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(あの爆発じゃ生きている者はいないと思う)


「だろうな。街中に居た俺達でも生き残ったのはほんの一部だし」


 外壁近くに潜んで居た俺の内、吹き飛ばされて気を失っていた者が目を覚まして報告をしては来たが何も情報は得られなかった。


 ウェイスランドは衰退してきていたとは言え三万人規模の都市が一瞬で外壁ごと吹き飛ばされたんだ、爆心地付近なんて何も残っていないだろう。


 周辺の俺達が目を凝らして元王都を注視しているが、夜の闇に加え砂塵と外壁の瓦礫が邪魔をして内部の様子はほぼ確認出来ない状況だ。


 それからどれ位時間が経っただろうか、南部監視班から一斉に知らせが入った


(((((砂塵と瓦礫の隙間に光点を発見!!移動しているようだ!!)))))


「確認した。が、距離が遠過ぎるし遮蔽物が邪魔で移動方向も掴めないか・・・・・」


 暫くの後、西部監視班から速報が入った。


(((((こちら西部監視班!北へ移動する光の帯を視認!!かなりの速度だ!十分もしない内に北へ抜けると思われる!!)))))


「了解した。北部監視班に結界の使用を許可する。射程範囲に入り次第捕獲せよ!!」


(((((北部監視班了解)))))


「他の部隊はバックアップだ!夜陰に紛れて移動を開始せよ!決して見つからぬように細心の注意を払え!!」


(((((了解!移動を開始する!!)))))


 矢継ぎ早に指示を飛ばし、北部監視班に集中していると五分もしない内に夜の闇と静寂を破って街の奥から破壊音が聞こえ、それが徐々に大きくなってきた。


「光点視認!各員結界準備!・・・・・放て!!」


(((((『キュービックフォーメーション』!!)))))


 複数の俺が放ったロールパンから結界が張り巡らされ、街から出てきた光を捕らえた。


「ガッ!・・・邪魔を・・・するなああぁぁぁ!!」


 結界にぶつかって止まった光の正体は『人』だった。俺やデュランさんと同じカンストした金色の光を放つ十代半ばの男性が結界を殴りつけるとその化け物じみた膂力により結界に罅が入った。


「結界を何重にも張り続けろ!同時に話し掛け続けて気を逸らせ!!」


(((((了解!)))))


『『『『『止まれ!自分が何をしたのか解ってるのか!!』』』』』


「煩い!俺の邪魔をするな!!『カオスブレイド』!!」


 男性の手にスキルで作られた大鎌が現れた。見覚えのある紅に光る刃は嘗て次期アデルの使っていた物と同じに見えた。


『『『『『なっ!お前アデルか!!』』』』』


「俺はニコラだ!俺をその名で呼ぶんじゃねぇ!!『サウザンドスラッシュ』!!」


 ニコラと名乗った男の放ったスキルで幾重にも張られた結界がガラスの割れるような音と共に破壊され男は北へと駆け出した。


「結界を張り続けろ!足を止めたらグレネードだ!!」


 純戦闘職との力の差をまざまざと見せつけられたが、打開策を見つけるまで進行速度だけでも落とさなければと結界を張り、更に攻撃の許可も出した。


(((((『キュービックフォーメーション』!!)))))


(((((『ロールグレネード』!!)))))


「グハッ!クソがあああぁぁぁ!!『デモンエクスプロージョン』!!」


 こちらの攻撃は殆ど意味をなさず、結界内部のニコラの身体から強力な光が放たれて付近に居た全ての俺が結界と共に消滅した。


 何故〝アデル〟が突然現れたのか解らない。奴の『祝福』は遺伝だけでは無かったのか?それとも次期アデルが成人前に子をなしていたのか?俺の知っている〝アデル〟とは短気で暴力的な性格だ。あの歳まで隠し続けられるとは思えなかった。ウェイスランドの王都が消滅した事でそれを調べる術も無い。だが、今はそれ以上にニコラを捕捉し直して捕獲・・・いや、殺す事を視野に入れて策を練るしかない。


 俺が・・・オリジナルが奴を倒す。


 ニコラの目的は解らないが北へ向かっていると言う事はそう言う事だろう。光神教の残党に俺の事を聞いたのであれば彼は敵である俺を討つために北へ向かっているのだ。


 だからアルバゴーンの国境を超える前に迎え撃つ。俺は俺の理想の世界を護るために戦い続けると、アデル親子を殺したあの日に誓ったのだから。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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