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イチゴサイダー  作者: 南野 東風也
第四章
178/264

178.懊悩期③ 死者の町②

吐く息が真っ白だ。


飛行機から降りた僕らは現地の協力者が先導してくれて死者の町に車で向かっている。

外気温は何℃だ!?ってくらい寒くってKPに寄生する様にピッタリとくっついていた。


協力者と運転手それから僕ら8人が乗るには窮屈な車だったけど文句は言ってられなかった。車の他のスペースには難民用の救援物資がねじ込まれていて一部梱包がなっていない段ボールからは毛布や食料が顔を覗かしている。


協力者のおじいさんは独白の様に話し出した。

「あんたらの依頼主をアメリカに亡命させたのは知ってるかい??無理やりだった。一緒にいたら殺されていただろうねぇ。アメリカに行けて良かったよ。噂のハイドラに協力してもらえれば何とかなるかもと期待してしまう。


リーダーが出てくるたびに紛争が激化するんだ。そりゃ国民も被害を被るし、難民もわんさか出る。昔からそんな土地だ。わしの生きてる間に平和が訪れるといいねぇ、戦争は何も生まないからなぁ。」


誰も返事をしなかったし要求もされていなかった。


暫く立って運転手が「もうすぐですよ。」と言ってきた。少ししてショウが

「なぜここは【死者の町】と?」

とおじいさんに聞くと優しい笑顔で説明してくれたんだ。


「あの町ダルガフスを死者の町と呼ぶ訳は、9~10世紀だったかなぁ、そのぐらい昔からそこが墓地として作られたものだからさ。」

そういって見えて来た町を指さした。


どう見ても普通の屋根のある家なんだけど。


「あの家屋に見える建造物の中には元々人骨がたくさんあってミイラもまだまだある。

18世紀の疫病によってここら辺に20万人いた人口も収束した時には2万人を切っていたとか。まぁ人災にも天災にも見舞われた歴史のある土地だ。 落ち着いたら観光にでもおいでなさい。意外と有名なんだよ。」


「なんでそのままなんだ??焼かないのか??」とすぐさま質問したKPはきっと疑問に思ったんだろう。


おじいさんは

「今あるものに関して焼かない理由はわからないが、当時は焼く人すらいなかったんだろう。病気にかかればそれを受け入れて静かにそこに向かい終わりを待つ。だから棺桶なんかじゃなく、温かみのある家の形をしているのかもね。木の船に入っている遺体もあるよ。死んだ時、魂があちらの世界に渡れるとか。」


「そうかぁ。」KPはそれで納得したのかそう答えた。


僕としては三途の川って海外にもあるのかなぁ?なんてな事を考えていたんだけど、それより何より【魂】とは何か少し気になったので忘れないようにスマホの何日か先のリマインダーに



【魂について考えてみる】と打った。

魂についてはゆっくり考えよう。見た事は無くても今までその存在に何度も関わってきた気がするぞ!もちろんゲームですが。何か??


【死者の町】じゃなくって【死者の宮殿】ならゲームで何度も行った事あるんだけどなぁ。

ネクロリンカ法で最強キャラを作るんだ!作り方はWebで。



改めて外の町を見やると避難民のせいか意外に人が多くって、死者の町は人骨が多いからコワいとか可哀そうって言う風に思わなく見る事が出来た。おじいさんの言うように最後の死に場所が温かい家だったら安心して死ねるのかなぁ、そんなことを考えてしまう。

あ、そもそも怖さは無いんだけどね。


現地に着き溢れかえる避難民の間を縫ってやや大きなテントを借りることが出来た僕ら8人。持ってきた救援物資は少ないながら子供に優先的に配られた、ボランティア活動をしていてジャンバーに【青年協力隊】みたいな表記が書かれてる人も見つけたから


「暴動が今すぐ起きる様な切迫した感じでなくて良かったな。」というショウの発言に仲間たちはウンウンと納得していしまった。


各国から送られてきた支援物資の中に

【MOH】と書かれていてメイドインジャパンの英語が右端に小さく記載されているものが目についた。


僕はそれを見てアークに、

〔MOH?? モー??牛?毛布??聞いた事ある??〕と聞くと

アークはイヤホンを介して


「牛では無いでしょう。支援団体か中の物を製造した会社か何かでしょうか??インターネットに接続できるようになれば検索しておきます。」と言われた。


結局僕が持った段ボールはひょいっと持ち上げられるほど軽くって一体何が入っているのか開けて見る間もなくボランティアの人に取り上げられ

「ありがとうございます!!」と言われて遠くに離れて行った。


サヨナラ!故郷にゆかりのある物資よ。ちょっと日本を思い出せてウルッと来たぜ。


すぐに聞き込み調査に散会した仲間たち。

テントには見張りとして僕とトゥーマ・ファルマの兄弟がいた。僕も活躍したかったなぁ~いや~残念。


他の奴らは寒空の下、聞き込みであたりをうろついてたけどそもそも喋れないしなぁ~僕は適任じゃ無いよね。


寒いからテントに体を入れてクチバシヘッドだけ出して外を見ていたら僕らのテント出入口すぐの地面に唾を吐いて去っていくビジョンを見た。


オッサンきったねーな!暖かそうな服も肩口が破けてるし。しょうがない、唾に砂でもかけて子供たちが触ってしまわないようにしよう。


地域のゴミ拾いをするおじさんの気持ちでヨッコイショ!と心の声を出しテントから出ようと思ったらちょうど後ろから引っ張られてトゥーマとファルマに

「カガミは何でハイドラに来たんだ?」と言われた。


マントの裾を引っ張られたもんだから僕は普通に前へ倒れる形でどてっとコケてしまった。顔面が地面にぶつかる。いって~~!!

ここに来てもマヌケを晒してしまう自分が情けない。恥ずかしくって照れ笑いを周りの人にしようと見上げた。

クチバシフードで見えないけどね。


するとだ。そいつは唾を吐かずにギョッと僕を見て走って逃げだした!!

あやし~~~~!!!一応捕まえるか!!






僕もすぐさま走り出した!!


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