閑話 ヴァージェンスの独り言4
彼が住んでいた所は、行きに通った売春街のはずれにあった。荷造りをしてもらい、家主と話して家を引き払う。彼の荷物は少なく、小さな鞄一つに収まる程度の量だった。残ったものは家主に処分してもらうよう頼んだ。
彼が働いていたという近くの酒場にも挨拶をした。もう日も暮れてかき入れどきだろうに、灯りもついておらず、店の中に客の姿は無かった。近隣の店も同じような様子だ。飢饉と疫病は街の活気すらも蝕んでいるようだ。
奥に声をかけると、中年の婦人が出てきた。アルートの姿を認めると、涙声になった女将さんに抱きしめられていたが、彼は大人びた様子でこれまで受けた恩に感謝し、別れを告げていた。
ミュラジにはもう向かう必要は無いと思えた。ミレーヌの最期の言葉は、アルを探すことだったと確信している。今は一刻も早く彼を屋敷に連れ帰り、落ち着いた環境で過ごさせてあげたい。大人になるにはまだまだ早すぎる。この子は心にも身体にも著しく栄養が足りていないのだ。
アルを連れてイグルートンに帰るまでもなかなかすんなりとは行かなかった。王都に入る直前に疲れが出たのか、彼は高熱を出した。幸いマーリー風邪では無かったようだが、細い身体が更に骨と皮みたいになってしまった。食事を手ずから口に運ぶが、何度も吐き戻してしまい、イグルートン領に帰るまでにこの子の命は尽きてしまうのでは無いかと冷や冷やさせられた。
そんな中、寒さはどんどんと緩み、芽吹きの春がやってきていた。
今年の春訪祭は王都のイグルートン邸の離れで過ごした。
とはいえ春訪祭の時に自邸にいないのは、今年に限った事ではない。ミレーヌが亡くなってからは春訪祭は自邸以外の場所で過ごしていた。何故なら息苦しくなるほど頭の中が後悔で埋め尽くされて自邸にいられないからだ。
ミレーヌが亡くなったのは春の始めだった。その年の春訪祭に間に合うように帰って来てねと言われていたのに、道中事故もあり、大幅に遅れてしまったのだ。
帰ったら彼女に謝らないと、そう思っていたのに屋敷に帰って出迎えてくれたのは冷たくなった彼女の遺体だった。家を出る時にはいつも通り元気に送り出してくれたのに……。何十年も連れ添った彼女を一人で逝かせてしまったことは、彼女のこれまでの私への献身に対してあまりにも不義理だったと思う。私はその自分の悔恨にすら真正面から向き合うことを恐れ、彼女の命日近辺は旅寝をして過ごした。
ミレーヌの遺言の答えを得た今年こそは春訪祭を自邸で迎えられると喜ばしく思っていたが、何の因果か今年もまた自邸には帰れなかった。
王都滞在中に、現イグルートン伯である息子のマクスウェルに養子をとることを相談すると、相続関係の確認だけして事務手続きは彼の方で請け負ってくれることとなった。反対されるのではと思っていただけにあっさりと受け入れられて肩透かしを食らった気分だった。
「ただ改名だけはしてもらいましょう」
と言うのでジョシュアと相談して、アランディルという名前にすることにした。彼の名前はアルートと言ったが、養子にするには名前が庶民的すぎる。私は別に庶民的だろうがどんな名前でも構わないが、それによって彼が軽んじられたり蔑まれたりするのは本意では無い。彼の瞳は淡い青色、春の訪れを告げるアランドの花の色と同じ色だ。冥府の神と同じ色。愛称をアルにすれば、少しでも元の名前の音を残せるだろう。名前は生まれてから最初に貰う親からの贈り物だ。子を残し先に逝かざるを得なかった母親はどれだけ無念だったことだろう。どのような形でも残してあげたいと思ったのだ。
アルの体調が回復したのを見計らい、自邸に連れ帰った。アルには私の自室と扉を隔てて続き部屋になっているミレーヌの部屋を与えた。イグルートン領に帰って来るまでの宿屋では同じ部屋で寝る事が多かったので、寂しがってはいけないと思ったからだ。
いつもと同じように彼の頭を撫でてやる。彼は頭なら触れても不快げな顔をしない。
「おやすみ、アル。良い夢を。もし夜起きてしまっても隣の部屋にいるのでいつでも入っておいで」
屋敷に帰ってきてからは、疲れていたようでぐっすりと眠れたようだ。
連れて帰ってみはしたが、実は彼をちゃんと育てあげられるかどうかは自信はなかった。何故なら子ども2人を巣立たせたが、幼い頃の二人に関わっていたのは殆どミレーヌだったからだ。
結婚当初、爵位を譲られたばかりの私にとって領主という仕事は非常に神経を擦り減らすものだった。元々王都に住む子爵家の三男だった私は、自分の興味の赴くままに、メイリンダム貴官学校でも研究畑を歩いてきたからだ。ひょんなことからミレーヌと運命的な出会いを果たし、一人娘だった彼女の為にイグルートン伯爵家に婿入りすることになった。先代に補佐してもらいながら、慣れない仕事を覚えていく毎日だった。
当然子ども達との時間はなかなか取れず、時折取れたとしても、私は母と子の絆の強さの前にいつも躊躇い、怖気付いていた。そんな私を見かねて手を引いてくれる人はもういない。
また息子との関係性も良いとは言えない。貴官学校を優秀な成績で卒業した息子は、すぐに爵位を継がせた。本人の希望を叶えた形だが、彼の目からだと私の領地経営には色々と物申したい事が多かったようだ。彼の経営手腕は素晴らしく、私が領主だった頃よりも明らかに発展していっているのがわかる。
私は先代のやり方をそのまま続けることしか出来なかったが、息子のマクスウェルは新しい物を貪欲に取り込み柔軟な発想で斬新な方策をいくつも行うことが出来たのだ。
出来の悪い領主だった私は、様々な場面で彼を苛立たせたようだ。ミレーヌがいる頃は彼女が間に立ってくれたが、ミレーヌが亡くなってからは余計に顔を合わせなくなってしまった。
逆に娘のユーラディアは隣の領に嫁いでからもよく様子は見に来てくれたし、男やもめになってからは私の目が届かないところまでよく気遣ってくれた。
アルとはどんな関係が築けるだろうか。願わくば互いに不快でない関係を築きたい。
◆
翌日には娘のユーラディアと孫娘のサラがやってきた。王都を出て、帰りの日程の目処が立ったところで手紙を出したからだ。
私が連れ帰ったアルを紹介すると二人とも目を丸くして驚いていた。サラは早速アルを連れて庭に遊びに行った。サラは朗らかな良い子だから仲良くしてくれるだろう。
「さぁ、お父様。こちらでゆっくり話を聞かせてもらいましょうか」
ユーラは二人っきりになると、母の顔から途端に心配性の娘の顔になる。口を尖らせるクセはしっかりとサラにも受け継がれている。
私はお茶を入れてもらいながら、ミレーヌの遺言を調べる為、王都からヌースカに旅した話を掻い摘んで話した。
ユーラはふーぅとため息を一つついたが、顔はしかめられたままだ。
「そうですか。お母様の事だから何かしら考えはあるのでしょうけど、養子にするのはお兄様と相談なさってからの方がよろしいのでは?」
「王都に寄った時にマクスウェルには相談したよ。快く賛成してくれた訳ではないが、イグルートン家に迷惑さえかけなければ、好きにしていいと言われたよ」
「そうですか。なら私は口出し致しませんわ」
ユーラはカップから紅茶を一口飲んで、労りを込めた目元をほころばせる。
「お母様は自分が亡くなった後もお父様を暇にさせてはいけないとお思いになったのかもしれませんね。気鬱の虫も何処かに行ってしまったでしょう?」
そんな娘の言葉に苦笑で返す。確かにアルと出会ってから私はハラハラドキドキさせられて、彼から目が話せなかった。男やもめが育てることになるので、足りない部分は手伝って欲しいと頼むと快く引き受けてくれた。
これまでアルと食事をしてきた中でテーブルマナーは一通り習っていたことが見て取れたので、晩餐にもアルを出席させた。しかし彼はまた熱が出てしまい途中で中座してしまった。昨日から、屋敷の者や、サラにユーラと、知らない人に次々と紹介され気疲れもしていただろう。長旅の疲れもまだまだ癒えてはいまい。
ヌースカからここまでアルは度々熱を出したので私自身も看病のやり方は一通り出来るようになった。自分の事でさえ最低限の事しか出来ない私が甲斐甲斐しく世話をしている姿を見て、執事のドゥルーヴにも驚かれた。
これもジョシュアに色々と教えてもらったお蔭だ。平民の親は子との距離が近いと聞いたので引き取るなら責任を持って人に任せきりにしてはいけませんよと言われ、旅の間も交代しながらアルの世話をした。アルは初め私たちがいること自体慣れないようで、少しの物音にも神経を使い、目から警戒心がなかなか抜けなかった。それから日を重ねるにつれて少しずつ歩み寄ってくれる様は、野生の動物が懐いていく様で可愛らしいものだった。
握った手が熱い。アルをベッドに座らせる。熱が上がってきたのかぼんやりと虚空を見つめている。
「汗をかいているだろうから身体だけでも拭いておこうか。自分でできるかい?」
その問いかけにアルは小さく頷いた。吐く息も上がり、苦しそうだ。身体を拭く位は任せてくれてもいいのに、彼は肌に触れられるのを嫌がる。最初に熱が出た時にジョシュアが拭いてやろうとすると、服をギュッと掴んで涙をハラハラと落としながら嫌がった。なので出来る限り彼の意思を尊重して最低限の手伝いにとどめている。
ドゥルーヴが用意してくれた湯に手拭いを浸して絞った後アルに渡してやる。拭き終えたところで、ゆったりとした寝着も用意した。
寝台に横にさせて、掛け布団を首のところまでかけてやる。アルはちょっと困ったような顔をして「ありがとうございます」と掠れた声で礼を言ってくれた。
「冷たい水を盥に入れてもらってくる。ゆっくり寝てなさい」
そう言って扉の方を向くと後ろからか細い声で、「ごめんなさい」というのが聞こえた。晩餐を中座してしまったことへの謝罪だろうか?確かにサラと少し口論のようになってしまっていたが、そんなこと気にしなくていいのに。
私はもう一度彼の枕元に行くと、教え諭すように語りかけた。
「体調が悪い君が不機嫌だったくらいでは誰も叱ったりしないよ。君はまだまだ子どもなんだから大人に対してもっと我儘でいいんだ。変に取り繕ってしまうと鈍感な私は気付けないからね。分かりやすいくらいで丁度いいんだよ。自分の心に素直でいてほしい」
彼は眉間に皺を寄せて納得がいっていないような不安げな様子だったが、「はい」と口では返事をした。熱のせいであまり深くは考えられないだろう。彼は辛いのかその後すぐに目を閉じた。
盥に水をもらい再び部屋に戻った。更に熱が上がっているのかふうふうと息を吐いて苦しそうだ。そろりと額に手を当てると驚く程熱い。額に絞った手拭いを置いてやる。
かちゃ…と音がしたので扉の方を見遣ると孫娘のサラが入ってきた。彼女に笑顔を向け頷いて入室を許可すると、静かに近寄ってくる。
私の側から彼女がアルの顔を覗き込むと、熱で夢でも見ているのかうなされるように何か呟いている。
「嫌だ。嫌だ。サバッカンになんてなりたく無い。嫌だ。嫌だ。嫌だ」
「ねぇ、お爺さまサバッカンってなぁに?」
こちらを振り返った孫娘に問われる。
「ああサバッカンか…。サラ、それは……」
その言葉で思い浮かんだのが、北方の卑語だった。野良犬の事をサバクと言うが、最後の文字を重ねてanを付けると女性形に変わる。つまり直訳すると、雌の野良犬と言うことだが、わざとこういう言い方をする時の用法は限られている。この言葉をよく聞く場所は北方の娼館だと言えばピンと来る人は多いだろうか。
出会った時の会話といい、神からの贈り物の様な美しい顔を持っているが、彼が受け取るものは恩恵ばかりでは無かったらしい。肌に触れられるのを嫌がるのもしょうがないことだろう。まだこんなに幼いのに醜い欲望の対象にされていたとは。それを彼に向けた大人を思い、おぞましさを感じた。
私はアルの顔にかかった髪を撫で付け、サラの背中に腕をまわした。サラにはまだアルの過去の事を伝えるのは時期尚早だ。賢い子だからいつか気づくかもしれないが、今は彼の悪夢を払ってもらうだけにしてもらおう。
「それは今その意味は君には伝えられない。賢い君ならその意味にいつか気付くかもしれないし、アルが自分で君に伝えるかもしれない。でも今は何も考えずに聞いたことを忘れておあげ。それはアルにとって確実に辛い思い出に直結した言葉だから」
サラは「んー」と眉を寄せて私が言った言葉の意味を考えている。
「よく分からないわ、お祖父様。でもとりあえずアルが言っていたことは誰にも言わずに胸の奥にしまっていたらいいのよね」
サラの言葉に頷いて、翌朝に悪夢を払うおまじないをしてくれるよう頼んだ。
彼女にはミレーヌと同じように少し不思議な力がある。ミレーヌは先見の力だったが、サラは呪いの力だ。ミレーヌが言うにはイグルートン家の女性には時々そういった不思議な力が顕現することがあるのだと言う。
「昔降嫁してきた王女様の血のせいね。イグルートン家には何代か前に王家から飛び出した力のある破天荒なお姫様がいて、我が家に入ったのよ」
と話していたこともあったが、王家にそういった不思議な力があるなんて聞いた事は無い。これもまたイグルートン家の女性に伝承されてきた事なのかもしれない。
その中でもサラの力は特別なようだ。ミレーヌは生前「この力が他の家に移った先で出ることもあるのね。サラにはいずれあの女神様の家を見守ってもらうことになるかも」と冗談のように話していたが、案外本気だったのかもしれない。
「分かったわ。明日起きたら、またここに来ておまじないをしてあげるわ」
サラの素直で優しい言葉を聞いて、私はやや癖のある彼女の頭を撫でてあげた。
「いい子だね。私のかわいいサラ。ではそろそろ寝支度をしてしまいなさい。私ももう部屋に帰るから部屋まで一緒に行こう」
「ええ」
サラと手を繋いで、部屋を出る。彼女の小さな手はふくふくと柔らかい。廊下の窓から見える月はまるまると太っており、暖かな光が磨かれた床を照らしていた。
◆
サラとアルは直ぐに打ち解け、毎週のようにサラは屋敷に来るようになった。二人でひそひそ話をしたり、庭で駆け回る姿を見ると息子と娘が小さい頃をよく思い出す。
アルの身体も少しずつ肉がつき、身長も伸び始めた。頬が丸くなり、顔つきも柔らかくなっていく。時折大人びた気遣いも見せるが、無邪気な表情も増えていく。長い人の一生の中では、あまりにも短い子ども時代を、光を散らすように駆け抜けていく姿は眩しかった。
しかし時々夜は揺り戻しのように不安定になることもあった。
ある夜半過ぎ、ふと目が覚めた。アルが寝ているはずの扉から押し殺した様な泣き声が聞こえる。
その扉を開けると、盛り上がった布団からやはり泣き声がはっきりと聞こえてくる。私はベッドランプの灯りを付けて、アルに声をかけた。
「どうしたんだい。アル。」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
アルは布団から出てくるとその泣き濡れた顔を押し付けるようにして、うわ言の様に謝っている。私は何かに怯える彼の背中を少しでも落ち着けるようにと撫でた。
シーツに手をつくと、そこがじっとりと濡れていることに気づく。
ああ悪夢を見て漏らしてしまったのか…?慣れない環境で、不安や緊張が高まって身体のリズムが崩れてしまったのかもしれない。
「どうしたんだい?辛い夢を見たのかな?ああ、少し寝汗をかいてしまったようだから、着替えようか。手伝ってあげよう」
もう10歳にもなると漏らしたということを他人に知られるのは恥ずかしいだろう。少しぼやかせた言い方で着替えを促すことにした。
そうしてワードローブを探る。照明も暗く手元が分かり辛かったが、どうにか着替えを引っ張り出して、小さなボタンに悪戦苦闘しながら着替えさせた。アルはこちらのなすがままで、泣き止んではいたが、少し放心しているようだった。
伏せた睫毛に、落とした薄い肩に、寄る辺の無さを感じて胸が痛む。
濡れたシーツを替えるのは明日お願いしよう。朝まで時間はある。幼い子には安心出来るベッドと温もりが必要に違いない。彼を自室のベッドにお誘いすることにした。
「さぁ、こちらの部屋においで。今日は私のベッドで一緒に寝ようか」
叱られるとでも思ったのか、彼の身体に力が入ったのが分かったが、「大丈夫、安心して」という気持ちを込めて小さな彼の手を握って自室に誘導した。
ベッドに横になってからは、何度も頭を撫でた。彼はちょっと恥ずかしそうにしたが、嫌がる素振りはなかった。
気分を変える為に、私が小さな頃にお祖母様から聞いた話をしてあげることにした。妖精が子どもを助ける話だ。その話をしながら、内心でこの非力な子どもである君が困った時に妖精でもなんでもいいので手を差し伸べてくれる人が出来ますようにと祈る。
彼は私にしがみつくように抱きつきながらいつしか眠りについていた。子どもの高い体温を感じて、泣きたくなるような愛おしさが溢れてくる。
あどけない寝顔に、泣いた為に少し赤く腫れた目元が痛ましく見えた。
朝になり、私はアルに悪夢を払うおまじないをした。以前怖い夢を見たと言っていたサラにやってあげると「わぁ!黒いモヤモヤが散っていったわ」と言っていたので、光は出ないながらも意味があるだろう。過去の事はどうしても生きている限りは消すことは出来ないだろうが、少しでも今の生活が彼の慰めになればと思う。
アルはその様子をぼんやりと見ていたが、終わると少し嬉しそうに口元を緩めて、「ありがとうございます」とよく通る声で礼をしてくれた。
◆
そんな彼も遂に王都のアナレイス騎官学校へ入学だ。勉強に没頭する姿はこちらが見ていてはらはらする程だった。
見るに見かねて安眠に最適だというカモミールティを夜中に入れ、彼の部屋を訪れたことも一度や二度ではない。
あんなに窶れ、打ち萎れた花のようだったのに、たっぷりの水と肥料を与えられ、瑞々しく空に向かって伸びて行く姿が見られて嬉しい。そして彼の努力が結果として実を結んだことが本当に誇らしく思える。
正式に養子縁組をし、同じ屋敷で3年暮らしたが、結局呼び名は「ヴァージェンス様」のままだ。一緒に住んでいるうちに、「お父様」は年齢的に無理にしても「お祖父様」くらいは呼んで欲しかった。彼は一線を引きたがっているが、私はもう家族として愛しているのに。まぁ、アルが完全に独り立ちするにはまだまだ時間はある。じっくりといこう。
そう死ぬまでにはまだ時間があるのだ。私とミレーヌの血を繋いだ者たちとアランディルが、人生の中で幸せを感じていく姿を出来る限り長く見続けていきたい。
第二章は2月よりスタートする予定です。




