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共鳴する今日

Another school:主人公 工藤 天美 水鳥 人間の理性


【颯太】「逃げ切ろう…」


俺には能力を扱ったことがない、 この状態でほかの連中に接触するのは危険だ。


だったら、 下手に動いて死ぬよりはここにいたほうがいい。


【颯太】「いざとなったら、 隠れればいい」


今俺のいる階は三階、 もしかしたら同じ階に誰かいるかもしれない。


そう思った瞬間、 この階の多目的室で声が聞こえた。


多目的室は普段あまり使用することがなく鍵がかかっている、 使用するのは文化祭で屋台として使われる、しかし今の時期は物置状態になっているはずだ。


【颯太】(見に行ってみるか…? でも…)


今の俺が行っても確実に殺される、 本当だったらここから動かないのが安全だ


しかし、 俺は衝動的に何かに惹かれるように多目的室に向かった。


多目的室前、鍵は壊されていた、 しかしドアは閉まっている


俺はドアとドアに開いている少しの隙間を覗き込んだ。


中には二人、 一人は…わからない、 ただもう一人は確実にわかった…、 工藤だ。


【???】「いいんですか先生、 先生が生徒殺して」


【工藤】「そうだな、 普通そんなことをしたらクビで刑務所かな、 おそらく社会からは追放されるだろうね」


【工藤】「でもここは人を殺ししても「罪」にはならない、 だから私は今ここで君を殺す」


【???】「教師が生徒にそんなことおっしゃって、 PTAに怒られますよ」


【工藤】「残念だよ、 水鳥君…優秀な生徒だったのに」


【水鳥】「私も遠慮はしません」


二人の体勢が変わる、 おそらく「殺しあうのだろう」


教室の中は殺気で満ちている。


これから戦いではない殺し合いが始まるのだ。


【水鳥】「私の「偽」なめないでください」


先に攻撃を仕掛けたのは水鳥 姫、偽の感情能力の持ち主だ。


そのとたん、 多目的室にある道具が浮かび上がった、 中にはのこぎりや刃物なんてものもある。


そして水鳥は、 工藤に指をさし浮遊した物体すべてが工藤にめがけて飛んで行く。


まず、 普通の人間じゃこんなのに直撃されたら即死だろう。


しかし、 工藤は死んでなどいなかった。


むしろ…無傷…。


工藤は涼しい顔をして立っている。


【水鳥】「どうして!? 直撃したはずじゃ!?」


工藤の右手は刃物のようなものになっていた、 日本刀の3倍の大きさがある。


おそらく、 簡単に人を切れてしまうだろ…。


【工藤】「こんなものか…」


工藤は呆れた顔で言う。


そして工藤はゆっくりと水鳥に近ずく…。


【水鳥】「いやっ!!来ないでよ化け物!!」


そういうと水鳥はまた物体を浮遊させ、 工藤にめがけて飛ばす。


しかし、 すべて工藤のあの日本刀以上の切れ味をもった腕で物体が切り落とされてゆく。


そして、工藤は水鳥の前に立った。


水鳥は、 もう膝がカクカクと折れて戦える状態じゃない。


目には涙もためていた。


工藤は左手で水鳥の首を締めながら持ち上げた。


水鳥は声に出せない叫びを出している。


【工藤】「ゲームオーバーだ…」


そして工藤は水鳥のお腹を自分の手の鋭利な凶器で貫通させた。


【颯太】(うっ!)、 俺は吐くのを必死にこらえた。


【颯太】(こいつ!、 おかしいよ…)


【工藤】「じゃあな」


工藤は投げ捨てるように水鳥の…胴体を床にたたきつける。


【颯太】(やっぱりこのゲームに参加してる人間はみんな狂ってる!!)


俺は水鳥を助けようと何度も思った、しかし足がすくんで動けなかったのだ。


【颯太】(クソ!!)


自分が情けなかった…。


工藤が教室を出ようとこちらに向かってくる。


【颯太】(まずい!)


まだ足がすくんで動けない。


【颯太】(動け!動けよ!)


このままじゃ殺される…やばい!


俺は全力の力を入れた。


そして工藤が多目的室のドアを開けた瞬間に足が動いた。


そして思いっきり廊下を走る…が。


しかし、それでも俺と工藤の距離は10メートル程度しかない。


【工藤】「まだ、 馬鹿がいたのか、まぁ一石二鳥だな」


工藤はニヤリと不気味に笑い、右手をこちらに向けながら接近してくる。


【颯太】(俺…死ぬのか…?)


また蛇に睨まれた蛙のように自分の体が動かなくなる。


すでに工藤は俺の目の前に立っている。


【颯太】(俺も水鳥みたいになるのか……、いや違う、最後まであがいてやろうじゃねーか!!)


そのとき俺の体が自然に動いた、しかしもう遅い、工藤は自分の右腕を突き刺す寸前だ。


しかし俺には工藤の攻撃がスローモーションに見えたのだ。


そして工藤の右腕を避ける。


【工藤】「!?」


【颯太】「はぁぁあああああああ!!!!!」


「ドン!」


そして工藤の腹に一発、あばらが折れたような音。


工藤はその場に倒れた工藤は立ち上がることができない。


【颯太】「やったのか…?」


俺が工藤のほうを見た瞬間、血が顔に飛んできた。


【颯太】「……え?」


命にかかわる攻撃はしていないはずだ、なのに…何故?


違う、こいつは俺が殺したんじゃない、工藤の目の前に立っていたのは天美だった…。


【颯太】「あ…天美!?」


【颯太】「お前が…殺したのか?」


そして天美はこちらを振り返り笑顔でこう答える。


【天美】「違うよ、 楽にしてあげたの」


天美の手にはなぎなたより少し大きい血塗られた槍が握られていた。


【颯太】「お前ら…協力してたんじゃないのか?」


【天美】「うん、 してたよ」


【颯太】「じゃあなぜだ! 仲間だったらお前は俺を殺すはずだろ…」


【天美】「こいつは駒なの、 そう、 簡単にいえば裏切った」


【颯太】「俺は殺さないのか? それと…お前の「罪」ってなんだよ」


【天美】「だって私の「罪」は颯太君だもの」


天美は真面目な顔で言う。


【颯太】「……どういう意味だよ」


【天美】「颯太君は何もしなくていいよ、……私が守ってあげるから…」


そう言い残し天美は闇の中に消えていく。


また世界が反転を始める…。


いやなことにもう慣れてしまった、 慣れてしまった自分がおかしいと思う。


そして、 世界は完全に反転した。


それと同時に俺も気が抜け倒れてしまった。


【颯太】「………畜生」


俺はそう小声で言い残した。


保健室:主人公 保健室の先生 安息


【颯太】「う…う…、…」


ここは俺のあまり来ることのない部屋だった。


【颯太】「……保健室か」


俺は寝かされていたベットから起き上がり、 ベットの周りにあるカーテンを開ける。


【保健室の先生】「おっ、 起きたか望月」


【颯太】「あれ……俺…何があったんでしょうか?」


【保健室の先生】「あぁ、 なんか突然教室で倒れたんだろ?そう聞いてるよ」


【颯太】(……反転した後にそのまま気絶したのか…)


【颯太】「あの、 だれがここまで?」


【保健室の先生】「えーっとたしかそう、 あのかわいい子…そう! 神崎だ!」


【颯太】「!?、 天美がここまで運んだんですか?」


【保健室の先生】「うん、 確かそうだけど…もしかしてあの子望月の彼女か?」


【颯太】「……いえ、 ただの幼馴染です」


果たして今あいつとは幼馴染と呼べる仲なのだろうか……。


そんなとき、あの世界であったできごとが思い出させられる。


水鳥や工藤が死んだときのビジョンを思い出してしまった。


【颯太】「せ、先生…エチケット袋もらえますか…」


「大丈夫?」と言いエチケット袋をくれた。


俺は吐いた、 口からは朝ごはんで食べたまかないものと胃液が大量に出てくる。


【颯太】「はぁ…はぁ」


それを見ていた先生が心配そうに話しかけてきた。


【保健室の先生】「疲れてるのか?」


【颯太】「いえ、 ……大丈夫です」


【保健室の先生】「とにかく今日は早めに帰れ、 早退届は出しといてやるから」


時計を見たところどうやら12時前だ。


【颯太】「…すいません、 早退させてもらいます…」


下校中のことはほとんど覚えていないおそらく意識が飛んでいたんだろう…。


そして俺は自分の部屋にいた。


部屋:主人公 戸惑い


今日のことを思い返す。


水鳥、 工藤、 そして天美のことも。


こいつらは、 やはり「殺し合い」を受け入れていた。


しかしそれと同時に「罪」を手にしようとする理由があるようだった。


【颯太】(でも…それは何だ?)


しかし、 どんな理由があっても人を殺してはいけない。


そしてあの最後の天美の言葉…あれが一番不可解だった。


【颯太】「俺があいつの「罪」?」


俺には心当たりがない。


【颯太】(天美は俺に恨みを持っているのか?いや、 でも…)


あの最後に見せた笑顔はやさしい笑顔だった…、でもそれだけだ、もしかしたらあの時見せた笑顔は嘘だったのかもしれない…胸の奥底にはそんな不安があった。


それと俺と工藤との戦闘中に起きた俺の力は…。


【颯太】「(あれが…俺の力なのか?)


あのスローモーションに見えた目、 そして異常な身体能力。


普通だったらあの蹴りであばらが折れたり、 鈍い音もならない。


【颯太】(何故、 あの時力が使えたんだ?)


俺は自分の右手を見ながらそう思った。


そんなとき、 メールが来た…おそらく神と呼ばれるゲームマスターからだ。


受信時間PM2:00



Re:セカンドゲーム


本日の脱落者


希望:永井 裕治


正義:羽田 秀


無常:工藤 洋介


偽:水鳥 姫


残り7人


以上


……


またあの世界でだれか死んだ、 しかしこいつらは誰かを殺したかもしれない。


実際に工藤なんかがそうだ。


あいつは殺すのを楽しんでいた、それが生きていなくても工藤は甚振り、 深い苦しみを与えた。


このゲームで勝ち残るためには本当に人を殺さなくてはならない。


そう頭でもわかっていた。


【颯太】(やばい…、また睡魔が…)


そして俺は寝てしまったのだ。


「人を殺して生き残る」、 どうしても俺には理解できない言葉だった。


水曜日 部屋:主人公 予言メール


俺はメールのバイブ音とともに目覚める。


【颯太】「んん、…誰からだよ…」


俺は体を起こす。


時間は午前2時だ。


【颯太】(あんなに寝るのの早かったらそうなるよな…)


そして俺はケータイを手に取り新着メールを見る。


受信時間AM2:00



Re:予言メール


無望の能力者、望月颯太、 貴様の大逆を読ませてもらった。


私は貴様に興味がわいた、 貴様はファイナルゲームまで生き残らなければならない人間だ。


そして君にチャンスを与える。


君のケータイのみ予言メールを配信する。


そこに書かれているのは今日死ぬ人物だ。


貴様は運命を変えることができるか。


楽しみにしているよ。


本日予言死亡者


愛憎:神崎 天美


渇望:山口 洋司


以上


……


予言メール、 俺がはじめて見るメールだった。


【颯太】(どういうことだ?あいつが今日死ぬ?)


【颯太】(山口洋司…こいつも死ぬのか?…。)


俺はどうしてもわからない。


俺に何故このメールが送られてくるのか…それと俺の大逆とは何か…。


俺に大逆などない、 それは自分がよく知っている。


しかし、 今心配することは自分のことではない、 この予言メールのことだ。


俺にこのメールを送られて来た意味はわかる、 要するに運命を変えてみろ。


しかし奴らは「人殺し」。


信用もできないし、 殺されるかもしない。


それに「人殺し」を助ける理由もない。


でも、 俺はこの運命を変えようと思う、 もしこのメールを無視して見殺しにでもしたらこいつらと同じ「人殺し」だ。


水鳥のときも助けられなかった自分が「人殺し」のように感じた。


だからどうしても運命を変えなきゃならない、 それが今の一番の「罪」だと思った。


リビング:主人公 誓い


あのメールから数時間後、 俺は朝食を取り今日のことを考えていた。


いつまた「Another school」に飛ばされるのか、 そしてどうやって「運命」を変えるかを。


その時だった、 頭に何かインプットされるような感覚が全身に走った。


【颯太】「うっ…」


………


……


そしてインプットが終えたように俺の頭の中に俺の感情能力が記憶された。


どうやら俺の感情能力は「進化(リスタート)」というらしい。


感情能力は感情が高ければ高いほど武器の威力、 能力が向上する。


おそらくほかの連中の能力はほとんど人離れ、怪物のような武器と考えている。


たしかに俺の能力も人間離れしている、 しかし俺の能力はあまりにも「地味」だ。


基礎体力の異常向上…「進化(リスタート)」はそういう能力なんだろう。


俺の能力はもしかしたら未来の人類の限界地点なのかもしれない。


俺はそう感じた。 どちらにしろ俺の能力はほかの連中に比べて人間らしい攻撃しかできない。


ほかの連中の能力はどれも完全に人を殺害する能力…。


力では圧倒的不利だ、 でも俺にはこの能力がちょうどいい。


俺は誰も殺さないし、 殺したくない、 そんな感情が俺の能力になったのだろう。


そして、 「運命」の変え方だ。


二人がどこの誰に殺されるかもわからない。


だが、 殺される前に接触すればいい、 そうすれば何とかできるだろう、 そんな考えが浮かんだのだ。


俺の能力なら校内をすぐに一周できる、 そんな自信があったからだ。


一度能力を発動させて感覚は何となく掴めている。


そして俺は誓った、 どんな結末にしても俺は彼らを救うと……。


学校:主人公 クラスメイト女子 俺自身の大逆


俺はいつあの世界にいってもいいように昨日同様早く家を出た。


自分でもよくわからないが、 全力疾走で学校まで行く。


今日俺が知らなければならない事が学校にある気がしたのだ。


【颯太】「…はぁ、 はぁ、 …はぁ」 


俺は今教室の前にいた、 そして身構えるように教室に入る。


クラスには一人、 このゲームの参加者ではない女子が自分の席に座っている。


【颯太】(確か名前は…大森か)


俺は無言で自分の席に荷物を置く。


【颯太】(でもこんなに早いなんて珍しいな…)


何故か考えるより先にこんなことを言ってしまう。


【颯太】「今日朝早いけど何かあったのか?」


大森はすこし心配そうな顔をしてこちらを振り返りこう言った。


【大森】「この時間に来たら…天美さんに会えると思って…、天美さん最近疲れてるようだけど何か知らない?」


心配しているのは俺だけじゃない、 天美はこのクラスに必要な人間…だからみんな心配するのだ。


【颯太】「ごめん、俺もよくわからないんだ、 あいつ最近うちにも顔出さないんだ。


【大森】「そうなんだ…」


そして数十秒間の沈黙…そして大森が口を開いた。


【大森】「ねぇ…、 やっぱりあの頃のこと覚えていないの?」


【颯太】(あの頃…?)


何の事だかさっぱりわからない…。


【颯太】「ごめん、 ……何の事?」


【大森】「そう…変なこと聞いちゃってごめんね」


【大森】「望月くんは…」


そう大森が言いかけた瞬間に突然頭から何か逆流してくるようなものを感じる…頭痛とは違う、 まるで何かが思い出させられるような…。


【颯太】「うっ…うう…」


大森が走ってこちらに向かってくる、 どうやら俺の異変を感じたようだった。


【大森】「大丈夫!?大丈夫!?」と必死に大森が叫ぶ、しかし、どんどん意識が遠のいてゆくと同時に大森の声も届かなくなった……。



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