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CreateWorld~絶対死なない半異世界生活~   作者: 夢幻星流
第1章「初めての異世界」
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第23話 物語は始まる

第一章完結します!

 夜空に浮かぶ満月。

その月明かりにともされ康介は目を覚まし、勢いよく起き上がった。


「ど、どこだ……ここ……はっ!シャーロット!ガレットは?!」


 辺りを見渡すとそこは、薄暗い森の中だった。そして、目の前には先ほどまで康介達が戦っていたアジトが崩れていて、地面には大きな穴が開き、中には闇が広がっている。


「何があったんだ……?」


「起きたようね」


 すると、康介に気づいて、木に寄りかかっていたシャーロットが立ち上がった。

そして、もう一人シャーロットの後ろから小さな影が飛び出してきて、


「コウスケさん!」


「う、おっと」


 と、言いながらファルが康介に抱き着いてきた。


「やったんですよ、ワタシたち!」


 急なことに驚き姿勢を崩す康介だったが、にやっと大きくはにかみこう言った。


「ああ、そうみたいだな!」


「え、なんですか、その言い草……ってことは、大きな盗賊さんを倒したのって……」


「私よ」


「えーー!!」


 ファルは気を失っている間に、康介がガレットを倒してくれたと勘違いしていたのか、驚いたように叫んだ。

 そんな様子のファルを少し自分から離れさせ、康介はシャーロットに向き直す。


「ガレットは最後どうだった?」


「さあ?私に切られた後は知らないわ。がれきに埋もれて今頃死んでるんじゃないの?」


 そうか、とつぶやく康介。

とんでもない奴だったが、どこか本気で憎めない奴でもあった。卑怯な手を使うこともせず真っ向から勝負に挑む。元不良としてそこは好印象だ。

 こうして、康介はともかくファルのことも最後まで殺さなかった。

根は悪い奴ではないんじゃないかと思うところもあったのだ。まあ、康介の思い違いかもしれないが……


「にしても、よくあんな化け物倒せたな」


「まあ、色々あってね……」


 辺りは暗かったので、シャーロットの表情はよく見えない。しかし、シャーロットの中に何か変化があったのはわかった。


「本当にありがとな、シャーロット。結局、またお前に助けられちまった」


「いいえ……私こそありがとう……あなたがいなかったら私も死んでいたに違いない」


そう俯きげに言うシャーロットに対し、康介は頭の後ろをかいて笑った。


「はは、俺は騒ぎ立てただけだよ。なんもしてねえ」


 あの時、威勢よく言っていたことが今になって恥ずかしくなってきた。

 これは、黒歴史確定だ……


「そうかしら?あなたの行動と言葉に心動かされた人はいるわよ」


「えーっと……それって、例えば?」


 あまり想像がわかず、不思議そうに康介は質問するが、少しの間があった後、シャーロットは答えた。


「さあ?」


「おい。教えてくれたっていいだろ!思わせぶりな!!あ、わかったぜ、それはシャーロットだとか言うんだろ!!」


「どうかしらね?」


 そうシャーロットが言うと、三人は笑った。

すると、ファルも言う。


「ちなみにワタシもコウスケさんに影響されたうちの一人ですよ」


「へー」


「なんで、そこは塩対応!?なんかいじりといじられの立場逆転してません?!今までの、いじりはワタシ、いじられるのはコウスケさんという構図はどこへ……」


「もうそれは古い考え方だぞ、ファルくん。最近はその構図に革命が起こったのさ」


「うーー、悔しいです。コウスケがワタシの前で泣いてしまったことも、もういじれないってことですね……昔、不良だったことも……ぐすん。さっき言ってた『ありだっていつか羽が生え、像が届かないところまで……』」


「やめろ!!どさくさに紛れて黒歴史を暴露するんじゃない!!」


 夜の森に生まれた小さなひととき。戦いの後はこのような時間が欲しいものだ。

さっきのようなことがあるので、まだ敵が残ってる可能性だってある。だけど、今の康介にはそんなことを考えるような必要はなかった。



「けど……冗談は抜きで、私はあなたに助けられた。あなたのおかげで、自分のするべきこと、進むべき道が見えた気がするの」


 シャーロットは笑って康介にそう言いかけた。

康介はそれを黙って聞いている。


「ファルちゃんも私に回復魔術を使ってくれてありがとう。言葉をかけてくれてありがとう。そのおかげで私はまた立ち上がれた」


 ファルは、その言葉に小さくうなずき、恥ずかしそうに笑った。


「私、後悔してた。あなたをあの時助けて、私の事情に巻き込んじゃったって……けど、自分勝手ながら今はこう思う。アラキダコウスケ。私は……あなたを助けてよかった」


「あ……」


 すると、長かった夜の終わりを告げるように、シャーロットの背後に朝日が昇った。

 康介はそのシャーロットの言葉に思わず言葉を失う。そして、自分が言った言葉が蘇り……


『俺がお前を助けて証明してやるよ。お前が俺を助けてよかったって』


「え?」


「コウスケさん……」


 涙がこぼれた。康介は慌てて、腕で涙を拭く。


「はは、ごめんな。なんか気が抜けちまって」


 しかし、それでも涙は止まらなかった。こぼれる涙は康介の頬を伝わり、地面にこぼれていく。


「あれ、おかしいなぁ?止まんねえ……」


 すると、シャーロットが、涙をこぼす康介の手を握った。


「こんな私を助けてくれてありがとう。嬉しかった。私を叱ってくれてありがとう。それと、私を信じてくれてありがとう。私に生きる意味をくれてありがとう……」


 康介の中で何かが崩れた。


 大切な人に迷惑をかけたくない。誰かに必要とされたい。

ずっとそう思っていたのだ。なのに自分がシャーロットにしたことは恩を仇で返すようなことでしかなかった。

 だから、心のどこかではシャーロットを助けに行くことだって、迷惑なんじゃないか、自分なんて必要なんかじゃないんじゃないかと思っていたのに……


 だけど、それをファルだけでなくシャーロットまでもが認めてくれて……


「お疲れさま」

 

 康介は泣き叫んだ。声がかれるまで。

朝日は泣き崩れる康介とそれを包むシャーロットを優しく照らす。

 

 物語はどこからだって始まる。

泣いて、始まる物語があるなら、これがそうなのかもしれない。



____________________________________________________________________________________


 康介がやっと泣き止み、3人は再び話し始めた。


「これからどうするんだ、シャーロット?」


「私はこのまま旅をつづけるわ、やらないこといけないことがあるもの」


 何かを決心したような目をして、そう言った。


「何をするんだ?」


「……この異世界侵略を始めた私の父、国王のことを止めたいの。まだ、父の政策は終わってない。侵略できたのはチキュウの半分。もう半分も侵略するはず。もう犠牲を出さないために戦うわ」


「そうか……それ、俺も同行してもいいか?」

 

「え?」


 まあ、シャーロットが何と言おうと言うことは決めていた。

さらに、地球出身の康介からすればシャーロットのしようとしていることに協力したいという気持ちは強くある。


「だめよ!危険すぎるわ……」


「頼む。俺も異世界人として、シャーロットの力になりたい。俺がこの世界で生き残った意味。俺にできることってそれぐらいだと思うんだよ」


 シャーロットはそう言う康介の瞳を見つめる。

すると、康介の隣で話を聞いていたファルも口を開く。


「もちろんワタシもついていきますよ。二人と一緒にいると楽しそうなので!」


 シャーロットはますます困った顔をする。

 そして、迷うようにこう言った。


「もしかしたら、死ぬかもしれないし。ガレットよりも強い相手と戦う機会だって増えるかもしれない。それでもいいの?」


 康介はにかっと大きくはにかみ、拳を前に突き出した。


「ああ、上等だ!相手が強くなるなら俺も強くなってやる!俺にはそれができるんだからよ」


「コウスケさんの泣き顔だってまだ見足りてませんしね!」


 それを聞き、シャーロットは笑う。そして、目の前の康介の拳に自分の拳も合わせて恥ずかしそうに言うのだった。


「ありがと。頼りにしてるわね。これからよろしくね」


「あぁ!!」


 森で起きた出来事。

世界で見ればそんなちっぽけな出来事。しかし、そこから少年少女の物語ははじまる。


「にしても、腹減ったな。そーいや俺昨日からなんも食ってねえんだった!」


「それじゃあ、おすすめの場所があるんです。木の実がたくさんなってるところが」


「いいね、そこ行こう!いいかシャーロット?」


「ええ、ちょうど私もお腹すいてたところだったの」


 こうして、三人は歩き出す。



 この後、彼らはファルのおすすめの場所に向かった後、昼には隣の山に入るのだが……

 

 もう一度言おう。

新たな物語はここから始まる。


「誰か!!たっ、助けてくれぇーーー!!」


 聞こえる誰かの悲鳴。


 そう。これは荒木田康介が世界を救う、そんな単純明解な話である。[完]


第一章完結です!!

ここまで長く書いてきましたが、言いたいことはこれから旅が始まるよってことです!正直こんなに長くなるとは思ってなかった。


ここまで読んでくれて、ありがとうございます!

続き読んでも良いかなとか思ってくれた人は、

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