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第零話 prologue


 

皆は地球という生き物をご存知だろうか。

かつては様々な生き物がそこには住み、様々な困難を乗り越えて、文明を発展させていた。




人間もその様々な生き物の内の1つである。人間は高い知能と優れた繁殖能力により、地球を支配する強力な生命体として数千年もの間進化を続けていた。


火や水や電気を効率よく生み出し、本来生き残るため以外の道具を大量に作り出し、無駄な物にも価値を付けた。


それは単に物だけではなく、人間の内側にある精神的な感情から命、モラルに至るまで全てにおいて価値を付けた。人間は人間によって踊らされていた。

 




そして、地球という生き物を完全に支配した頃、人間は狂ってしまった。

 




西暦2106年、幾度小規模な代理戦争を起こしていた旧アメリカと旧ロシアが武力衝突、同時にヨーロッパでもテロが多発、それに伴いアジア圏でも中規模戦争が勃発。


先進国と呼ばれていたすべての国とその周辺国は戦争状態に突入していた。



2039年に第3次世界大戦が起きた時は、核兵器は牽制だけで実際に使用されることはなかった。


どの国土にも空爆を含めた全ての直接的な攻撃はされる事なく、最終的には大規模な海戦だけが行われ、軍の人間は多数死んでも世界大戦前となにも変わらない日常が過ぎていた。





が、この第4次世界大戦ではそうはいかなかった。旧アメリカ軍は無数の小型核ミサイルを旧ロシアの本土に打ち込んだ。


それに対して旧ロシアは降ってくる核ミサイルを上空で破壊する迎撃ミサイルを搭載した空母、音速を超えた速度で落下する2000℃を超えても死滅しない神経毒の入った爆弾を打ちおろす人工衛星で対抗した。


この人工衛星から打ち下ろされる爆弾は地上から宇宙への攻撃が届かないことや、爆弾1つ落下した地域は無条件でほぼ壊滅してしまうことから「神の雷」と呼ばれ旧アメリカの脅威となった。



実際、ヨーロッパやアジアでも戦争は起きていたが、旧アメリカ軍の使用した小型核ミサイルが迎撃ミサイルによって空中で爆発していること、「神の雷」によって広範囲に神経毒が撒き散らされてしまっていたことが大きな原因となり、地球は本来の形を失っていた。


流れる水や雨に当たると金属も溶けてしまい、心地よかった風には毒が紛れ込み、それらで作られる土には微生物も住まない、地球という生き物が汚染されきっていた。




地球に住む人間の人口が3分の1を切った頃、旧アメリカ、旧ロシアによる休戦協定がようやく結ばれた。それによって各地で起きていた戦争も同時に休戦した。そして、地球は人間が住める環境ではすでになくなっていることに気づいたのか、宇宙への脱出を試みる。2111年のことであった。



宇宙への脱出計画は案外潤滑に進んだ。先ずは2120年の人口完全脱出に向けて発展途上国含む全ての国に住む人間はそれぞれ3機の超大型宇宙船に分けられ、共同生活をする。

そして100年後の2220年、再生された地球に戻ってくる計画だった。

100年もあれば汚染された地球は元の姿に戻ると判断した結果だった。




2111年から2120年までのおよそ9年間は、超大型宇宙船の開発、製作と打ち上げ、それに搭乗するパイロットの育成が主に行われた。

生活する人間の選定は特に行われなかった。

第4次世界大戦の開戦からたった5年で地球の人口は20億人を切っていたし、環境汚染の影響で1年で1億から2億人は死亡する見通しがたてられたからだ。

2220年になる頃には1億か、せいぜい2億人程度しか人間は生き残っていない計算だった。



科学者達が躍起になって超大型宇宙船を開発していた頃、敗戦した国の軍人や民間人による紛争が多発した。あまりに多くの人間は宇宙に脱出できないと判断したために、軍人や武器を手にした民間人は殺戮を繰り返していた。 

 

 

 

 

 

 

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