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西日本特別諜報班 NST 影の特命  作者: スパイク


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光の裏で、影は息を潜める

戦隊ヒロインプロジェクトは、光の組織だ。


イベント会場に立ち、子どもと握手し、音楽に合わせて笑う。

地域を盛り上げ、夢を語り、未来を照らす。


だが、その光の裏側に“存在しない部隊”があることを、誰も知らない。


西日本特別諜報班 NST。


その名を知るのは、波田顧問と、ヒロ室のごく一部のフロントだけだ。

遥室長でさえ、任務の内容は知らされていない。


「波田顧問の特命で動いている」


それだけ。


安岡真帆は必要最低限の書類処理だけを静かに行う。

予算の名目は曖昧。移動記録はぼかす。

存在を証明しないための事務処理。


ヒロインたちは、何も知らない。


当事者を除いて。


その“何も知らない側”にいるのが――赤嶺美月だ。


最近、彩香が妙に忙しい。


双子がヒロ室に出入りする回数が増えた。

玲奈は相変わらず冷たい。

あかりはなぜか無線を握る時間が長い。


「……なんか怪しない?」


美月の嗅覚は鋭い。

河内のスピーカーの異名は伊達ではない。


廊下で彩香を捕まえる。


「最近、何しとるん?」


彩香は足を止めない。


「あんたには関係あらへん。」


播州弁は冷たい。


「なんでやねん。うちもヒロインやで?」


「関係あらへんもんは関係あらへん。」


バッサリだ。


美月は迫田ツインズに回る。


「なんか隠しとるやろ?」


澄香が首を傾げる。


「別に。」


澪香も同じ顔で言う。


「別に。」


双子は揃って感情が薄い。


玲奈にも突撃。


「玲奈さん、なんか裏任務でもやっとるんちゃう?」


玲奈は一瞬だけ視線を向ける。


「余計なこと考えんでええ。」


それだけ。


あかりが一番弱いと踏んだ美月は、さりげなく誘導尋問に入る。


「最近、湾岸行っとるやろ?」


あかりは胸を張る。


「湾岸は景色きれいですよね!」


「いや、任務の話や!」


「任務? あ、あのー、イベントの設営……?」


完全に引っかからない。


美月は腕を組む。


「どうも怪しい……」


その姿はどこか滑稽だが、嗅ぎつける勘だけは本物だ。


一方、NST側。


彩香は本気で焦っていた。


「赤嶺美月に知られたら終わりや。」


双子が静かに頷く。


「河内のスピーカー。」


「拡散力は高い。」


あかりが首を傾げる。


「そんなに?」


玲奈が短く言う。


「一晩で関西中に広まる。」


それは冗談ではない。

美月は悪気がない。

だが“共有”という正義感で動く。


「みんなで協力したほうがええやん!」


そう言われれば、断りきれない者も出るだろう。


だがNSTは極秘だ。


元知事側は、内部リークを待っている。

情報が一つ漏れれば、警備契約は一気に締め直され、証拠は消える。


「兵庫が持ってかれる。」


彩香は拳を握る。


味方が秘密を暴こうとする矛盾。


守るために隠す。

だが隠すことで疑念を生む。


ヒロイン同士で、嘘をつく。


それが一番つらい。


ある夜。


美月は一人、ヒロ室の廊下で立ち止まる。


「なんか、うちだけ置いてかれとる気がする。」


その声は小さい。


だがNSTの誰も聞かないふりをしている。


波田顧問はそれを知っている。


「光と影はな、並んで立てねぇ時もある。」


煙草をくわえながら呟く。


NSTは闇で動く。

ヒロインは光で動く。


だが、どちらも兵庫を守るため。


矛盾を抱えたまま、部隊は進む。


そして美月は今日も、彩香の背中を疑いながら追いかける。


影は息を潜める。


光は何も知らずに笑う。


西日本特別諜報班 NST。


その存在が明るみに出る日は、

街が本当に危機に陥った時だけだ。


それまでは――


知らないままでいい。


夜は深い。


だが、光もまた消えてはいない。

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