明日の記憶
一年前:主人公 天美 あの日あの時
俺と天美は一年前付き合っていた。
そして学校の誰もがあこがれるほどアツアツだった。
そしてこのときの俺はクラスメイト誰とも話せるくらい仲がよく、 天美と一緒でクラスの中心になっていた。
【天美)「颯太くん…私のこと…ずっと好きでいてくれる?」
天美はそう恥じらいながら俺に聞いてくる。
【颯太】「あぁ…あたりまえだろ」
だから俺も本心で答えた。
毎日天美からこんな事ばかり言わされた、 でもこれが俺たちにとってもさりげない幸せだった。
もっとこの時がずっとつずけばいい…俺も、 天美も、 周りのみんなもそう思っていた…そんな時だった。
「あれ」は起こったのだ。
この当時の俺はバイトをしており、 その帰る途中の出来事…。
出勤場所のコンビニは俺の家から徒歩五分といった近さで週三日出勤、 学生には結構ハード。
バイトも終わり、 帰る途中三輪車に乗った男の子が道のど真ん中にいた。
【颯太】「おーい!、 何やってんだあぶねーぞ!」
そう声をかけた瞬間、 猛スピードで大型トラックが突っ込んでくる。
【颯太】(まずい!)
俺は衝動的に手でその男の子を突き飛ばした。
その瞬間、 意識が飛んだ。
意識が飛んだ後のことは覚えていない、 ただ目が覚めた瞬間そこは病院だった。
全身が痛い…。
ここはどこ?、 俺は誰?
このときの俺は重度の記憶喪失。
なにもかもを忘れていた。
俺がパニックになるからという理由で天美やクラスメイトの面会は出来なかった。
親は俺が記憶喪失になったというのに一度も会いに来なかった、 いや、 親は
俺が幼いころもう既に死んでいる。
俺の両親はフリーのジャーナリストで世界中の紛争地域を回っていた。 その交戦中に流れ弾が当たり二人とも
死んでしまったらしい。
あの時の俺は、 心が無いに等しかった。 本来の望月颯太の記憶はほとんどないのだ。
そして俺はいつの間にか今の病院よりさらに大きい病院…大学病院に移動していた。
俺は心理学精神科の先生に診てもらうことになった。どうやらすごい先生らしい。
でも、 俺の記憶は戻らなかった。
そしてこの大学病院がおこなった最終治療は…「記憶の改ざん」だった。
つまり、 俺の記憶を作るということだった。
簡単にいえば俺の前でその作り変えられた記憶を唱える。
このことを毎日続けられた。
作り変えられた記憶は「普通」の記憶だった。
つまり、 それは俺の「性格」まで変えてしまうことだった。
そして、 俺と天美は「いい友達関係」という記憶にされてしまった。
しかし、俺はその作り変えられた記憶を覚えることによって徐々に脳や精神面で回復した。
何か月が経っただろう…、 もう俺は学校生活が送れるくらいに回復した。
そして学校に通うことになった、 もう進級していて二年、 クラスには知らないやつばかりだった。
しかし、そのクラスには俺にとって「いい友達」がいた。
天美だ、 あの時の俺は恐らく天美の深く心を傷つけてしまったのだろう。
そして俺は天美にとってもう一人の「望月颯太」になった……………………。
保健室:主人公 保健室の先生 決意
【颯太】「うっ…うう…」
俺は前回倒れた時と同じようにベットに寝かされていた。
【颯太】(…あぁ俺あの時倒れたのか…、 運んでくれたとは大森だろう…)
俺はすべて思い出した、 俺の背負っていた「大逆」を。
そして天美が戦う理由…それは俺の記憶を戻すことだということ。
【颯太】(俺のせいで…天美は戦ってたのか…)
今の俺は天美に謝りたい、 今はそのことしか頭にないのだ。
【保健室の先生】「起きたか?」
【颯太】「はい、 おかげさまで」
【颯太】「あの…俺天美が好きです、 言葉で表せないほど感謝してます」
つい、 本心をここで言ってしまい焦りと恥ずかしさで頭がまっしろになってしまった。
【保健室の先生】「おう! じゃあ頑張って告白してきな!」
そう言って先生はこちらを見て微笑みながら言った。
【颯太】「本当にすいません二度も迷惑かけて」
【保健室の先生】「気にしなくていいよ、 今度保健室来るときは二人で来なよ? いつでもえっちできるよう開けとくから」
【颯太】「さすがに俺そんなことできるほど根性ないんで」
【保健室の先生】「そう? でも前に来た時よりかっこよく見えるよ、 なんていうか…覚悟みたいな?」
【颯太】「ありがとうございます、 じゃあ天美んとこ行ってきます!」
そういうと保健室の先生は、 「男は根性!」と言って俺が保健室から出るのを見届けてくれた。
俺の周りは本当にいい人ばかりだ、 応援してくれた先生も、 ヒントをくれた大森も、 そして俺のために戦ってくれている天美も……。
俺は天美を探して今廊下を走っている、 どこにいるのかはわからない、 でもひたすら俺は走った。
そんなとき世界が反転し始める。
【颯太】「いつでも来いよ」
そう言った瞬間世界は完全に反転した。
Another school:主人公 天美 洋司 未来を変えろ
俺はさっき同様廊下を走りつずけている、 明らかに人が出せるようなスピードで。
でも見当たらない、 俺は屋上を見上げた。
屋上は昔の記憶で俺と天美がよくいった場所、 告白したのもあの場所だ。
そこには二人の人物が戦闘していた。
一人は火の玉を手に発生させ相手にいくつも発射、 しかしその攻撃は槍をもった少女によってすべて当たる前に切られた。
【颯太】(天美!それと……山口か!)
ようやく理解ができた、 おそらく二人は相撃ちになり二人とも死ぬ、 つまりそういうことだ。
【颯太】(そうなる前に早く!)
そう思い、 俺は階段まで向う。
【颯太】「うぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
能力のおかげで以上に早い、 そして、 2階、 3階、 4階、 そして屋上、 俺は最後の屋上に行くドアにぶつかるようにドアを開けた。
そこには肩から血を流した山口が立っている、 もう一人天美は無傷。
そのとき天美が自分の持っていた槍を山口に確実にあたるよう完璧な角度と銃弾と同じくらいの速さで投げた、 確実にあたったら体を突きぬかれる…いや、 死ぬだろう。
俺だから動けたのかもしれない、 俺は「あの時」と同じ衝動にかられて山口を突き飛ばした。
【颯太】「これで運命が変わるならやってやんよ!!!!」
そのとき俺の腹から血がぽたぽたと雫のように流れ出してくる、 槍が俺の体を貫通したのだ。
【天美】「どう……し……て……」
天美は呆然としている。
【洋司】「お前……」
山口も同じような顔をしていた。
おなかが痛い、 全身が痛い、 でも謝らなくちゃいけない。
俺は天美にどこからかわきあがる最後の力をつかって近寄る。
一歩、 二歩、 三歩、 四歩、 なんとかして天美の目の前にたどり着けた、 でも俺の体はもうそう長くは持たないだろう。
【颯太】「あ…天美…ごめんな…、 俺全部思い…出せたよ、 お前に謝らないといけないことたくさんある…」
そういって俺は天美に抱きついた、 最後の、 最後の、 本当に最後の力を振り絞って…。
【天美】「うあぁあぁあああああああ!!!!」
天美は泣きじゃくりそして、 強く抱きついてくる。
【颯太】「泣いてる…天美は…可愛くねぇよ…、俺は…笑って……る天美のほう……が何倍……も…好きだぜ…」
【天美】「私も…笑ってる颯太君が一番好き…だよ」
【颯太】「天美…最後にこれだけは言わせてくれ…」
【天美】「最後なんて言わないで!!…私の…せいで…」
【颯太】「お前の…せい…じゃねぇよ…、 お前の気持ちにきづけ…なかった、 おれが…全部…悪い…」
【颯太】「もう一…度この場所…で言わせて…くれ俺は…お前が……」
【颯太】「大好きだ」
これは俺が告白の時に言ったセリフ、 正直で俺らしいと天美に言われた。
そして全身の力が抜ける、 力尽きたのだ。
俺は運命を変えられた、 自分を犠牲にするということで…。
でも、 悔いはない、俺が天美を好きだともう一度屋上で言えたのだから…。
そして俺は今まで見た世界とは違う世界に飛ばされた、 つまりそれは「死」なのだろう…。
本当に…よかった…。
???:主人公 ??? 救済
【颯太】「ここは…どこだ?」
俺が見た世界、 それは辺り一面ましろ色の世界。
この世界そのものから声が聞こえてくる…。
【???】「お前超かっこよかったぜ! さすがヒーローになる男は違うな!」
【颯太】「あんた…誰だ?」
【???】「俺? 俺かい? 俺はな、 お前と同じヒーローになる男だ!」
【???】「でもなお前はこんなとこでしんじゃいけないよ、 お前はファイナルステージまで生き残るべき人間だ」
【颯太】「……俺はもう一度天美を守りたい」
【???】「お前の覚悟受け取ったぜ、 今回だけ特別俺の力貸してやるよ!」
【颯太】「なぁ?・・・あんたは一体?」
【???】「ふふふ…俺はな通りすがりのヒーローとでも覚えといてくれ」
【???】「とにかく! お前はこんなとこで油売ってないで早く守りたい人のそばに行ってやれ!」
【???】「じゃあな! 相棒!」
そしてそのましろ色の世界は静かく、 やさしく、 崩れていった…。
部屋:主人公 天美 洋司 結束
【颯太】「うっ…」
見慣れた天井が視界に入ってくる、 どうやら俺の部屋のようだ。
【颯太】「俺…生きてるのか…? しかも、 どうしてここに…」
俺は貫通したお腹をさするが何ともなかったように傷がなかった。
【洋司】「…起きたか」
俺はすぐに身構える。
【颯太】「お前どうしてここにいるんだ? あと…なんで俺生きてるんだ?」
【洋司】「もうお前らとは戦う気はねぇよ、 あとお前の回復力を聞きたいのはこっちのほうだ、 お前、 何を使った?」
心当たりはある、 おそらくあの世界の主が助けてくれたのだろう、 でも言えない、 言ってはいけないそんな気がしたのだ。
【颯太】「俺にもよくわからない…」 そう答えた。
【洋司】「そうか…」
山口はそう言って黙り込んだ。
【洋司】「なぁ、 お前「罪」って何だと思う?」
俺にとっての「罪」…、 それはなんだろう? 天美を守ること? このゲームに生き残ること?
【颯太】「…わからない」 俺は一言そういった。
【洋司】「同意見だ」 山口はそう意外な言葉を口にした。
【洋司】「お前は本当に「罪」が願いをかなえることだと思うか?」
【颯太】「…わからない」
【洋司】「このゲームのルールよく見たか? 「罪」には願いをかなえるなんて一言も書いてなかった、 おかしいとおもわないか?」
確かにその通りだった、 メールには一言もかなえるなど書かれていない。
【颯太】「でも、 俺は「罪」が願いをかなえるものであって欲しい」
【洋司】「お前とは気が合うかもな、 俺もそう思うよ、いやこのゲームに参加してる連中みんなそう思ってるかもな…」
【颯太】「もし、 「罪」が願いをかなえるものじゃないなら俺たちは何の目的で戦わされてるんだ?」
【洋司】「さぁな、 俺も今それが気になってるんだ」
俺たちが戦っている理由…本当に願いを「罪」が願いをかなえるのだろうか? 叶えなくてもいい俺はこのゲームに生き残りたい、 天美と…。
【颯太】「そういや、 天美はどうした!?」
【洋司】「大丈夫、 お前の彼女さんは無事だ、 俺ももう殺しはしねーよ、 …俺も気狂いしてたみてーだな」
【洋司】「俺…なんで殺しちまったんだろう…」
山口は人を殺して反省する容疑者、 もしくは受刑者と同じ顔をしていた。
こいつは「人殺し」なのだ、 人を殺してしまった、 どんな理由があろうと誰かをあやめてはいけない、 俺たちは与えられた「命」で生きている、 「命」は誰にだってあるでも一つしかない、 山口はまさにそれを奪ったのだ…。
【颯太】「なぁ、 お前は何で「罪」が欲しいんだ?」
【洋司】「………」
【颯太】「今はいいよ、 俺はお前の大逆をえぐるつもりはないよ」
【洋司】「なぁ……ここで目の前の大切な人物を守れなかった奴の話…していいか?」
俺は何も言わずこくりとうなずいた。
【洋司】「ある時仲のいい「兄弟」がいたんだよ、 いやそれはどこにでもいる喧嘩したり一緒に遊んだり、 普通の「兄弟」が…」
【洋司】「もちろん家族みんな仲が良かった、 どこにでもありふれた家庭、 幸せ、 でもさ…それが一瞬にして消えちまったんだよ…」
【洋司】「あるときさ、 その家族は旅行中事故にあったんだ、 でさ父親と母親が死んじまったんだよ」
【洋司】「その兄弟はすごいショック受けたんだ、 でも二人だったから励ましあったりしながら立ち直った、 で母のほうのおじさんに引き取られることになったんだよ、 もちろん両親の祖母、 祖父、はもう死んじまってなそこしかなかったんだ」
【洋司】「……そこでその兄弟はいわゆる虐待を受けた、 もちろん十分な食事も取らしてくんなかったし、 いろんなことにこき使われた、 そして全身アザだらけ、 血もいっぱい流した、 でも病院には行かなかった、 行かせてくんなかったんだ」
【洋司】「でも二人だから頑張れた、 生きられた、 希望があった」
【洋司】「情けない話…兄が学校に帰ってくるのが少し遅れちまったんだ、 帰ってきて一番最初に見たもの…お前なんだと思う?」
【颯太】「…弟の死体か」
【洋司】「当たり、 兄は帰ってきて最初に見たもの…それは弟が頭…いや目から血を流して死んでいた、 兄は必死に叫んだ「死なないで!」ってな」
【洋司】「そこで…兄は「気狂い」したんだ…、 台所にあった包丁取り出して、 それでおじさんを刺した、何度も、 何度も、 何度も、 血があふれるように出たそれはもう気持ち悪いくらいに…」
【洋司】「兄は弟と同じ苦しみをおじさんにも与えさせてやりたかったんだ……、 でなそのあと兄は自分で警察に「人を殺しました」って電話したんだ、 その後おじさんが虐待したこと、 弟をころしたこと、 そして俺がおじさんを殺したこと全部わかったんだ、 兄はまだ幼かったから少年院で済んだ、 でも、 弟は戻ってこないもう二度と……」
【洋司】「今の話理解したろ?」
つまりこういうとだ、 この山口洋司という人間は弟を生き返らせるためにこのゲームに参加している、 そしておじさんを殺した時の衝動と一緒で加納を殺した。
俺を協力を促した時その時もあの時と同じ「気狂い」をして、 自分を見失っていたのだろう。
【颯太】「でも…人を殺すのは人として最低な行為だ、 それがどんな理由であっても、 それにゲームに勝って弟を生き返らせたって弟は喜ばないそう…思うぜ」
【洋司】「ははっ…確かにそうだな…、 あとさお前ら見てて思ったんだ…もしかしたらあの時乗り越えられたかもって」
【洋司】「なぁ…俺をお前らの仲間にしてくれ、 俺はお前らを信じていいと思ってる…せめてお前らの願いをかなえてやりたいんだ、 そしたらさ弟も喜ぶ気がするんだ…」
洋司はまっすぐとした瞳でこちらを見て頭をさげた、 それは偽りのない正直な「思い」だった。
【颯太】「協力しようぜ、 おれたちのために、 弟のために…」
俺はそういって握手を求めた、 そして山口が…いや洋司が俺の手を握ったそれはとても強い、 強い、 力だ。
【洋司】「ありがとう…ありがとう…」
洋司は号泣していた、 そして俺に抱きつくだから俺も強く抱きしめた、 これが「友情」なのだろうか…、 俺の目からも一滴…涙が流れた…。
【洋司】「ありがとな…颯太」
やっぱり、 こいつもやさしい、 誰かを守れなかった…その気持ちは俺にはとても理解できた、 抱えてきたからこそこいつは「強い」のだ…。
「ドタドタドタ!!」 階段からなにかすごい勢いで上がってくるような音、 まずい…天美だ!
さすがにこの男同士が抱きつき合ってる画を見たらどう思うだろう…離れたくても離れられない、 洋司はまだ少し泣いているからだ。
「ガチャ」
ドアが全開に開いた。
【颯太】「終わった…」
天美にその状況をガン見された…、 天美は赤面そして俺を…。
「バコーン!」
ぶん殴った。
【颯太】「天美、 これは誤解だ! 確かに洋司は女の子らしい顔立ちをしていてかわいいがこれは違うぞ!」
【天美】「私のこと好きって何度も、言ってくれたのに…すぐにほかの子に手を出して…しかも相手が男…」
天美の手はプルプルと震えている、 やばい今度殴られたら俺やばいって…。
「バコーン!」さらにもう一発俺の顔にクリーンヒット!!
【颯太】「ぐふっ!!」
俺は再び深い眠りについた…。
そしてそれから何時間後に目が覚める。
目を開けると洋司と天美の顔がはっきりと見えた。
【天美】「颯太君…ごめん、 事情は全部聞いた…」
【颯太】「いや、 いいんだわかってくれれば…」
【洋司】「俺も誤解させるようなことしちゃってごめん…」
二人は俺に反省の意を向けた…。
運命とは面白いものださっきまで殺し合いをしていた二人がここにいる、 そして俺に同じ気持ちで謝っている。
俺はおかしくて笑いが止まらなかった。
【颯太】「ははははははは!!!!」
それは心からの笑いだった。
二人不思議そうな表情でこちらを見つめていた…。
それからちょっと時間がたち、 天美も洋司が仲間になることに賛同してくれた、 おそらく天美もあの話を聞いていてそう思ったのだろう。
そして俺たちはリビングにいた…。
リビング:主人公 天美 洋司 共同戦線
俺たちは今あの「メール」を待っている、 毎日のようにくる脱落者の通知だ。
でも俺は知っていた、 サードゲームでは誰も死しないことを…、 もう一通の死の宣告の「メール」を、 二人にも伝えとくべきだろう。
「ブーブーブー」と、 三人のケータイがバイブする…。
みんないっせいにケータイを手に取り、 メールをチェック。
受信時間9:00
神
Re:サードステージ
本日の脱落者
無
残り7名
以上
……
やはり、 予言メールは当たっている、 恐らく今日も来るのだろう、 俺はまた運命を変えることができるだろうか…。
【洋司】「サードステージは誰も死ななかったみたいだな」
【天美】「私もびっくりした、 私と山口君が戦闘していたのに他では戦闘がなかったなんて…」
【颯太】「あっ、 あのさ、 二人ともこれ見てほしいんだけど」
俺は予言メールを二人に見せた。
【洋司】「俺たちが死ぬのを予知してたのか…、 なんで颯太だけに送られてきてるんだ…?」
【天美】「でも…よかった、 だってもし颯太君があの場にいなかったら私たち二人とも死んでたかもしれないんだよ」
【洋司】「お前…俺たちが死ぬのわかってて助けたのか?」
俺はこくりとうなずいた。
【洋司】「そっか……ありがとな」
【天美】「そのメール今日も送られてくるんだよね?」
【颯太】「多分な」
【天美】「そのメールがあれば生き残れるんじゃない?」
【颯太】「でもさ…俺は誰かが死ぬの…ほおっておけないんだ、 だからこれからも助けるつもりだ」
【天美】「もし、 その人が人を殺しても?」
【颯太】「俺は助ける」
【天美】「もし、 その人が罪の意識がない人間でも?」
【颯太】「俺は助ける」
天美は肩の力が抜けたように笑ってこっちを見つめてこう言った。
【天美】「私も、 協力する」
【颯太】「本当にいいのか? 一歩間違えば死ぬかもしれないんだぞ」
【洋司】「俺も協力させてもらう」
洋司は仕方ないというような表情をし、 そう言った。
【颯太】「ありがとう…二人とも、 これが終わったらどっか遊びに行こうぜ!」
【洋司】「俺はお前と一緒ならどこでもいいぜ」
「私は…颯太君とデートがいいな…」天美はそう小声で言った。
【颯太】「でも、 今はとりあえず目の前のことに向き合おう、 俺たちにできることをするんだ、 このゲームが終わるまで一緒についてきてくれるか?」
【洋司】「このゲームが終わるまでじゃねえよ、 俺はお前に惚れたんだ、 どこにだってついて行くぜ」
【天美】「…洋司君…ホモ? ってそれ私のセリフ~!」
雰囲気はとてもよかった、 俺もこいつらも似た者同士なんだ、 だから気が合う、 信頼できる、 人の痛みがわかる、 俺はそんな空間にいるのがとても嬉しかった。
【颯太】「あとさ、 もう一つ聞いていいか? お前らの能力ってどういうの何だ?」
【天美】「私のは、 あの私の持ってる武器の変型とか…攻撃が当たると相手の血をを抜くことができるの、 イメージすればするほど」
なるほどな、 だからいろいろな攻撃ができたり、 その場においての変形ができる、 だが殺傷能力はとてつもなく高い、 ましてや人の血を吸うのだから…。
【天美】「私はこの力のこと「白い紅」っていうらしいんだ」
【颯太】「やっぱり、 お前も能力使用後に頭に能力が入ってきたのか?」
【天美】「うん、 そう私も正直驚いたけどね…」
【颯太】「なるほどな、 洋司お前は?」
【洋司】「俺のは手から火球を作ることができるんだ、 数も限度もない、 でも俺はこの能力はどうもコントロールできないみたいだな…」
【洋司】「俺もこの力の事能力使用後に頭に入ってきたんだ、 「炎の使者」って能力らしい」
火の玉を作る能力、 こいつはなかなか面白い能力を持ってる、 でも限度をかけないと人を殺してしまう、 まるで洋司の心のような能力だ。
【洋司】「お前は?」
【颯太】「俺の能力の特徴は身体能力の異常向上、 殺傷力もないし俺はこれがちょうどいいと思ってる、 この力「進化」って能力だって」
やはり、 俺の能力が一番「地味」だ、 おそらくこの中で一番戦うのに合わない能力だろう。
【天美】「だからあの時、 反応できたんだ…」
【洋司】「このゲームで一番地味な能力なんじゃないのか?」
二人とも驚いているののか、 感心してる、 のかどちらとも言えない表情をしていた。
【颯太】「俺たちなら…できるよな、 運命を変えること」
【洋司】「当たり前だ」
【天美】「できるよ、 きっと…」
そう二人は答えてくれた。
【颯太】「とりあえず、 今は少しでも寝たほうがいいかもな、 どうせお前らうちに泊まってくんだろ?」
二人はうなずく。
【颯太】「俺の部屋でも、 どこでもいいから部屋どこでも使っていいよ、 一応うちベット3つあるし」
俺はいつでも両親が戻ってこれるよう毎週ベットはきれいにしておいた、 でも俺の両親はもういない、
まぁ今回はたまたま役にとって良かったけど。
【颯太】「予言メール来たら起こすよ、 それまで二人とも寝てていいよ」
【天美】「颯太くんも寝なきゃダメだって、 明日持たないよ」
【颯太】「そうだな、 じゃあ昨日2:00にメール来たからその時間に俺の目覚まし時計設定しとくよ」
【洋司】「じゃあお前の隣の部屋使うわ」
そういって洋司は二階へと上がっていった。
【天美】「私はおばさんの部屋使わせてもらうね」
天美もそういって二階へ向った。
【颯太】「俺もそろそろ寝ますか…」
冷蔵庫にあるジュースを一杯飲みほし俺も自分の部屋に向かい、 ベットに潜り込んだ……。
木曜日 部屋:主人公 天美 洋司 可能性
結局一睡もできなかった、 無理もないと思う、 もしかしたら今日明日俺たちは死ぬかもしれないのだから。
「ビービー!」目覚まし時計の音同時にメールを受信した。
受信時間 2:00
神
Re:予言メール
本日予言死亡者
堕落:宮原 麻美
非情:花山 涼香
嘘:神山 京介
以上
……
こいつらと俺は一度も接触していない、 もしかしたら天美か洋司が接触したかも知れない、 そうしたら何か救う手がかりになるかもしれない、 そんな期待を寄せて二人を起こしに行った。
【洋司】「なるほどな」
二人を起こし、 俺の部屋に集合。
【洋司】「神山先輩なら知ってる、 あったことはないが噂で中学時代に事件起こしたらしくてな、 確か…クラスメイトの女子を監禁して…強姦したとか」
【颯太】「最低だな…男として人間として」
【天美】「宮原さんだったら知ってるよ、 一年下で子で男子に人気があるね」
【颯太】「へー、 可愛いのか」
【天美】「浮気は…だめだよ…」
【颯太】「わかってるって…うん」
【颯太】「でもさ、 こいつらが殺されるとしたらだれに殺されるんだ? 俺らはあり得ないし…」
おそらくこの俺らの他に残ってるやつが一人いる国島豪ってやつだ、…でもこいつ一人でこいつらを全員殺せるのか?
【洋司】「国島か…」
【颯太】「知ってるのか?」
【洋司】「まぁクラスメイトだしな、 とにかくこいつは人との関係を持とうとしない、 はっきりいっちゃ根暗だな」
【颯太】「なんかおれみたいだな……」
【天美】「そんなことないよ! だって私とは関係持ってるじゃん!」
【颯太】「そりゃ、 天美だからな」
とにかくこいつが一人で四人殺すのかもしれない、 きっと国島も根は悪い奴じゃないのかもしれない、 今は国島を止めよう。
【颯太】「今は国島を止めよう、 とりあえず今日の作戦は国島の捜索だ、 でくわしたら絶対に一人で闘ったりするなよ、 絶対ケータイで連絡すること」
【洋司】「了解」
【天美】「うん!」
そんなとき世界が反転し始める。
【天美】「どうして!?」
天美が驚くのもわかる、 時間も早いし、 ここは学校じゃない、 どうやらこのゲームは時と場所は関係ないらしい。
【洋司】「来たな」
そういった瞬間、 世界は反転した。
そしてフォースステージが始まった。
Another school:主人公 天美 洋司 神山 花山 国島 目の前の絶望
【颯太】「どういうことだ? 反転したのは学校じゃないはずなのに…」
俺たちは別世界の学校の中にいる、 しかも時間帯が早いのだ。
【洋司】「とにかく、 今日は国島を捜索しよう、 早くこの世界に来たんだ、 俺らに関してはちょうどよかったじゃないか」
【颯太】「でもなんかひっかかるんだよなぁ、 何か意味があるんじゃないかって思って」
【天美】「私もそんな感じがする、 悪い予兆みたいな」
この世界に入って今日で四回目だが、 感じだことのない、いや不快にさせるような殺気が入り混じっていた。
でも考えてるだけじゃ始まらない、 動こう。
【颯太】「動こう、 動かなきゃ状況がつかめないし」
【洋司】「そうだな、 どうする三つに分かれるか? それとも全員で行動するか?」
【颯太】「やっぱり、 早く見つけるためには三つに分かれよう、 それで国島見つけたらみんなに連絡しよう」
【天美】「了解、 じゃあ私一号棟見に行ってくる!」
【洋司】「俺は二号棟を見るよ」
【颯太】「俺は三号棟か」
三号棟は特別実習の時ぐらいしか使われず、 普段はあまり電気が通っていなく薄気味悪い、 幽霊が出るという噂も聞いたことがある。
二人に別れを告げ三号棟のほうに小走りで向かう。
三号棟に着き、 取りあえず偵察を一階から始める。
【颯太】「薄気味わりぃよな…」
そんな不安が俺の頭にあるのを打ち消すように俺の腹が鳴った、 そういえばおとといからほとんど何も食べていない、 それだけじゃない今になって眠れなかった疲れがどっとのしかかるように出てきた。
【颯太】「……-もういろいろと限界」
お腹がすきすぎて力がはいらない、 しかもとにかく眠い…、 状況は最悪おそらくこんなところで寝たら殺されてしまうだろう、 そんな不安が俺の疲労に負けてしまった。
俺はいつもというかお決まりのようにその場に倒れこしまった…。
…
……
………
…………
【颯太】(ここ…どこだ)
目が覚めたのは暗い部屋、 よく見ると台所のようなものがいくつか並んでいる、 おそらく三号棟の調理室だろう。
【颯太】「!?」
動こうとした瞬間、 手が手錠のようなもので柱に固定されて動けない。
【颯太】「捕まったのか俺…」
しかし、 何故俺は殺されていないんだ? このゲームに参加してる連中だったらすぐに俺を殺すはずだ、 何か目的があるのか?
【颯太】(そうだケータイがあった! これで天美たちに連絡できる!)
しかし、 ポケットにはケータイが入れてあるような重力感がない。
【颯太】(落としたのか? 持ってきてたはずなのに…それとも…)
【???】「こんにちは、 後輩君!」
闇の中から一人の男が出てきた、 こいつが俺をここまで運んで拘束したのだろうか…。
【颯太】「あんた誰だよ、 何故あんたは俺を殺さない?」
【神山】「あぁ俺? 俺は嘘の感情能力者だっけ? 神山京介だよ~」
【神山】「ちなにみに君を殺さないのはちゃーんと目的があるんだぜ! あとーケータイならここにあるよ~」
神山の手には俺のケータイが握られていた。
【颯太】「返せよ」
【神山】「だーからー君には利用目的があるだって、 あとこのケータイ使わせてもらうよん」
【颯太】「どうする気だ?」
【神山】「どうするって君の隣を見ればわかるよん」
俺はと隣を見た、 きずかなかったが俺と同じように手錠のようなものを掛けられて動けない女子がいた、 しかも全裸だ、 隣の女子は目は開いているものの意識が飛んでいる、正確にいえば目が死んでいた。
【颯太】「こいつに何をした」
【神山】「何をしたってちょーっといたずらしただけだよ、 うんいたずらいたずら」
おそらくこいつは隣にいる女子に心の傷…を負わせたのだろう、 おそらく表面的には生きているが心情的にはもう死んでいる、 相当な心の傷を与えたんだろう。
【颯太】「俺を人質にして…まさか天美を!?」
【神山】「ご明察、 お前望月だろ? 神崎と仲いいって聞くからさぁ」
そして神山は俺のケータイをいじりどこかに電話をかけた、 恐らく天美だろう。
【颯太】「やめろ!」
俺は能力を発動させ、 手錠を壊し神山に殴りかかった。
【神山】「もしもし神崎ちゃん? ちょっと今こっちでって…!?」
すぐに神山は反応した。
【神山】「あーあーもーしかたねぇな、今いいところだったのによ!!」
俺は殴りかかろうとした瞬間、 何か手のようなものに捕まり腹に圧力を掛けられる。
【颯太】「っく!」
何か巨大な手のようなものに、 抑えれてしまい行動ができない。
【神山】「いやぁ、 ほんとこの能力って便利だよなぁ、 俺の感情能力はなパーフェクトハンド(無敵手)っていって巨大な手を浮遊させることができんだよ!!」
どんどん手に圧力がかかる、 恐らくこのままじゃ全身の骨が砕ける。
此処で俺は死ねない、 いや、 死にたくない、 俺は全力の力で自分の進化する姿をイメージとしてとらえた。
【颯太】「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
俺はパーフェクトハンドを全力の力で振り替えした、 しかし、 向こうは遠距離戦を得意としている、 俺の進化は遠距離戦向き圧倒的に不利な状況だ、 前のように目の強化ができればいいが、 今の状況で集中できる力は今の俺にはない。
【颯太】「クソッ!」
俺は浮遊する二つの手に対して避けるのが精一杯だ、 もしこんな時天美や洋司がいれば形勢逆転なのだがここは三号棟、 普段来ることがないためそこにいるのか分からないだろう。
【颯太】「ぐっ!」
俺は浮遊したほうの右手に捕らえられてしまった、 状況的にいえばもう巻き返しは効果がない。
【神山】「今度は徹底的にお前の体つぶしてやるよ!!!」
その時だった、 神山がいる方向から鈍い音がした、 その瞬間にパーフェクトハンドが消えていく。
【神山】「ぎゃぁあああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
神山の発狂が室内に響き渡った、 すさまじい殺気、 おそらく今まであった中で一番のものだ、 俺の足が震える。
神山のいた方向をみる、 そこには全身から血を流して倒れる神山の姿があった、 おそらくもう死んでいるだろう。
そしてもう一人、 男が立っていた、 おそらく神山を除いてこの生きている男は俺、 洋司、 そして国島、 最悪の状況で国島に会ってしまった、 今の状態でまともにやりあっても殺されるだけだろう。
【国島】「お前望月か、 お前もこいつと一緒にここで死んでもらう、 「罪」を獲得するのは俺だ」
国島は能力を発動されたのだろう、 全身の殺気、 体格が変わっている。
これが国島の能力なのだろう、 その能力は俺の能力に似ていた、 全身の強化、 いや違う、 こいつは体を「退化」させている。
「退化」、 俺たち人間は今の生活に慣れるよう常に進化している、 しかしそれと同時に平和であるほど人間は弱化する、 「退化」それはかつて人間が自分の血と肉で争っていた時代がある、
その時代の人間になったとしよう確かに「退化」するが、 体は時代に合わせて強化される、 つまりこいつの能力は俺と最も近くもっとっも離れた能力、 俺が人類の最終進化点ならこいつは人類の原点とも呼べる能力を持っている。
【颯太】「面白い能力持ってんじゃねぇか…」
俺も今できる全力の力を出す、 しかし空腹や不眠のせいか集中できない。
国島は静かにこちらに向かってくる、 俺は動けない、 力が入らない。
【颯太】「畜生…」
その時だった、 世界は反転を始める、 俺は救われたのだ。
【国島】「俺はこのゲームに絶対に勝つ、 覚えとけよ」
そう言い残し国島は消えていった…。
そして完全に世界は反転し現実世界へと引き戻された…………。