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イチゴサイダー  作者: 南野 東風也
第五章
229/264

229.偉人期④ ステージ8

さて、どう説明したらいいのだろう?


まず、思ってた地下世界とは全く違っていた。

通り過ぎていく道中であった何かの器具の数々、それはまるで何かのトレーニング施設の様なそんな風景だった。そしてどんどん下っていく。

何メートル下ったんだ?そう思っていると、

「愚痴っていいか?」と突然ビィェンが話し出した。


「どうぞ。」


「助かる。ここ迄さぁ、まあ頑張ったら乗り越えられる程度の体力テストと知力テストだったんだよ。トレーニングって言うべきかも。」


「はぁ。」


「んでステージ8まで1人で来れたんだが、今までの挑戦が56回目なんでちょっと心が折れそうなんだ。」


56回!?


「・・・敵でもいるのか?」

こんな地下に?


階段を降りてまた細長く広い空間に出た。

「ああ、ある意味敵。いや、壁だな。奥に見えるあれだ。」


「壁??」乗り越えるべき壁とかか??

僕は目を凝らして暗闇の奥の何かを凝視した。しかし壁にはたくさんの穴が開いている他は、ぼんやりとした灯りがボワンボワンとゆっくり点滅しているだけ。


ありゃなんだね?ビィェン君。

アークも胸ポケットからのカメラでは限界があって30mほど離れた何かが判別できなかったのか


「奥にあるアレはなんだ?」と問うと近くに転がっていた鉄パイプを掴んだビィェンは部屋の真ん中にスタスタと歩いて行き、壁にあるスイッチを押してまた戻ってきた。


その直後、部屋のスピーカーからか録音の様な声でアナウンスが流れる。


【感圧板にお乗り下さい。30秒以内に壁側のスイッチを押せばクリアとなります。左右の線から出ると失格です。】


アナウンスを聞いて床を見るとボンヤリと横幅2m程の光のラインが向こうの壁に伸びている。


ビィェンは

「ルールはこれだけ。じゃあ先やるわ。あぶねーから離れとけ!」と言って着ている上服を脱いだんだ。かなり鍛え込まれた広背筋が盛り上がってガチ殴りの喧嘩では絶対負けそうな気がした。


アークが僕だけに恥ずかしがった声で

「きゃーー!イケメーン!!」と嬉しそうにいったんだけど、上半身裸の成人男性を見て盛り上がるアークに、声もそうだけど

あ、なるほど、アークって機械だけど女性の設定なのね。と納得してしまう僕がいた。



野球の一塁ベースの様に地面からぷっくらと盛り出た感圧板に乗ったビィェンは鉄パイプを両手で首の後ろに水平に持ち、体を捻って準備体操をしだした。


感圧板は人が乗ると時間をかけて沈み床面と同じ高さになった時に何かがはまった様なカチッという音を鳴らしてまた何かの録音が再生される。


【ステージ8、redey

5・4・3・2・1 start!】


とアナウンスが流れている時、ビィェンが

「よく見とけ!」と言ってスタートと同時に走り出す!!その瞬間奥の穴からメロンサイズの何かが4つ飛んできた!


それをビィェンは飛び込む様に前に転がってかわした!

飛んできた物が何かと思い飛ばされた延長線上の鉄板に目をやるとバシャッと音を立てたのは水の様だった。


かなり早いし結構な量だ、あれ当たるとヤバくないか??


すぐ壁に向かって走り出すビィェンに次は横一列の水球が飛んでくる!このままじゃ躱せない軌道の水球もあるぞ!!


ほとんど当たらないけど1つだけが軽く足にあたってしまった、

水球の半分より少ない量。それが左足に当たってビビるくらいの力で足払いされたビィェンは前に倒れそうだ!


しかしビィェンは鉄パイプでバランスを取って立て直しすぐにまた走り出した!!

ヤバい次は無数の水球がビィェンを襲うビジョンだ、どうする!?手に汗が滴り思わず唾を飲みこむ。だがビィェンは愚直に突き進む。


「うぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!!」奇声を上げ己を奮い立たせ、ど真ん中、直球の水球を鉄パイプで叩く様に

潰そうとするも割れた水球はビィェンを襲い、ほかの何発かが当たって体が後ろに吹き飛んだ!!!


大丈夫か!?そんな心配は要らなかった、雑草の様な奴だ。ビィェンはまた立ち上がり走り出す!!たぶんゴールまであと少し!


僕はどんな奴かもわからないビィェンを思わず応援していた。が、

最後はもっとたくさんの水球が襲ってくるのを見て、

〔これは無理だ。〕と思ってしまう。


そして今までで一番多い数の水球がビィェンに向かって飛んできた。


残念ながら悔しい顔で顔に当たる水球を腕でガードしながらまた後ろに飛ばされて倒れた時、時間切れなのかアラームが鳴り響き、壁からの攻撃が止んだ。


ビィェンは仰向下に倒れずぶ濡れになりながら腕と拳を床に叩きつけ

「くそっ!!」と一言いっていたけど、これを57回もやっているのかと思うと少しゾッとしたんだ。


またアナウンスの様な声が流れた。

【次回の挑戦まで約3時間程度かかります。】

アークにアナウンスを翻訳してもらいながらなんだこのゲームはと思いぼーっと突っ立っているとアークの考察が始まった。


「一度見ただけでは解りませんね。何かアルゴリズムがあるのかも。狙ってきている感じでは無いですし。」


びしょ濡れのビィェンがイラついた顔で僕に寄ってくる途中に

「何で俺がこんな事しなきゃいけないんだ!!!」ってアナウンスが聞こえてくるスピーカーに向かって毒を吐く。



アークは冷静に

「ビィェン、それだけの数を挑戦してきたあんたに賞賛を。んじゃ、僕が次で決めるから!時間いっぱい対策を練ろうぜ。」とカッコつけていったんだ。


あんな大人が吹っ飛ばされる程の威力の水球ドッジボールやりたく無いに決まってんじゃん!!何が次で決める!だよ!!


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