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CreateWorld~絶対死なない半異世界生活~   作者: 夢幻星流
第1章「初めての異世界」
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第5話 地球と世界と異世界と


 大通りまでの道中、シャーロットにいろいろ聞いたところ、この王国はメディアン王国というらしい。

 そして、驚くことに、この世界では昔から異世界という世界観があるようだ。


「300年前に自分を異世界人と名乗る男がいてね。その男は異世界の知識を使って、このメディアン王国とは隣国の商業国家カリンヴァンを開拓したという伝説があるの」


「伝説…」


 シャーロットの話からするとこの世界の人の中には異世界人という概念はあるが、半ば伝説や迷信のような風に思っているのだろうか。


 ということは康介もこの世界で伝説になれる可能性を秘めていると言っても過言じゃないということ。


「シャーロットは本当に異世界人がいると思うか?」


 シャーロットは異世界人がいると知ったら驚くのだろうか?という疑問。

 だが、その問いの答えは案外あっさりしたものだった。


「ええ、いるでしょうね。異世界人」


(えー……)


 別に珍しくなかったらしい。


「いや、ちょっと待て!異世界人は半ば伝説みたいなものなんじゃないのかよ!」


「一昔前まではね」


 この様子だとまだ話の途中だったらしい。

康介が早とちりしていただけだったということだ。


「で、何がきっかけで伝説が現実になったんだ?」


 すると、シャーロットは顎に手をやり、話すか少し迷いながらもこう答えた。


「今、王国では異世界を侵略しようとしているのよ。私たちが生きている世界とは別の世界、言わば、この世界から見た異世界は、チキュウというところにあってね。宇宙というのにあるみたいなの。説明が難しいんだけどね。私もよく理解してないわ」


 シャーロットは何を言っているのだろうか。  

『チキュウ』というのはあの地球のことだろうか。


「だけど、この世界にはチキュウもなければ、星にあるわけでもない。それで、王国はそのチキュウが欲しいと思った。そうすれば領土をチキュウのさらに先、ウチュウとかいう領域にまで広げることができるらしいわ。だから、王国の王は私たちごとこの世界をチキュウに転送してしまったのよ」


 そして、シャーロットは一息つきながらも続ける。


「そして今、この世界はチキュウの半分に連結している。チキュウのすべてをこの世界で侵食するのも時間の問題」


 康介にもよくわからないが、シャーロットのいう『チキュウ』が太陽系の地球のことだとすると、今康介が立っているのは地球だけど元の21世紀の世界じゃなくて、異世界だということになる。


「でも、ここがその……今俺らが立っているのが地球なんだとしたら、元々この地球にあったものとか住んでいた人とかはどこ行っちまったんだよ」


 そう、これが1番の謎。

 この世界が大陸やら人やらまるごと地球にやってきたとしても、元々地球にいた康介達のような原住民はどうなってしまったのか。


 家は?町は?住んでいた人々は?

 康介のように今こうしてこの世界のどこかに生きているのだろうか。


「……元々その異世界にあった風景は壊され私たちの世界の風景に生まれ変わったでしょうね。だからもうない。元々住んでいた人達はおそらくほぼ全員が消滅したと思う……彼らはこの世界の聖魔気……言い換えるとこの世界の空気に漂う特有の魔力と聖力に耐性がないから……」


(なんだよ、それ)


 地球はこの世界から放たれたあの青白い光の飲み込まれて、そこにあったものはこの世界のものに生まれ変わって、人間たちはこの世界の空気に耐性がなくて死んだ。


「な、なんだよそれ、話が急でついていけねぇっつうの……」


「これが、今の王国で起きている現実よ」


「異世界の人だからって大勢の命を奪うってことかよ。なんだよ……それ。おかしいだろ!」


 それを聞いてシャーロットの目にあった覇気が少し失われる。

 それでも──



「──私も、そう思うわ」


 そのシャーロットの言葉にはいろいろな感情がこもっていたと思う。


 どこかこの世の不条理に不満を持ち、それを変えたいと思いながらも戸惑い、また何かを悲しむような……

 シャーロットの短い言葉にそんな意味が込められてるように感じられた。


(じゃあ、なんで俺はここに生きてるんだ?)


 話が面倒になってきた。このままだと、死んだはずの異世界人の生き残り的なポジションで、康介もなんらかのトラブルに巻き込まれそうだが──


「えっとー、その異世界人たちはほぼ全員死んだって言ったが、その空気……聖魔気?に耐性があって生き残った奴らとかはいるのか?」


 こう質問したものの、康介は生き残りはいると確信している。理由は単純、自分もそうだろうから。


「ええ、発見されているわ。王城に突如現れた異世界人の女、要塞都市にたった1人で攻め込み城を半日で落とした男。ならず者達なんかを集めて大きな勢力を作ってる、そんな人間もいるみたいね。噂で聞いた程度だけど、いずれも1ヶ月前の話で自らを異世界人と名乗っていると」


 (なるほど。他にも同志はいるということか)


 だが、康介がこの世界で目覚めたのは今日。彼らは1ヶ月前には目覚めていたことから、目覚める時期には個人差があるらしい。


「いやちょっと待て、今地味にえげつないこと言わなかったか?城を半日で落としたって……」


「ええ、彼ら異世界人はこの世界の空気に耐性があるだけでなく、なんらかの能力を持っている。その力を使って城を落とした、ということでしょうね。にわかに信じられないけれど」


 確かに信じられない。

 異世界人には能力があるのならば、康介にも能力があるということだろうか。


 と、はたまた康介の頭にはある疑問が生じた。


「なあ、ここまで説明してもらっといて悪いんだが、シャーロットお前何者だ?さっきから気になってたんだが旅人にしては、そのなんて言うか……知りすぎじゃないか?」

 

 そう。その疑問とは、シャーロットは王国事情を知りすぎている気がするということ。国王の異世界侵略なんて話を入手する機会なんてそうそうないだろう。

 ここまで詳しい王国事情を知ってるとなると、シャーロットは何者なのだろう?と思うのは自然なこと。

 それとも、この国は政策をオープンに公開するタイプの国家体制なのだろうか。


 しかし、そう聞かれてもシャーロットは意味深に黙りこくっている。


「いや、話しにくいことならいいんだが、そんなでかい話信じられないっていうかさ」


 康介はシャーロットの情報を疑っているわけでは断じてない。ただ、疑問に思っているのは確かだった。

 しかし、それと同時に何か言えない事情があって、彼女を困らせてしまったこともわかった。


 シャーロットは先程会ったばかりの他人に情報を提供してくれた。それで十分だろうと、自分を戒める。


「変なこと聞いちまったかな、気にしないでくれ」


「いや、こちらこそごめんなさい。役に立てなくて……」


 それから、両者しばらく沈黙が続いた。


(気まずくなった……)


 空気が悪くなったのは完全に康介のせいだ。だからこそ、ここは康介から話を振って早く空気をもどしたいところなのだが、もう特に聞きたいこともないので中々話題がない。


 ここで世間話をするわけにもいかないし、どうしたものか。 


 すると、康介の頭に何かが降ってきた。


「ぐへ?」


「えっ?だ、大丈夫!?」…


何が降ってきたのかと、落下物を見ると、先程のヤシの実(仮)だった。


「また、お前か、ヤシの実(仮)!お前3回目だぞ!!ふざけやがって、人が真面目に悩んでる時によお……」


 そういえば、今日康介は何回頭上から何かが降ってきただろうか。ヤシの実(仮)しかりシャーロットしかり。


ここまで来ると康介の持つ異世界人の能力が『木から頭に物を降らせる能力』という説が浮上してくるのだが……


「ふふ…」


 そんなことを考えていると、隣には笑みをこぼしているシャーロットがいた。そんな彼女を見ていると怒りより恥ずかしさが込み上げてくる。


「わ、笑うなよ」


「あはは…ごめんごめん、ちょっとおかしくて。あなたおかしな人ね。物に怒るなんて、ふふ。それはヤスィの実よ。ちなみに中の汁は触れるだけで危ないくらいの猛毒だから注意してね」


「おいおい、マジかよ。さっきから飲んじまったぞ……」


「ふふっ、それは大変ね。今すぐ吐き出さなきゃ」


 決して冗談ではなく事実なのだが、シャーロットは嘘だと思っているのかまた笑う。

まあどっちにしても、どうにか、悪い空気が戻った、のか?


「はー、笑った。えっと、着いたわよ」 


 やっと笑い終えたシャーロットがそう言うと、康介の目の前には車4台が通れそうくらいの通りがあった。


「おー、ありがとな。案内してくれて」


「うん、どういたしまして。ってことで、気をつけてね?また盗賊たちが襲いに来るかもしれないから。どうせなら、誰か来るまで見送ってあげようか?」


「いや、大丈夫だ。盗賊が来ても今度こそ俺1人で片付けてやるからよ!」

 

 美少女に心配され、康介は少し照れながらもそう意気込む。


 途中少し空気が悪くなってしまったが、最後まで相手を気遣うとはシャーロットの親切さと言ったら半端じゃないなと康介は舌を巻いた。


「それじゃあ、私はもう行くわね。どうかご無事に」


「ああ、お前こそ。どうかご無事にな」


 こうして、偶然出会ったシャーロットと康介は、それぞれの道を歩み始める。


 これからどんな困難があろうとも彼らは自分の信念を貫き、時に崩れることがあろうとも自らの道に進んでいくだろう。


 気になることはたくさんある。元の世界のこと。この世界のこと。元の世界での家族、友達……だけど、ここで何かを考えても、止まっているだけでは何も起こらない。いやなことばっか考えるのはやめだ。康介も、自分の道を見なくては、と前を向く。

 そうだ。これから、まずは街に出て気軽に異世界生活を送るとしようか。いいじゃないか、なんかワクワクしてきた。


「──えっと、シャーロット?」


 最後の別れの言葉を交わしたはずだったがシャーロットは何故かその場で立ち尽くしている。

 どうしたのかと康介も声をかけるが答えはない。


「っ!伏せて!!」


 すると、シャーロットがそう大声をあげた。その瞬間、森から何かが飛び込んでくる。


 その何かをシャーロットは剣でさばき、一旦距離を取った。


「ひひっ、やるなァお前」


 そう言って、放った鎖式の鉄球を回収し、森から突如飛び出した正体が顔を上げる。


「あなた、何者?」


「何者とはひどいもんだな」


 その声は目の前の鉄球の男とは違うところから聞こえた。

 それはシャーロットの背後から──


「っ!」


 シャーロットはその声の主が振るった金棒の攻撃を間一髪でかわす。

 一声なしで攻撃されていたら反応できていなかったであろう攻撃。

 だが、ここで殺るつもりはないのか声をかけてから攻撃したことを悔やむこともせず、その大男は楽しそうに笑った。


「はは、久しぶりだな。シャーロット・ベル・メディアン。一昨日ぶりかぁ?」


 そう、盗賊のボス、ガレットは不気味につぶやいた。



急展開!?

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