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 イステリアから来た三人の王侯貴族や護衛と世話係達は俺の心配を余所に特に問題を起こす事も無く過ごして居た。まぁ護衛達は最初の内は魔族を見てピリピリしてたけど。


 三人は平民の一般的な服を着て町中を見て回り、役場や鍛冶場に蒸留所の見学をしたり、孤児院の子供達と遊んだりと、自国よりも涼しい夏を満喫していた。


 彼等なりの歩み寄りなんだろうけど、言葉使いとか護衛を引き連れてたりで丸解りだったけど。


「もう帰らなければならないのが残念ですね・・・・・」


「はい・・・ブレッド様の出す食事やお菓子が食べられなくなるのは残念でなりません・・・テオが羨ましいですわ」


「私は父に一年間滞在するようにと言われておりますから。しかしこの辺りでは雪が人の背丈程積もるそうですし、殿下方は帰られた方が良いかと。私も体調を崩さないように気を付けなくては」


「それはそれで楽しそうじゃないですか。それに、冬の間は『らあめん』とか『うどん』とか言う変わったパスタが食べられると聞きましたよ!」


「ああ、なんでも変わった味のスープにパスタの入った物だとか・・・再現出来ないか帰ってから試してみるつもりですが・・・・・」


「・・・・・シエラ、一つ良い案を思いつきました・・・こちらの殿方の何方かに輿入れすると言うのは如何でしょう?」


 なんかとんでもない事言いだしたよ、このお姫様。


「そ、それは・・・・・有り、かもしれません・・・ですが私達に平民の生活が出来るかどうか・・・・・不安です」


 おいおい、こっちも乗り気だよ。確かにイステリアとの縁は有り難いけどさぁ。


「それも含めてお父様達と相談してみましょう。ロイドの町役場にはアルバゴーン王家の方が働いていると言う話も聞きましたし、私達にも出来るかもしれません。何年掛かろうとも粘り強く交渉してみる価値はあるのでは?」


「そうですね・・・私も両親に相談するだけしてみます」


 まぁ、アルバさんは確かに元王子様だけど、護衛の騎士が付いてたし、ロザンナさんにはメイドが付いてるから状況が違うと思うぞ。つーか誰と結婚するつもりだよ・・・俺はダメだぞ、これ以上嫁を増やす気は無いからな。


 冬支度の始まった秋の半ばにアンリエッタ殿下とシエラさんは名残惜しそうにイステリアへと帰って行った。俺の心に一抹の不安を残して。


*


*


*


「クックックッ・・・いやぁ、笑いが止まりませんなぁヤンクさん」


「ハハハ・・・全くです。貴族様に目を付けられた時は如何なる事かと思いましたが、ブレッド様とヘルガ様には感謝しかありませんなぁ・・・クックックッ・・・・・」


「ここまで戴した妨害も無くやってこれたのはヘルガ様のお力添えもですが、ブレッド様の取った一手が決め手でしょう。流石としか言えませんなぁ」


「確かにあれが決め手になりました。お陰で王都はほぼ掌握出来ましたし、うちの規模も五倍になった。僅か二年に満たない期間でしがない卸問屋が王都一に成るなんて、まさに夢物語ですなぁ。クックックッ・・・・・」


「「ブレッド様にカンパーイ!ハハハハハ!!」」


 アルバゴーン王都のローグ商店改めローグ商会の一室で祝杯を挙げるヤンクさんとロレンツ。国内最大の穀倉地で作られた麦の大部分が蒸留酒作りへと回されたため、俺の出す小麦の需要が一気に伸びてローグ商会はあっという間に王都一の商会へと伸し上がった。


「私との取引を蹴った商会連中が今頃悔し涙を流しているかと思うと・・・クックックッ・・・ハハハハハ!いやぁ旨い酒が益々旨くなるってもんだ!!」


「私は彼らに感謝してますよ。お陰で独占出来ましたからね!!フハハハハハ!間抜けな連中にカンパーイ!!」


 なんか最近ヤンクさんがロレンツに感化されて来てんだよなぁ・・・まぁ悪い事してないから良いんだけど、その黒い笑い方は如何かと思うぞ。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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