散らかしてすまんな。では、向かうとしよう」
「は?どちらへ?」
「何を言っている、執務室に決まっておろう。何者かは知らぬが、そこに行けば何かが有るのだろう?態々知らせてくれたのだ、行かぬと言う選択は無い」
わ~お・・・豪胆だねぇ。罠とか少しは疑わないのかね?それとも通用しない自信があるとか?
「如何した、レスティン。案内出来ぬ理由でも有るのか?」
「い、いえ、そのような事は・・・・・」
追い込むなぁ・・・幼馴染でも犯罪は許さない姿勢は好感が持てるかな?
死刑台に向かうかのような足取りで歩くレスティンと、その後について歩く・・・んん?何だろうこの表情・・・哀れみ?それとも悲しみか?僅かな表情の動きでは感情が読み難いフォスター将軍が応接室を出て行くのを見送った。
ここまで読んで頂き有難う御座います。




