第1話.NOTitle
学校において体育の授業の前と後に使われる更衣室。
そこは教員の目が行き届かない、いじめの温床…。
関東の某所にあるこの中学校でもそれは一緒だった。
狭い更衣室の中で2人の少年が大勢に囲まれていた。
「おい、弘樹、早くズボン脱げよ。」
2人を囲んでいる大勢の中の一人が言う。
弘樹と呼ばれた少年は一瞬ズボンを脱ぎかけたが羞恥心の為か思いとどまる。その様子に苛ついた様子で集団の中で一番体の大きいリーダーと思われる少年が怒鳴る。
「おい、弘樹、お前がバスケでミスったお陰でこっちは散々な目に遭ってんだよ!お前反省してるなら早くズボン脱げよ。お前とおんなじようにミスった浩二はこの通りズボン脱いで見せてんだから!」
弘樹の横にいる浩二と呼ばれた少年はねずみ色のパンツ一枚で立っている。弘樹は、ダンマリを決め込む。
「おい、誰かこいつ押さえといて、俺が脱がす。」
誰かが言った。いじめっ子が一つの思考を共有した時ほど恐ろしいものはない。弘樹は必死に抵抗したが10秒もしないうちに四肢を取り押さえられて身動きが取れなくなった。
「伸二君、お願いだからズボン下げるのだけは許して!」
弘樹は必死に集団のリーダーに叫ぶ。しかし、伸二はそんな弱者の要求を聞き入れることなく一気に弘樹のズボンを引き下ろした。
次の瞬間更衣室が笑いの渦に包まれる。
「弘樹、中1になって、ブリーフはねーわ!」
「弘樹のパーンツは紺色パンツ♪」
弘樹は赤面したがどうにもならない。
「おい、こいつらのパンツの中も点検しようぜ!」
また誰かが言った。繰り返しになるがいじめっ子が1つの思考を共有したときほど恐ろしいものはない。
弘樹がズボンを脱がされているとき放置されていた浩二もあっという間に四肢を取り押さえられて身動きが取れなくなった。
そして、2人のパンツは同時に下げられた。
一瞬の静寂のあと更衣室は再び笑いの渦に包まれる。
「弘樹くーーん、身長の成長は遅いのに性長は早いわ!」
「浩二くんは身長の成長も遅い上に性長も遅いわー!もっと頑張りましょう!!」
その時だった。
キーンコーンカーンコーン
次の授業の開始を知らせるチャイムがなった。
「やべ!もう次の授業始まっちまう!」
伸二がいったのを皮切りに「やべー遅刻だ」「次、糸山の授業じゃん、めんどくせーな」と周りの人たちも言い出し、伸二達は慌てて更衣室から出て行った。
先程までとは打って変わって、静かになった更衣室にはほとんど全裸に近い状態の2人だけが残された。