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イチゴサイダー  作者: 南野 東風也
第一章
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1.幼少期① 赤 緑

小説初投稿です。拙い文章で申し訳ありませんが、試しにご一読いただければ幸いです。

あの日の色は網膜に転写されたかの如く鮮明に覚えている。



 夏の暑い日、小さい僕には無限に感じた緩やかにカーブした長い長い上り坂、

ふもとからはカーブのせいで目的地はみえない。まるで登山コースだった。

景色はあまり見ずにアスファルトをにらみながら歩いていく。

もう僕も7歳だし歩いていくって言ったのは自分だがこんなに長いと思っていなかった。



歩き疲れて立ち止まり、水筒のお茶を飲みながらとなりで笑顔で見守ってくれている母さんに言った。


「あ、そーだ!いーこと考えた!ついたらアイスたべようよ!」


母さんは笑顔で 


「カガミはシュワシュワするからジュースがご褒美じゃなかったっけ??良いわ!でも

 アイスかジュース どっちかにしましょうね」

やったぜ!と思いながら 先にゆっくり歩き始めた母さんのあとを追いかけていくと急に振り返って


「あ、それと血を採る検査もあるから定期健診終わったあとね。」そこでおとすの?母さん笑顔がまぶしいよ。


がっかりしたけど目的地までもう少しだったので文句を言いつつも蝉の鳴き声のする坂をとことこと進んでいく。 途中、蝉に当たりそうな母さんの手を握り引っ張って助けてあげたんだぜ。高いやつ買ってくれよなー。



坂の中腹で左に逸れる道がある。そこが病院の入口だ、古くなった市民病院跡を海外の医療機関と国のタッグが買い取って旧病院を新しくした奇抜なデザインが出来た時は有名だったらしい。


その病院のもう一つの売りは有名な医者を国内外問わず招き執刀するスタイル。本当に腕の立つメインオペレーターを必要時にゲストで呼び名脇役として質の高い在籍医がそれを補助するという点で有名だった。


またロボット手術の遠隔治療でカナダの執刀医がリモートで手術をして世界一遠距離の初手術成功症例ってニュースで取り沙汰された事もあり、受付ロービーはいつも通り混んでいた。


病院のクーラーを感じつつ涼みながら足は勝手に何台も並ぶ自販機の方角へ。


母さんは「受付に行ってくるから欲しいもの選んでてね。」って言って診察券を出しながら小さくバイバイしてきた。

毎月定期健診で来ていたのでここは僕のテリトリーだぜ。今日買ってもらうアイス(高いやつ)を選びに来たわけだが、期間限定の味が更新され先月の【バレンシアオレンジ味】と違っていた!


「わぉ・・・スイカだって!!」  


 説明しよう世の中の自販機アイスには大きく分けて2種類ある。


 プラッチックに入った安いやつと・・・ワッフルコーンが付いてる高いやつだ!!!


しかし期間限定はその縛りから解放されたウルトラレア、なんと安いプラッチックに入っていて尚、

高い値段、きっと美味しすぎるためワッフルコーンとのコラボを拒否されたに違いない。


仮に期間限定味がワッフルコーンとコラボすることがあれば、それは量が少ないか

もしくは自信がなく大した味じゃないザコ。

もしくは本当においしい一級品 人はこれをレジェンダリーレアと呼ぶんだ。


僕はボソッと「今まで見たことがなかったなぁスイカ味。魅惑のツブツブチョコチップ。」と新発売の説明文をそのままつぶやいた後、いつも買っている左隣のサイダーの自販機に目をやり

「今回はゆるしてくれ」と言った。 再びアイスの自販機を見上げる。


大々的にスイカ味を宣伝していたがしかしマズった。モザイクのように見えるこの2色苦手なんだよね。段々と理解できないその色はチカチカして頭痛を引き起こし視界を埋め尽くしてきた。


スイカの【アカ色】【ミドリ色】実際のアイスのパッケージは淡いピンクに黒のドット柄で見てても何ともなかったのにやっぱ原色となるとキツイね。苦手な色を2つセットで見てしまうといつもこうだ。


「なんかヤバい感じがする。」後ろに倒れそうには感じるがいつも通りコワくはなかった。


母さんはこの状態になったらすぐ「危ないから安全確保!」って大きな声で注意してくるんだけどいまいちコワいという感覚や意味がよくわからなかった。


そのためいつも通り周りの確認をしたぐらいだ。ガラスは無いか、尖ったものは無いか

 人はいないか (おっと)

そこで背後に人の気配がした。(あ、人が近づいてるわー、2人も。マジごめんなさい) 


大人と子供?親子かな?時間の流れがゆっくりになったけど自分の動きが速くなるわけでもない

ただただ何もできない時間。 寄ってきた大人が心配してくれてる。多分支えてくれる温かい感じ。


めまいを起こして棒立ちになりゆっくりと頭から後ろに倒れるその時、

目線が近かったのか子供だけ顔が見えた。同じくらいの歳で青いリボン。鮮明に覚えていた理由は髪の毛がビックリするくらい真っ白だったから、今考えなきゃいけないことがすべてリセットされて「キレイだな」って思った。


そのまま床じゃない誰かの体に当たった僕は・・・気を失ったんだ。




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