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イチゴサイダー  作者: 南野 東風也
第二章
96/264

96.会遇期⑪ 模擬戦8

「スタートだ!!!」僕がそう言うとツクモは「来い!」と言い放った。

攻撃を繰り出しながら「ビスケットの使用は!?」と聞くとツクモは


「ど~せねーだろ!!」と木の棒で弾かれた。

教室掃除の時に使う(ほうき)の長さくらいある木の棒と、金属なら刃渡り30cm程はある木剣。


どちらも当たって痛くはあるけど致命傷に至らない練習用の武器。お互いを少しは知っている安心感と、合わせてもいないのに木同士がリズムよくぶつかり合って織りなす音で高まる戦闘の気分!

ゲームで吟遊詩人ってジョブがある理由が何となくわかった気がした。


正直に言おう、僕は先を読むことを忘れる位、この時凄く楽しかったんだ。


ツクモの攻撃1つで僕の攻撃を2つ入れることが出来た。速さだけは絶対に勝っている。ただ有効打として届かない。だって木剣だよ?ビジョンに頼ろうとした時。


「なにニヤついてんだ!」と聞いてきた。


「ツクモもだぞ!っと!」躱しながら返事すると、

「ドスコイと仲間になれるなんて嬉しいよ!!」

「僕もだ!!」でも

早く勝負をつけないと。竜二とヒカルを待たせてるんだもんな。気持ちを切り替えてスピード極振りで打ち込み続ける!


一方ツクモは棒を振る時の攻撃の力とスピードを上げてきた。負けるかよ!!

おっと攻撃特化し過ぎるとキックを喰らうなぁ。


僕は心臓近くのボタンを押してマントの硬化を図る。やっぱちょっと動きにくいか、喰らいそうになる時にONして動きたいときはOFF、やってみると案外難しいな、今後の訓練で目標が出来た。



幾度となく繰り出される攻撃はマントによって防ぐことが出来たが身長と武器のリーチも(あい)まって僕の攻撃は空を切ったり、同じようにツクモのマントにカツンと当たるのみだった。

んん~このままじゃ負けはしないにせよ勝てないなぁ~~。


そこでビジョンを見ようとしたが僕はここで先行視覚を気付かれるのは得策じゃないと考え直した。

速さで勝っていたからまだ余裕はあると思ったんだ。

圧倒的な速度で木の棒に攻撃を打ち込み、近づいた所でツクモのクビに木剣をそっと当てる()()()()


しかしツクモはあろうことか、今の今まで自分が散々使ってきた棒をぼきっと半分に折って片方を僕の方にめがけて直線的に投げて来た!


「ウソ!っだろ!?」

あり得ない!普通するか!?その行動!ビジョンを見ておけばよかった!!くそ~~


こうゆう気のゆるみが天道カガミたる由縁な訳なんだが・・・。


ぼくは普段からビジョンに頼り過ぎていた事を後悔した。そしてを防いだ際に接近を許してしまい、足払いされ転げた僕は折れたもう一本の木の棒を喉元に近づけられ剣を手放した。


「よっし!!ドスコイ、今回は俺の勝ちだ!」


僕に向かって手を差し出し立ち上がらせてくれるが、悔しさで目を見れなかった。ふがいない。実際敵なら死んでたんだ。

後々考えるとなんで挑発に乗ったのかと湧き出る後悔しかなかった。


「身の上話は今度聞くよ。ホントにいいの?僕ここでリタイアしなくて。」

「もちろんだ!なんか、悪い事したな。また今度飯でも食いながら話すか!」

「うん。陣地に帰ってちょっと凹んでくる。」僕はネガティブになりかけたんだけど


「まだいいよ凹むのは。こっからはチーム戦で時間いっぱい戦おうぜ!!ノーカウントだから。それにうちの仲間がお前を待ってる。じゃあな!強かったぞ!カガミ君!」


「えっ?うん!うん?わ、わかった!チームでは絶対勝つからな!!」

僕もさっぱりしたツクモの性格を見習わないとな!

「おう!んじゃまたあとで!!」

そう言うとツクモは走って颯爽と帰って行ったんだけど、


離れて3秒後に気付いたんだ「え?今、名前で呼ばれなかった??」





「ただいま~ご飯にするよ、もう既にブロークンハートだよ。」

陣地に帰った僕は見張りの竜二にそう言うと、どさっと竜二の横に腰を下ろした。


「何があった?!大丈夫か?!」心配声はヒカルを起こし3人でさっき起こった事を話したんだけど。


「寝起きで血圧低いんだけど怒っていい?」と竜二に確認したヒカルが僕に説教を垂れ始めた。

「それさぁ!せめてリーダーに相談しなよ!」

「まぁまぁヒカル。ノーカウントだって言ってるから多めに。」

「だって、模擬戦だって言うのはわかってるけど、本番だったらカガミが()()()()()()かも知れないんだよ?無益だよ。」


暫くその意味を想像を考える。


「そうだな、俺もそれだけは嫌だ。あくまで安全に行きたい。」


「その通りだね。僕が悪かった、みんなゴメン!ただ、ビジョンを封印して戦ったんだ。

敵にはたぶん先行視覚は知られてない。」


「だ、そうだ。ヒカル。俺もノーリスクで得られるものなんてこの先いらないと思う。だからいい経験だったって事で良くないか?」


「確かに。そうだね。でも僕だけはこのチームで安全第一のスタンスは崩さない。一人くらいいてもいいでしょ?」笑顔になるヒカル。やっぱり僕はこの二人が好きだな。


ややあって。

「カガミが身バレしてるのはなんでかわからんけど、カマかけかも知れないし今は忘れよう」と竜二が言うとヒカルは

「なんかぽろっと言ったんじゃないの?バカだから。」


「うるせー!言ってないよ!」





ヒカルが

「いよいよ時間的に最後の戦いだ。僕と竜二はツクモを。カガミは隠密で敵ん所まで行って正体不明の女子を撃破出来たらフラッグを入れてくれ!間に合えばエーコちゃんの相手は僕がする。」


「フラッグは誰が持ってると思う?」と竜二が質問してきてヒカルは

「もう一度整理するよ!フラッガ―(フラッグ持ち)が

①ツクモの場合

 まぁ安定のパターンだ。エーコちゃんともう一人がより多くの人数を受け持ってツクモを動きやすくする。ツクモをスムーズにゴールへ向かわせたいと思うんだ。 この場合ツクモを徹底的にブロックしよう。


②エーコちゃんの場合

 エーコちゃんがフラッガーだったらツクモが援護に回ってもう一人が後方支援だけど彼らの連携力は僕らに達してないんだよね?カガミ。 

  ぼくは「うんうん」と頭を動かした。」

「じゃあ可能性は低めって言いたいけど。逆にこれかもしれ無い。ツクモが複数人と戦おうとしている時はフラッグはエーコちゃんだと思って良い。」


③それ以外の場合

 能力不明の女の子が持ってる場合。ちょっと現段階では想像しにくい。けっこう精度の高い矢を使えるくらいかな。戦ってる最中に邪魔されたら不利になるけど、例えばこうゆうのもアリかも?」


「「なになに?」」竜二と一緒に先を知りたがる。


「バランス的にはツクモとエーコちゃんで僕ら3人を相手して、その間にコソコソフラッグを運ぶ。

。今まで晒してない手の内だから可能性はあるよね。シンプルの中に安定が入ったおススメパック。」


「安定かぁ~おもしろくね~~」と竜二が言った。確かに。

「そうだけど、こっちのおすすめとあっちのおすすめは一致しないでしょ。」とヒカルは言ったんだ。

まぁ無いかな。

「なるほど。カガミは作戦的には大丈夫か?」竜二が問う

「正直もう一回ツクモと戦いたいけど、まずは僕が一人でエーコちゃんだね!」


「うん!僕らがツクモのマントを潰す。」ヒカルは意志を持った片目でこちらを見るが、お前のやる事は【不意打ち】だろ~と思った。


「今はぶっちゃけ勝ちに行きたい。我慢できるか?」と竜二

僕は親指を立てて

「もっちろん!リーダーの指示は絶対だからね!」と言った。


午前4時。  模擬戦最後の戦いが始まった!


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