第七章:もう一人の追跡者
桐生を倒し、街へ向かう太郎と花子の前に、新たな追跡者が現れた。それは、花子の元カレ、マコトだった。
マコトは、桐生と同じくマイクロマシーンに感染したエージェントだ。桐生が倒れたことで、マイクロマシーンの力を得る機会が巡ってきたと彼は信じていた。
「花子、今度こそ俺のものになるんだ。」
マコトはそう呟くと、超人的な速度で太郎に迫る。太郎はマコトの動きに合わせて銃を構え、引き金を引く。乾いた銃声が響き、弾丸はマコトの体をかすめて飛んでいく。
マコトは驚異的な運動能力で、太郎の銃撃をすべて避けていく。太郎は焦りながら次々と弾を放つが、マコトの動きは予測不能で、まるでダンスを踊っているかのようだ。
ついに、太郎の手元の銃から最後の弾が発射された。カチリ、と空撃ちの音が虚しく響く。
「終わりだ、太郎。」
マコトがにやりと笑い、とどめを刺そうと太郎に襲いかかる。花子が一瞬躊躇した。太郎を助けたいという気持ちと、マコトのマイクロマシーンの力に恐怖を感じたからだ。
しかし、その瞬間、信じられないことが起こった。
マコトの攻撃を、太郎が超人的な速度で避けたのだ。
花子は目を見開いた。彼女の持つマイクロマシーンの力と、全く同じ動きだった。太郎は、ただのくたびれた中年男ではなかった。彼は、この一連の出来事の中で、自らの内に秘められた力を、ついに覚醒させたのだ。