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西日本特別諜報班 NST 影の特命  作者: スパイク


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30/41

滑走路に消えた赤い灯

海の上に伸びる滑走路は、夜になると一本の光の道になる。


赤い誘導灯が、規則正しく点滅する。

風は潮を含み、低く唸る。


その空港で、CS放送局の旅番組が生中継をしていた。


「今日は海上空港の裏側を、戦隊ヒロイン目線で紹介しまーす!」


美月が満面の笑みでカメラに向かう。


隣にはさつき。

落ち着いた進行役だ。


「滑走路の先まで海、まさに空と海の交差点ですね。」


二人は展望デッキを歩きながら、施設紹介を続ける。


だがNSTが掴んだ情報は違う。


滑走路灯火制御システムへの侵入。

着陸誘導を一時的に狂わせ、航空機を混乱させる計画。


赤い灯を偽装し、別方向へ導く。


黒幕は、例の元県知事。


今回の主人公は、山本あかり。


突撃型。

待つことを知らない。


「制御塔下、南側配線確認。」


彩香の声がイヤーピースに響く。


「単独行動するな。合図待て。」


だがあかりは、もう動いている。


強い海風の中、配線ボックスへ向かう。


そのとき――


「……あれ?」


展望デッキから美月が目を細める。


「あかりぃ~!」


大声。


さつきも手を振る。


「ほんまや、あかりちゃん!」


最悪だ。


あかりは、条件反射で手を振り返す。


満面の笑顔。


彩香の怒号が無線に炸裂する。


「目立つから止めぃ!!」


だが届かない。


あかりは無邪気に二度振る。


「後でなー!」


任務中。


海上空港。


赤い灯の下で手を振る諜報員。


笑うしかない。


だが時間はない。


灯火制御室に不審な作業員がいる。


滑走路に着陸機接近。


赤灯がわずかに点滅パターンを変える。


偽信号。


あかりは制御室へ走る。


強引に扉を開ける。


中で男がキーボードを叩いている。


「止まれ。」


低く言う。


男が振り向く。


工具を投げる。


あかりは受け流し、体当たり。


機材が揺れる。


着陸まで残り二分。


滑走路外では美月がまだ手を振っている。


「なんか忙しそうやな!」


さつきが苦笑する。


「仕事中みたいですね。」


あかりは制御パネルを奪い取る。


偽信号を遮断。


本来の点滅に戻す。


赤い灯が規則正しく揃う。


管制室から確認の声。


「正常復帰。」


着陸機が滑走路に触れる。


白い煙。


歓声ではなく、安堵。


爆発も衝突もない。


滑走路は静かだ。


あかりは男を拘束し、通信。


「終わり。」


彩香の息が荒い。


「ほんま……肝冷えたわ。」


あかりは塔の窓から外を見る。


美月とさつきがまだいる。


「撮影終わったらご飯行こー!」


空気読まない笑顔。


あかりはまた手を振る。


彩香が絶叫する。


「振るな言うとるやろがぁ!」


海風が笑う。


赤い灯が夜を切る。


滑走路は静かに光る。


影の仕事は、また誰にも知られない。


美月はカメラに向かって言う。


「ヒロインは空も守るんやで!」


偶然だが、正しい。


あかりは夜の滑走路を見つめる。


空と海の間。


赤い灯は、道を示す。


誤らせる者がいても、

戻す者がいる。


西日本特別諜報班 NST。


赤い灯は消えない。

影がいる限り。

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