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オストレイクに続きカーナデルとも問題無く話は付いた。が、チャーリーの向かったアデルの南にあるキュリスタ王国はちょっと違う結果になった。
「教会の不正の件は礼を言う。だが、アデルとの国交は続けさせて貰うぞ。我が国の商人や農民を飢えさせる訳にはいかんからな」
この国の北部の農村で作られた作物の大部分はアデルへ輸出されている物だった。そして教会が光神教として機能していないならば問題無いだろうと言う判断だ。
「ん~・・・それじゃうちと組む気は無いと。教会と孤児院は如何するつもりだ?」
「しらんな。其方が勝手にやった事ではないか」
「あっそ。そう言う事言っちゃうんだ。それじゃ全員うちで引き取るから、後で泣き言言っても知らねぇぞ」
「言わんな。何の役にも立たん司祭や孤児が居なくなった所で痛くも痒くもないわ」
と言う訳で、孤児院や教会の建物ごと転移や転送で国境壁の内側へと送って、序に各町や村で困窮している者達とも話し合ってうちに来たいと言う者達は家ごと送ってやった。
因みにこの国で不正をしていた司祭達は証拠と共に守備隊に引き渡してある。
で、翌日。
「なに?街のあちこちに大穴が開いているだと?如何言う事だ?」
「その、教会の建っていた場所や貧民街にとても深い大穴が幾つも空いているとの報告が上がって来ておりまして・・・・・」
「なんだそれは?!一体何者の・・・・・あ奴か!魔王の奴が建物を地面ごと奪って行きおったのだな!!」
「そ、それは定かではありませんが・・・それで、如何致しましょうか?」
「貴様はそのような事も解からんのか!塞ぐしかあるまい!早急に塞いでおくのだぞ!!」
いやいや、早急には無理だと思うよ。深さ10mは有るし。
「は、はい!!」
その後も国中の町や村から同じような報告が続々と上がって来て、連日のように国王の叫び声がお城から聞こえて来たのだった。
はっはっはっ、孤児だからとか自国民差別すんじゃねぇよ。いやぁ、転移や転送って本当に便利だわ、あっという間に国境に村が出来ちゃったよ。
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「すみません・・・あ、あの・・・この村は何時の間に・・・・・」
「ん?ああ、私達でしたらつい先日ブレッド様にこの国の国民として迎えられたばかりなんですよ」
「あ、いえ、そうではなくてですね・・・先日通った時に村なんて無かったと思うんですが・・・・・」
「ええ、そうでしょうね。私達は家ごとブレッド様に運んで貰いましたので」
「は?え?家ごと?」
「ええ、信じられないでしょうけど本当です。最初は私達も夢でも見ているんじゃないかって思いましたしね」
「は、はぁ・・・・・」
「いやぁ、ブレッド様って本当に凄い方ですよね。ハハハハハ!」
と、まぁ暫くの間国境の村ではこんな遣り取りが見られるようになった。
その後国境の村周辺に畑を作り、大工を派遣して宿屋も作った。そして数年後には宿場町へと発展する事となる。
え?キュリスタと揉めたんじゃないかって?ないない。間にアデルとウェイスランドにアルバゴーン挟んでるんだよ?態々文句言いに来る距離じゃないし、うちに来る前にウェイスランドとアルバゴーンで止められるって。
ま、うちに来るための街道は全て監視してるから商人とかに偽装してても無駄だしな。
ブラボー、チャーリー、デルタ達三人の旅はこれからも続く。三人は大陸制覇を目指して南へと進んで行った。
ここまで読んで頂き有難う御座います。