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西日本特別諜報班 NST 影の特命  作者: スパイク


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芝生の下で鳴る静かな爆音

三木市の朝は、やけに澄んでいる。


なだらかな丘陵。

整えられたグリーン。

芝生は完璧な緑で、刈り込みの線が美しく伸びている。


全国規模のゴルフ大会。

招待客も多い。


そしてその一角に、やけに騒がしい四人組がいた。


「うわぁぁぁ見てみてこの芝生!絨毯やん!」


美月が大はしゃぎで跳ねる。


「走るな走るな、怒られるで。」


まどかが冷静に制止。


綾乃は優雅に日傘を差し、


「ええ景色どすなぁ。芝の手入れ、完璧やわ。」


阿波のスピードスター・さつきは腕を組む。


「広いな。」


四人は大会のゲスト。

NSTとは一切関係ない。

偶然、重なっただけだ。


だがその地下に、違法な通信増幅装置が設置されていた。


大会中継をハイジャックし、

市場操作情報を流す計画。


彩香はクラブハウス裏に立っている。


「よりによって今日かいな……」


迫田ツインズが無言で頷く。


「地下配電室、三番ホール下。」


玲奈の声がイヤーピースから響く。


「任務優先。ただし――」


「河内のスピーカーに見つかるな。」


彩香が低く言う。


まるで憲兵隊に追われながら任務をこなす特攻野郎の気分だ。


その時。


「彩香ぁぁぁ!」


嫌な声が響く。


振り向くと、美月が全力疾走してくる。


「何で居るん?」


彩香は一瞬、無表情になる。


「……仕事や。」


「ウチらも仕事やで?ゲストや!」


まどかが苦笑。


「偶然やな。」


綾乃が小さく笑う。


ツインズは同時に視線を逸らす。


「なんか怪しいなぁ。」


美月の勘が働く。


「怪しない。」


播州弁が低く刺さる。


「ほな一緒に写真撮ろや!」


「今忙しい。」


「何が?」


「……芝の研究や。」


「は?」


さつきがぽつりと呟く。


「芝?」


彩香は無理やり話を切る。


「行くぞ。」


地下へ向かう。


だが美月はついてくる。


「なあなあ、ウチも行く!」


「来んな!」


小声で怒鳴る。


その瞬間、警備員が近づく。


「関係者以外立入禁止です。」


彩香は笑顔を作る。


「すんません、芝の確認で。」


「何の?」


「……芝の健康状態や。」


美月が小声で言う。


「ほんま怪しい。」


地下配電室。


金属扉の奥に、通信装置。


増幅アンテナが配線に絡んでいる。


「時間ない。」


澄香が囁く。


澪香が制御盤を開く。


その上階では――


「彩香どこ行ったんやろ?」


美月がうろうろ。


綾乃が静かに言う。


「放っときなはれ。」


まどかは芝を眺める。


「綺麗やな。」


さつきは腕を組む。


「……あいつら、なんかやっとるな。」


地下では彩香が配線を切断。


火花が散る。


「急げ。」


増幅装置の電源を遮断。


その瞬間、上階で警備強化アナウンス。


「不審な動きが――」


「バレたか。」


まるでAチームのような展開だ。


ツインズが同時に煙幕を展開。


非常灯が点滅。


彩香は装置を担ぐ。


「撤収!」


裏通路を駆け抜ける。


階段を上がると――


目の前に美月。


「何それ?」


「ゴルフクラブや。」


「でかない?」


「最新型や。」


「ふーん。」


疑わしげだが、深追いしない。


「なあ彩香、ほんま何してんの?」


彩香は一瞬、目を細める。


「芝守っとるだけや。」


それだけ言って去る。


夕方。


大会は何事もなく終了。


歓声が上がる。


優勝者がトロフィーを掲げる。


中継は正常。


市場操作は未遂に終わる。


NSTの任務は完了。


美月は最後まで楽しそうだ。


「三木最高やな!芝きれいすぎ!」


彩香は小さく笑う。


「芝生の下は見んでええ。」


ツインズが並ぶ。


玲奈の声が最後に響く。


「よくやった。

光は守られた。」


三木の空は静かだ。


芝生の下で鳴るはずだった爆音は、

誰にも届かないまま消えた。


西日本特別諜報班 NST。


影は今日も、笑い声のすぐ隣で任務を終える。

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