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4話 この世界の本質

http://ylvania.org/jp/elona/

この物語は、Elonaというフリーゲームの二次創作です。

二次創作は自由ということでさせていただきました。

ところどころ自己解釈が含まれたり、用語の解説がなかったりします、ご了承ください。

 帰宅したリミアは、やどかりの死体を床に下すと、プチの剥製を横に押してずらす。

 そこに姿を見せたのは、下へと続く階段だった。


「これは?」


「私のコレクション部屋、くる?」


「興味ある」


 リミアは再びやどかりを背負い、階段をゆっくり降りていく。

 私もそれに続く。

 冷たくて、死んだかのような空気が漂ってきた。

 そして重たい二重扉を開くと、そこに広がっていた光景は目を疑うものだった。


「ようこそ、私の剥製さん」


 ずらりと並んだ、人の剥製。

 そうか、このエレアは人を招いては油断させ、剥製にしてきたのだ。

 そしてその剥製の一つに、私を加えよう、ということか。

 剥製の中には突如として噂を聞かなくなった二つ名持ちの冒険者が混じっているのがわかる。

 思っていた以上に、手練れのようだ。

 今まで抱いていた恋心のような、憧れのような明るい感情は一瞬にして消え去り、殺されるという感覚が体を巡る。

 すかさずダガーを手に取り、臨戦態勢にはいるが、リミアは依然としてやどかりを背負ったままこちらを見つめている。

 なんだ、なにが目的だ。


「駄目だなぁ、嘘をつくなんて」


「嘘? なんのことだ」


「あなたと生きたい、って言っただろう」


 理解が、できなかった。

 だがリミアは続ける。


「剥製になって、私が死ぬまで一緒に暮らすの」


 あぁ、狂ってるよ、このリミアとかいうエレアは。

 いや、これがこの世界では当然のことか。

 一時でも希望を感じたのがばかばかしい。


「なぜ私が寝ている時に殺さなかった」


「寝込みを襲うなんてとんでもない、私は君が恐怖を感じた瞬間に息の根を止めて、その顔を保存したいんだ」


 ごとっ、とやどかりを落とすと、リミアもダガーを握る。

 私を、殺す気だ。

 だが生憎、こちらも盗賊を生業として生きてきた。

 それなりの実力はあるぞ。


「さあ、もっと恐怖に顔を染めてあげる」


 恐ろしい速さで、リミアは私の懐へ走りこむ。

 反応が、追いつかない――


 とっさにかわすが、リミアのダガーは私の外套をかすめる。

 そして間髪入れず、リミアはダガーを突き刺してくる。


「……やるじゃん」


 リミアのダガーを持った手を、右手で掴み突き刺しを防いだ。

 正直、反射的に握っていた。

 ここにきて盗賊としての経験がいきるとは。

 ぐぐ、と力をいれ振りほどこうとするリミアと、それを阻止しようとする私。

 これはもはや、単純な力比べだ。

 が、すぐにこの力比べに終止符が打たれる。

 リミアは振りほどくのをあきらめ、もう片方の手を私の首元に伸ばす。

 がっしりと、首をつかまれた。

 すかさず私のダガーでリミアの腕に突き刺す。


「ぐっ、あああぁぁっ」


 痛みには慣れていないようで、リミアは苦痛に表情を歪める。

 もはやそこに、私が憧れ恋した凛々しい可憐な顔はなかった。

 あったのは欲と苦痛に塗られた、悪人の顔で。

 腕に突き刺さったダガーを斬り上げるように抜き、喉元を掻っ切る。

 血が、ぼたたたっと首から床へ落ち、そのままリミアは動かなくなった。

 手を離すと、重力にまかせ腕も床へ引き付けられるように落ち、動かない。

 人なんて何人も殺してきたのに。

 殺人に罪悪感をこんなにも感じたのは。

 あのままのリミアで居てほしかった、と心が叫ぶようで。

 同時に、誰も信じてはならないと再確認させられたようで。

 私の心には、何重もの壁がそびえてしまった。

 だが、それでいい。

 この世界で生きていくには、丁度いいのだ。

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