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イチゴサイダー  作者: 南野 東風也
第三章
144/264

144.果断期⑨ ヘルサイ

「なぜヘルサイを使った?」

フォースがA4に近づき、低い声で問い詰める。



「俺の役目はお前の護衛だろ?しかも半分でも嘘をついた、それに誰かが助けるんじゃないかと思ったんだ、この中にきっとブレイバーがいるだろ?今、ヘルサイが刺さった奴か、以前俺を刺した奴、どちらかがブレイバーじゃ無いのか?」



ネネちゃんが「竜二君」と泣きそうになりながら近づく。ネネちゃんを押さえていたフィローラは憐れんでかネネちゃんを捕まえる手を離していた。


「全然深くない、少し刺さっただけだ。」と竜二が言って少し安心した後、ヘルサイと呼ばれる武器はポロンと地面に落ちた。


変な武器だった。ミュータントカメーズの武器にもなってる三つに分かれた枝の様な武器(サイ)が先端だけ尖った刃物になっている。


「傷が浅くて良かった。」と僕が言うと

A4は

「ヘルサイはこれからが、地獄(ヘル)だ。」と笑い声で言った。


「どう言う意味だ?」

その瞬間竜二が

「あ、熱い。ハァハァ、なんだ?ハァ、焼ける様に体が熱い。」と言った。近寄ったネネちゃんが竜二の痛みをリンクで分散していて苦悶の表情だった。


「竜二!!」「竜二君!!」倒れる竜二に僕らも寄って行くと、ハイドラの奴らは勢揃いしていて、



代表してフォースが

「すまない、こんなはずじゃ無かった。だか彼にはもう先が無い。

もうやめよう、無益だ。佐井寺ネネ、裏聖典を持っておとなしく君だけ来てくれ。」と言ったんだ。



竜二は苦しみながら地面を睨んで「ふざけるなよ!」と言っていたが、今の竜二は苦しさに耐え、立つ事が精一杯の様に感じた。


ヒカルが、急に「先生が戻った!」と言って振り返った。

ヒカルの肩を借りて足を引きずりながら近寄り、ゴリ先は


「ショウ。大きくなったな、やっと会えた。」


するとフォースは

「残念だが。人違いだ。」と言った。


ヒカルは睨みながら

「ウソをつくな!!心音がそう言ってる!ツクモ!春日さんの止血を!!!」と言うと

フォースは

「イチゴサイダーは触れなくても心音が聞けるのか?!」と言って疑問視していた。



「なぁ、ショウ、頼みがあるんだ、コイツを、竜二を助けてくれ。」

首を振るフォース。


「ヘルサイで刺されると。もう助からない。殺すつもりは無かった。すまない。今の俺たちに出来る事は、苦しんで死なない様に一思いに殺す事しか出来ない。」

と返された。



今出来る事を考えろ!!!




どうすればいい?


血だらけのゴリ先


撃たれた春日さん


竜二に寄り添うネネちゃん


異常状態の竜二


春日さんに寄り添うツクモに


先生に肩を貸しているヒカル。


僕は、僕は何をしたらこの状況を、打破できる?


僕が起こせるイレギュラーはなんだ?


僕には何ができる?






ボクはナンダ?








目を高速で動かしてビジョンと相談している自分が、

未来の自分と相談している自分がいた。わかった事は、







【僕は圧倒的に役立たずだ。】







僕がパチモンなら最弱のモタモン。







僕の使える技はたった一つだけ。








【へんしん】














歯が砕けるくらい強く噛みしめA4を睨んでこう思った。

【これをもってイレギュラーとしよう。】











ポケットの中で釣りホタルを折る。


フードの中でキャップをいつもの被り方に戻し、

噛んでいたガムを帽子のツバの裏側につけて、光り出した釣りホタルをくっつけた。


目を釣りホタルでキミドリ色に見せ、マントを脱いで帽子を深く被った。



僕は武器を地面に落とす。そしてフォースに懇願する様に泣きながら




「どうか、待って欲しい。待って下さい。裏聖典を持ってきます。ネネちゃんを解放してください。

僕が行くんじゃダメかな?【ブレイバー】の僕が。」


少し顔を上げて睨む様に目を見せる。






「か、カガミ。お前、」竜二が苦しそうだ。


アークの翻訳でA5は「ついに見つけた!確かにこの目だ。変わった色の目だ!」と言った


フォースとフィローラは2人で顔を見合わせて何かを話し合っていた。

竜二のコピーに気付かないハイドラ達。成功だ。


「そうか、やはり日本に裏聖典が存在したんだな、オマケにイチゴサイダーの5人全員いるときた。わかった、お前()来い。」


5人全員?そうか、父さんのフェイク情報で2人が死んでる計算だ。


でも僕だけじゃ役不足みたいだ。ネネちゃんが必須なのか?


そこでツクモがフードを外して


「佐井寺ネネを解放しろ。その代わり俺も行く。()()と話がしたい。」と言った。


ハイドラ全員が「何!?」と言う反応だった。


フォースは

「お前、名前は?」

「カガミだ。」


フィローラが

「そっちは?」と言い

「ツクモだ。」と答える。


フォースが「わかった。カガミとツクモの2人が来てもらおう。裏聖典は絶対だ」と言われた。ネネちゃんが候補から外れることが出来た。




「裏聖典は数時間かかる場所だ、少し時間をくれ。」

ボクがそう言うと、

「ウソじゃないか確認する。」と言い僕の体を触って来た。


こいつ!!ヒカルの強化感覚か!?だけど触らないとわからない、ヒカルの下位互換かも知れない。


「とりあえず信用しよう。」と一人納得していた。


「ツクモは人質だ、もし万が一、他の奴らに伝わる様な事があればツクモを苗床に【ほろびのうた】をこの街から発生させる。意味はわかるな?」


「【ほろびのうた】をもっているのか?!」ヒカルが聞くと


A5が、

「今ここにある」と薬が充填されているであろう小さな銃を見せつけてきた。


フォースが「ブレイバー!いや、カガミ。明日の夜明けまでだ。必ずここに戻って来い。」


そう言ってツクモを連れハイドラ達は闇に消えていった。

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