第22話 『青霊剣』の力
前にあげたのが未完成の途中のものだったので、上げ直します。気付くのが遅れてしまいました。途中まで読んでくれた方申し訳ございませんでした。
世界にいくつかしかない、抜くべき人にしか抜けない剣のうちの一つである『青霊剣』ミゲル。
そして、今まさにシャーロットはそれを抜いていた。
シャーロットは、剣の青白く光る刀身を見つめる。すると、剣からは青白いオーラのようなものが出ていて、そのオーラがシャーロットを包んでいった。
ガレットはその様子を見て、高々に笑う。
「ははっ、そう来なくちゃな!!最高だぜ、お前。楽しめそうじゃねえか」
しかし、興奮するガレットとは対照的にシャーロットは落ち着き払った様子でこう答えた。
「悪いけど、楽しむ気はないわ……すぐ終わらせる」
「はっ、つれねえな」
ガレットは床に落ちた金棒を再び手に取る。シャーロットは変わらず、剣を前に構えている。
そうして、しばらく両者は相手の出方を探りお互いに一歩も動かないという状況が続いた。
地下室は無風のはずなのに、微かに風の音が聞こえた気がした。
そして、開戦は突如として訪れる。
辺りが一瞬光ったかと思うと、ガレットの目の前には剣を振りかざさんとするシャーロットが。
「っっ!!!」
ガレットは辛うじてその剣を金棒で受け止める。すると、ガレットの背後に大きな音が響いた。
ガレットが軽く振り向くと、そこはシャーロットの斬撃の風圧によって、一刀両断された壁があった。
金棒で受け止めていなかったら自分もこうなっていただろうとガレットは身を震わせる。
「よそ見してる暇なんてあるのかしら」
しかし、シャーロットは攻撃の手を緩めることなく、更なる斬撃をガレットに浴びせた。
「っ!!」
今度は、ガレットはその攻撃を金棒で弾き返し、シャーロットに反撃を浴びせようとする。
しかし、シャーロットは宙に跳び、その金棒を避けた。青い光を纏いながら宙を舞うシャーロットに、ガレットは目を血走らせ更なる攻撃を仕掛けるが。
その瞬間。目の前のシャーロットは発光し、その場から消えた。
「おお?!」
そして、目にも止まらぬ速さで空中からガレットの後ろに移動したシャーロットは、容赦なくガレットの背中を斬りつけた。
「がぁ!???」
突如訪れた激痛にガレットは声を漏らしながらも、すぐさま反応する。
「テメェ!!面白えじゃねぇーか!!」
そう叫びガレットは後ろに振り向きながら金棒を振るうが、その攻撃が届く前に、シャーロットは高速でガレットの真横を横断し、その腹を抉った。
「うぅっ!!」
またもやその強烈な一撃にガレットは口から血を吐く。
それでも、シャーロットは攻撃を止めない。青い光を纏いながら目にもとまらぬ動きで剣をふるう姿はまるでかつての英雄のようだった。
今は亡き、女の英雄のように……
その猛攻にガレットはただ金棒で攻撃を防ぐことしかできない。さらに、全ての攻撃を防ぎきれるわけもなく、ガレットの身体は徐々に傷が増えていく。
(押されてる!?何もできない……)
「ははっ、ははっ!面白え面白え面白えぇ!!!」
ガレットはただ闇雲にシャーロットに立ち向かう。
否、周りから見ればそう思えるであろうことも、ガレット本人からしたらどうでもいい。
自分が負けている。だが、ここまで高揚することがあるだろうか。
自分がわからなかった。自分が巨獣族として生まれた意味。あの時何をすればよかったかも。辛かった。
だから、暴れることに逃げた。しかし、人を殺すたび飛び散る血は自分に呪いをかけていった。
だけど今は……
「っ!!」
シャーロットの更なる一撃を、ガレットは避けようとするが惜しくも一歩及ばず、その左腕が切断されてしまう。
「がぁーー!!」
しかし、それでもガレットは切断された左腕を気にすることなくシャーロットに対し金棒を振り切り、反撃を喰らわせることに成功した。
その攻撃により、シャーロットは吹っ飛ばされた。
しかし、シャーロットは飛ばされながらも空中で体勢を取り戻し、綺麗に着地する。
(毒でうまく使えない左腕ははなから捨てるってわけね)
「いい判断だけど、攻撃するたびに吹き飛ばしてるんじゃまた振出よ。あなたにしては失敗ね」
ガレットは自らの左手を代償にシャーロットの連撃を静止させることに成功させた。
しかし、シャーロットが遠くに吹き飛ばされ、一時的に攻撃が止まったとしても、また攻撃をし始めればいい。
そして、そう指摘されたガレットは少し頬を緩めた。
「ははっ……随分俺のことを買ってくれてるのは嬉しいが、別に戦略で腕を捨てたわけじゃねぇよ」
今までのガレットとはちがう。自分の失態を認めるような言葉にシャーロットは耳を疑う。
「急に弱気ね……さっきまでの自信はもうなくなってしまったのかしら?」
「……ははっ!!そんなもんは最初からねぇよ。俺はただその都度起こることを楽しんでるだけだ」
自分に自信などないとガレットは笑う。
そう。今までだって笑って強気な態度をとって誤魔化してきただけだ。
「いかれてるわね。私にはわからない。戦いの何が楽しいなんて。現に負けかけてるのにそれでも戦うのかしら?」
「あぁ、楽しいぜ、最高だぜ!!たしかに負けるのは怖い。誰だって死にたくねえからな。けど、何故かなぁ……今はお前と戦えて楽しい」
初めてだ、こんなことを思うのは。
弱い自分が大嫌いだった。負けるのが怖かった。だから、気に食わない奴は全員殺してきた。どうしても勝てない相手からは逃げてきた。
いつか……いつか、殺してやるとそう誓って……
だけど、今のガレットの気持ちはその態度と矛盾している。
何故、ガレットは今死にかけているのに心が躍るのか?
何故、楽しいと感じるのか?
「ぁぁ……これも……あいつのせいかもな」
最初からわかってはいたことを、あの男を見て思った。
弱者が強者に立ち向かう。
そんないかれたこと自分にはできない。格上に萎縮するのだって、生きる為に強者に刃向かわないのだって当たり前だ。自分より強い敵に立ち向かうなんて馬鹿のすることだ。
「俺は馬鹿じゃないからなぁ!!」
なら、自分に本当に必要だったことはなにか?
強者に跪き、恐怖に支配されることか?
「あぁ!!違ェよな!!」
必要だったのは、あの時ガレットがしなくちゃならなかったことは……
「あぁー!!楽しいぜ!!来いよ!!もっと上げてこうぜ!!」
強者に立ち向かう勇気なんかじゃない。
それは、戦いを楽しむことだったのだ。勝ち負けなど関係ない。
死の恐怖を忘れるくらい楽しめばいい。
それが巨獣族に生まれたガレットのすべきことだったのだ。
最初から強者から逃げてきたから気づかなかった。
だけど、今は目の前の圧倒的強者を前に心が高鳴る。
本当はこれが元々のガレットの本質だったのかもしれない。過去の後悔に縛られ、血に縛られ、血に逃げた故に自分でも気づかなかった。
しかし、もうやるべきことはわかっていた。
「さぁ……やろうか。『巨獣族の末裔』ガレット・バロウ」
「……『青霊剣使い』シャーロット・ベル・メディアン」
お互い一回目とは違う。
シャーロットは、康介達を守り過去の過ちを償うように。
ガレットは一回目の時のように手を抜いて戦ったらなんかはせず、本気で楽しむように。
お互いが自らの名を心から名乗る。
「ガァーー!!!」
ガレットは、シャーロットに突っ込んでいく。シャーロットもそれに続いた。
金棒と剣の二つの金属音が響く。
ガレットの攻撃をシャーロットは軽く捌き、強烈な突きを喰らわせようとする。
ガレットはそれを紙一重で避けてシャーロットに一撃を。
しかし、シャーロットはまたもや青白く輝き、ガレットの背中を斬りつけた。
ガレットは一旦距離を取ろうとするが、一瞬でシャーロットに距離を詰められてしまう。
「ははっ……」
何かを悟ったガレットは後ろに下がろうとする足を止め、シャーロットに向かって全力で金棒を振り下ろした。
それに対して、シャーロットも金棒に向かって剣を振り下ろす。
二つの強大な力が衝突して波紋を生みだし、空気を
轟かせる。
爆音が鳴り、煙が起こった。
お互いその衝撃に後ろに飛ばされ煙の中に吸い込まれていくシャーロットとガレット。
そして、両者は同時に煙の中から姿を現す。
シャーロットは青い光で一剣を回り大きく強化し、強く地面を蹴った。
「一閃ーーー」
そして、両者は正面からぶつかり合い、すれ違いーーお互いが背を向け合うかたちになった。
その場から一瞬で煙が払われ、静寂が広がる。
一瞬、時が止まったかの様に両者は動かなかったが……
「はっ……見事」
その言葉を最後にガレットの金棒は横に斬れ、それと同時に、轟音が鳴り、天井が割れ夜空が剥き出しになる。そして、ガレットも血飛沫を上げ倒れ込んだ。
すると、自然にシャーロットの剣の光は天に昇るかのように消えていく。
夜空には満月が浮かんでいて、シャーロットを優しく照らしていた。
倒れたガレットを見てシャーロットは剣をしまった。
「……お母様、私抜けたよ。これでお母様に一歩近づけたかな……」
何処かでこの戦いを見ていることを望み、シャーロットは見上げながら、そう呟いた。
すると、大きな音がして地面に大きく揺れ、天井が崩れていく。
「いけない……このままじゃここも崩れちゃうわ」
シャーロットは、康介とファルを素早くかかえこみ地下室の外に出た。
地下1階の廊下に出ても、ところどころ崩れ、道がふさがっているところもある。
「このアジトももう持ちそうにないわね」
シャーロットは急いで、廊下をかけていき、外に向かったのであった。
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