月の話
過去編というより独白です。読まなくても大丈夫なやつです。
夜空に浮かぶ星々に愛された人が死んだ。
自分にとっても、大切な人だった。
夜空を見上げる。月はぼんやりと浮かんでいるが、星は一つ残らず失せている。星がそれを望んだ。
夜空から星が消えた。それだけで空は暗くなった。
人々はまだ、星が見えにくいくらいにしか思っていない。完全に姿を消したとは夢にも思わないはずだ。
月は星に取り残された。
自分は取り残される。分かっていたことだ。それでも、その時が来なければいいとずっと願い続けていた。
この方以外、何も要らない。何なら、世界だって滅んでしまっていい。
何度もそう思った。
でも、この世界はあなたが愛した世界だ。
あなたが愛し、あなたと私が守った世界だ。
あなたの遺言もある。
「これで終わりじゃないなら……また一緒に戦うとしよう。また、会える」
その言葉を信じている。
また会える。
そして共に戦う。
隷属の契約は消えてしまったが、自分の中では消えていない。もう一度会えたら、結び直せばいい。
我が身、いつまでもあなたのために。
自分自身に誓いを立てて、時を待つ。
あなたもいない、気が遠くなるほどの時間が終わるのを、ただ一人待ち続けている。
お読みいただきありがとうございました。
過去の話はこういう短いのもあるので一話ずつ上げるの
どうかと思ったのですが、とりあえずこの方向でいきます。