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CreateWorld~絶対死なない半異世界生活~   作者: 夢幻星流
第1章「初めての異世界」
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第9話 『元不良』アラキダ・コウスケ

前回までのあらすじ

ガレットに言われた真実。

それはシャーロットは康介のせいで負けたということ。

この事実に康介は絶望し、ガレットからはボコボコにされてしまった。


 荒木田康介は中学生にして地元で知らない人はいないほど有名な不良だった。


 巷で『無敵の荒木田』と呼ばれ恐れられてきた彼だが、彼は別に喧嘩で負けたことがないとか、喧嘩が強すぎるとかそういう理由でそう呼ばれていたわけではない。

 というのも、彼は年上のヤンキーに喧嘩をしかけてはリンチにされることで有名だったのである。

 ではなぜ彼は『無敵』と呼ばれていたのか。

それは彼がただ負けて終わらないからであった。

彼は何度負けても、何度挫けそうになっても立ち上がり、最後にはリベンジを成功させる。


 しかし、あの日、荒木田康介は力尽きた。

いわゆる、不良生活に疲れたというものであった。


 そうして、彼は不良をやめ『元不良』となった。


 不良をやめても最初の方は不良が絡んできた。それでも極力喧嘩はしなかった。

今まで使っていたコンビニや裏道は使わなくなった。


 ただ彼は静かに生きたかった。

平和な暮らしをおくりたかった。


 そうして、そんな日々の中、彼は青白い光を見たのである。





「あー、何してんだろ、俺」


 康介は道に仰向けになりながらそう呟いた。目の前には木々があり、その間から見える景色からは、青空が広がっていることがうかがえる。


 そして、

 あれだけ、ガレットにボコボコにされたのに自分は生きている。


「……あー、そういうことね」


 シャーロット曰く、異世界人は能力を手に入れられるらしい。



 そして、これがその能力ってやつらしい。



 康介だって自分の身体について疑問に思ったことがなかったわけじゃない。


 シャーロット曰く猛毒である木の実を食べて、一瞬ヒリヒリしたくらいで、何ともなかった。


 そして、今思い出したが、康介はチラに鉄球で何度も殴られた。その痛みに耐えきれず、康介は記憶が飛んでしまったようだが……

 しかし、そのあと傷は完治していた。

 しかも、むしろ前よりも力がみなぎるように出てきたし、身体も軽かった。


 終いには、その後ガレットに金棒で殴られまくって、身体の骨はあちこち折れたし、息もできなかったし、とても苦しかった……

 が、今こうして無傷で生きている。


「なんだよ、それ……」


 ガレットに殺されかけ、シャーロットの足を引っ張り、シャーロットは今も苦しんでるはずで、康介はとても惨めな気持ちでいっぱいなのに……


 なのに、皮肉にも康介の身体はすこぶる調子がいい。


「くそ!!」


 康介は拳を地面に叩きつける。


「ふざけんなぁ!!なんだよ!!」


 ガレットの言葉、シャーロットとの最後、

それを思い出し、康介は自分への怒りと情けなさでいっぱいになった。

 こんな気持ちになるくらいなら死んでしまいたかった。異世界の空気に抵抗がある?そんなのいらない。痛みも感じず、この世界の空気におしつぶされてしまえばよかったのだ。


「おれはなんで生きてる?」


 神は、嘲笑うかのように康介にこの能力を授けた。


「クソ!」


 康介は何度も頭を地面に叩きつける。血が出てきて、地面は血で滲んだ。

しかし、それを止めると頭の痛みは引いていき、手で触れるとそこに傷はなかった。


「何なんだよ……この能力」


 康介はまたそう呟いた。


 神は康介に死ぬことを許さない。

康介は死んで罪を償うことも許されない。



 何故なら、彼は──荒木田康介は『不死身』になってしまったのだから……




「あの男の言う通りだ…」


 ガレットという盗賊のボスの言う通り。

康介は何故あそこで逃げなかったのだろう。

 シャーロットが苦戦しているのを見て、自分なら助けれるとでも思ったのだろうか。


 しかし、結局康介のしたことは闘いの中、大声を出し、シャーロットの邪魔したことだけ。その後はシャーロットに庇われ、ガレットにボコボコにされ…


「俺は何がしたかったんだ?」


助けてくれたシャーロットの足を引っ張って、康介は何がしたかったんだろう。


「何がしたかっただぁ?ふざけんな!俺はただシャーロットが危険だと思って、だから、急いで駆けつけて……仕方ないだろ、あの時は必死だったんだよ!知るか、俺のせいだぁ!?ふざけんなぁ!!!またこれかよ!!」


康介は、はあはあと息を荒げる。


「なんだこれ、こんな惨めなことあるかよ……」


 そして、情けなくも今康介は生きている。

生き地獄だ。


 康介はふと自分の服装を見る。

泥や血でボロボロになり、破れている制服。

そして、道の隅にぽつんと置いてある、潰れたリュックサック。


「ふざけんな!!何で俺がこんな目にあわねぇといけねえんだよ!!俺は今日、学校に行ってただけじゃねえか。何か悪いことしたかよ!!」


 康介は今日も普通に家に帰って、漫画読んで、寝て、何気ない暮らしを送るつもりだったのに…


「何が、何気ない暮らしだ。これのどこが何気ない暮らしだ!!全然じゃないか!?よくわかんねえ盗賊と戦って、目の前で人が……恩人に迷惑かけて……っ!こんなの……こんなの俺は求めてなんかない……それに……母さん……みんな……」


 思い出すのは前の世界に取り残された母や友人たち。彼らは無事だろうか。

自分と同じように今こうして生きているのだろうか。もしくは……


「あー、やめだ。もう……俺に何ができるってんだよ。俺は……無力だ……」


「あのーー、大丈夫ですか?」


「は?」


 すると、ふと声が聞こえた。

その声は後ろから聞こえてきていて、


「だ、誰だ!」 


「ワタシです」


「ぁ?」


 と、そこには、小さな少女がいた。歳は10から12歳程だろうか。青色の髪を肩までおろしていて、色白の肌に大きな黄色の瞳。


 康介は驚きが隠せず、その少女を見ていると、


「どうかしましたか?」


「ど、どうかって。お、お前……ずっとそこにいたのか?」


「はい、いましたよ」


 少女はそうケロッとそう答えると、康介に笑いかけた。


「大丈夫ですか?ずいぶんと危ない感じでしたけど……」



 康介はまたもや情けなさでいっぱいになる。後ろに人がいたのにそれに気づかずにあんな独り言を言ったり、地面に頭を打ちつけたり……


誰かに見られてたなんて……


「悪いな、お兄さんは今ちょっと疲れてるんだ。他あたってくれよ」



そう、逃げ出すように康介は言い残し、その場をさろうとするが…


「待ってください」


 その少女はボロボロになった康介の制服の腕の裾を掴む。


「何か、困ってるんですよね?ワタシならあなたの悩みを解決出来るかもです」


 そう、少女は康介に笑いかけながら言ったのだった。



ここまで読んでいただきありがとうございます。

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