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イチゴサイダー  作者: 南野 東風也
第四章
182/264

182.希鏡期② 飛ぶ斬撃

僕とワイドローンは目を点にしてショウの方を見やった。既にショウはKPを迎えに近寄って、完全に脱力して意識のないKPをエイトと二人がかりで僕らの所まで運んで来ようとしたんだけど、物陰からKPを迎えに出たワイドローンの頭を銃弾が直撃するビジョンを見てしまった!!


スナイパーが少し遠くに隠れたんだ!!


僕はとっさにワイドローンを転ばして間一髪のところで銃弾を回避、後ろの岩に当たったのを見てワイドローンはスライディングで元の場所に帰って

「あぶねー!カガミ助かった!!フォース!!!まだ一人いる!」と言って銃撃された方角を指さしていた。


直後、ショウが飛び込むように返ってきてKPを僕に渡しすぐ出て行こうとする。振り向きざまに


「KPは気絶しているだけだ。あと一人を始末してくる。エイト達はここで待て。」と言ってきた。

ショウの武器はツクモと僕が一度日本で喰らっていたけど、気絶させる『何か』で間違いなさそうだ。



ショウが出て行ってちょっとするとまた耳を突くあの音が聞こえたけど、きっと倒したんだろう。こっちは終わりだ。


反対に左の方を見ているとA4が漆黒の日本刀を構えて最後の一人と睨み合い、対峙していた。

僕らはそれを固唾を飲んで見守っていたんだ。


A4は鞘も無いのに左腰に刀を据え、そして左手のリングが光ったかと思うとリングに接している部分にあたる刀の真ん中にピキッっとヒビが入った。何をしてるんだ??


そしてA4から数メートル離れてナイフを構えている敵に向かって居合い切りの様に右斜め上に振り切ったかと思ったらまた戻してくる。


すると絶対に刀のリーチでは届かない敵の顔面から血しぶきが噴き出て倒れた。


ワイドローンは

「つ、つえぇ。」と恐怖で引き()った顔で口にこぼす。


飛ぶ斬撃!?なんなんだ!!A4といいフォースといい、僕の脳みそじゃ全く理解できない武器を持ってるんだけど!!



ちょっとパニックになってA4が気絶してる敵にとどめを刺しながらこっちに向かってくる迄、心の中で〔え!?えっ!!?〕って言ってた。



ワイドローンが

「殲滅したか?」と聞き

「恐らく。」とフォースが返事をした。その隣で戻って来たA4がKPの気絶に気付いて

「全員生存確認OKだ。」と言うと


ワイドローンが

「俺はカガミに助けてもらって頭ぶち抜かれなくて済んだぞ!ワハハハハ!!!」と笑いだした。


A4は僕を見て

「良く防いだな、()()()は時に広い視野で戦場を俯瞰できる。出来る事をすればいい。いい働きだったぞ。」とディスリの中にも多少は褒めてくれてる様だった。


僕はアークに〔ビジョンが見えただけなんだけどね。〕と照れ隠して打ち込んでみると、


その文字が見えたのか数メートル後ろの方からエイトが、


()()()()()()()?」と聞いてきたんだ。



あんな遠いのに日本語入力も理解して覗き見してくるのかよ!!油断してた!!



取り繕う間もなくA4が

「カガミ!おまえ!!先行視覚があるのか!?」と聞いてきたんだ。

気まずい。地面を向く僕にショウが


「言うつもりは無かったが、こいつは先行視覚を持つ【イチゴサイダー】だ。」と説明した。


A4は驚いたのか暫く思考停止したような感じだったが

「まずい!!以前の予測だと大人1子供2だ!!今カガミが運命を変えたのならば大人1は回避できた!だが子供2は今テントにいるトゥーマとファルマかも知れない!!急いで戻るぞ!!」


ワイドローンがKPを運ぶと言って残りの僕らは全速力でテントに向かうと二人は()()()()()


「クソッ!!」フォースが怒っている。テント内を探せど彼らが見つかる事は無かった。

遅れてやって来たワイドローンは


「意味が解らない!詳しく聞けないか?」と言ってA4に説明を求める。


「あぁ。フォース、一旦落ち着こう。」

「落ち着いてられるか!?俺の部隊の二人だ!!!ママの予測がブレた時点で最少人数で遠征すべきだった!!これじゃあトゥーマの言うとおり生贄じゃないか!!!」


エイトが心配そうにフォースの近くによって服の裾を掴んだ。

「ダメだよここでケンカしちゃ。」か細くも透き通る様に聞こえる声でエイトがそう言うと

「悪い。」とフォースも落ち着き、冷静な会議が始まったんだ。僕は聞いてるだけだけどね。




A4はワイドローンにわかる様に説明を始めた。

「まず、ママについて。ママの予想死亡数はほとんどの場合外れる事は無い。遠征メンバーの犠牲によってハイドラに得られるメリットがデメリットを上回る場合、ザディウスが指示を出し特殊任務のGOサインとなる。


皆も知っての通り俺達の様なエージェントはレイドラ管轄ではあるが、教皇ザディウスの命令は絶対だ。アイドラが何と言おうと、何十人何百人の犠牲が出ようともハイドラにメリットがある限り任務は続行される。」


「俺も生贄だったって事だな。」ワイドローンも理解した。


「だが今回、最終予測でママは【予測不能】の結果を我々に出した。初め俺はこの任務にゼロかオニールが加勢に来るんじゃないかと思っていたんだが。」


「どうゆう事だ!?」え!?ゼロの他にも先行視覚持ちがいるのか!?やべ~~!!


「ゼロと言う人物。わかるか?俺達レイドラの最高幹部、ゼロやハイエンドドライバーの何人かが絡んだ案件は毎回予測できないんだ。そしてあいつらの【進化】は【先行視覚】。 カガミが有する一瞬先のビジョンが見える(ちから)。と同じなんだ。」



ワイドローンが唾を飲む。ゆっくり僕を見て驚いた目つきで口を開けてる僕を見やった時、信じられないのか

「それがハイドラの言う人間の進化なのか?!いやいや、嘘だろ、人間にそんな能力。」


横で聞いていたショウが

「でも現にさっき俺でもわからなかった銃弾を避けることが出来たのも、カガミのビジョンのおかげだろ。」と言って


「・・・あぁ、たしかに。」と納得せざるを得ない感じだった。


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