序話
これは一話というか序章っぽいのでとても短いです。
話数によって長さは様々です。
ヴィエラはちょっとだけ裕福な平民である。
生家は曽祖父の代から始めた商売により財を築く商家である。三代目となる両親も順調に販路を広げてそこらの貴族よりお金持ち。王都の屋敷に住むことができるくらいには裕福だ。
人よりちょっと星と宝石が好きだが、女の子なら綺麗なもの、キラキラしたものが好きなのは珍しくない。
裕福で、宝石が好きな一人娘。しかし両親はヴィエラを極端に甘やかすことはなく、おねだりで欲しいものを買ってやることは滅多にない。欲しいものは、自ら金を稼いで手に入れろと教えた。そのため、ヴィエラは小さい頃から家のお手伝いや商売を手伝っては、小遣いを稼いで欲しいものを買うことを常としていた。そして、商売を手伝ううちに、それを面白いものだと思うようになった。
ゆくゆくは、自分が家を継ぐか、独立して商売をするのも悪くない――。
彼女は自分の将来を、商人になることを当たり前に描いていたし、きっと周囲もそうだった。
「我が魂の主。どうか私にもう一度、あなたに隷属する栄誉をお与えください」
まさか、王子に傅かれる日が来るなんて思ってもみなかった。
どうか夢であって。
遠のく意識の中で、誰かの後ろ姿が見えた。振り向いて笑う、その顔は――……。
お読みいただきありがとうございました。
ここだけで書きたいところは書いてしまったのですが、
完結させたいとは思っています。よろしくお願いします。