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World Notes〜ヲノ〜  作者: 水皮 天
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リトライのノーツ

リズムゲームって書くの難しいね…( ´ ▽ ` )


「あっ開始する前にスキルセットしとかないと。んー、この場合は全部手持ちスキルでいいんだよね。よし、準備完了!」


 ヲノは手持ちスキルと呼ばれるリストに先程購入したスキル3つをセットし、ダンジョン攻略を開始する。

 序盤は草原のノーツを処理できる者であれば落とすことなくコンボを続けることができる。ヲノは初心者ではあるが、草原のノーツであれば問題なく正確に処理することができる。だが、問題となるのは中盤、多くの曲の二番からである。前回ヲノが失敗に終わった辺りでもある。


「流石にここからはきついよね……。【天奏】!」


 ヲノは早速購入したスキルのひとつを使用する。【天奏】は手を伸ばした先の、最も近いノーツを発動のタイミングで処理するものである。一見、かなりいいスキルにも思えるが、使えこなせないとリスクの方が大きい。リスクのひとつとしては、ミスのデメリットがある。このダンジョンではHPが20でスタートし、ミスで5のダメージ、バッドで3のダメージ、グッドで1のダメージ、グレート以上はダメージなしという設定になっている。そして【天奏】のデメリットとして「このスキルでグッド以下判定が出たときにダメージを倍にする」というものがある。つまりこのスキルでミスを出せばHP半分が一瞬で飛ぶことになるのだ。


「いっ…。」


 一直線に並ぶ20個のノーツを処理する今回の難所のひとつ。ヲノはここに来て初めてコンボを途切れさせる。HPの減少時には痛みが発生する。そこそこ強めのデコピンくらいの痛みではあるが、集中力が必要となるリズムゲームにおいてその痛みは大きな妨害となる。


「こんな早く使いたくなかったんだけど……。【鏡対】!」


 スキルの発動と同時に半球の膜がその場に現れる。その瞬間からヲノは、本来のノーツ量の倍の数のノーツを目にすることになる。そして、そこからヲノは中盤の間、ほとんどバッド以下の判定を出さなくなる。回復ノーツのおかげもあり、ヲノのHPは14で曲の終盤を迎える。


「ここからが勝負!」


 中盤を乗り越えたヲノのHPは一気に減少していく。終盤に入ってから10秒でバッド3回、グッド2回。辛うじてミスは出していないものの、もうこれ以上グッド以下は出せない状況まで追い込まれる。


「きついけど、諦めない!」


 必死で周囲に満ちるノーツを追う。普段のヲノでは間違いなくとっくに失敗しているレベルのノーツの量と配置。【鏡対】があるとは言え、ヲノの処理能力が上がっているわけではない。それでも未だにHPを維持し続けることができるのは、カミナに自分がクリアするところを見せたいという想いによるものである。これまで2人でハマった趣味がないこともあり、その想いはより強いものだった。


「あと少し……!」


 カミナのリプレイで曲を記憶していたヲノは、うっかり終わるまでの時間を考えてしまう。それが雑念となるとは知らずに。


「えっ……。」


 今のモチベーションのヲノであれば落とすことのないノーツだが、ヲノはそれに弾かれる。既に限界を超えていたヲノの集中力がプツンと切れ、意識が遠退く。そのまま地面に倒れ込みヲノは目を閉じた。


「…ノ!ヲノ!」


 カミナの声で、ヲノは意識を取り戻す。ダンジョン攻略に失敗し、意識がないまま街へと戻された自分をカミナが運んでくれたのだろうと推察する。


「よかったぁ無事で。本当に心配したんだからね!」


「ごめん、カミナ。」


 目から涙を零すカミナにヲノは謝る。


「まぁ無事だったから許す!けど、しばらくヲノは難しいダンジョン禁止ね!」


「ありがとう。」


「でもすごいね、ヲノは。」


「え?」


 ヲノはキョトンとした表情を浮かべる。無理した挙句ダンジョン攻略には失敗、てっきり怒られるだけと思っていたのである。


「実は【クロック】で時間を計測してたんだよ。私の予想だと【鏡対】ってやつを使っても2分くらいで終わると思ってたからね。実際にヲノが帰ってきたのは4分54秒。あの曲が大体4分23秒だから、準備とかを含めてもかなり終盤まで行ったんじゃないかなって。」


「えーと、たしかダーダダダッダッダダダって辺りまで行ったかな。」


「ふむふむ、ダー……。え?それって本当に最後の最後じゃん……。もしかしてヲノ、そのとき、あと少し!とか考えなかった?」


「え?なんでわかったの?」


「あー、やっぱり。それがなかったらクリアしてたかもね。よくリズムゲームとかって終盤にそう考える人いるんだけど、それって雑念になるから集中力を切らしちゃうんだよ。曲にも集中しきれないからリズムも取りづらくなるしね!」


「そ、そうだったんだ……。」


「それで?【鏡対】ってどんなスキルだったの?」


「んー、本当はプレイで見せたかったんだけど……。これ。」


 ヲノは【鏡対】のスキル詳細をカミナに見せる。



スキル名:鏡対

対応:手持ちスキル

効果:自身をを中心に半径3m球状の結界を生成。生成されたノーツはその結界を軸とした反対側にも生成され、どちらかを処理すればよしとなる。結界外のノーツを反対側に生成して結界から出てしまう場合、結界内にランダムで生成される。

持続:解除するかHPが0になるまで。



「これ…、使いこなすの相当難しいね。」


「え?そうなの?」


 一見すると「届かない」をなくす最高のスキルに見えるが、実はとんでもないデメリットが存在する。


「まぁでもしばらくは気にする必要はないかな。ただまぁそういう時がきたらその時に教えるよ。今日は早く休んでリラックスした方がいいだろうしね!」


「うん、分かった。それじゃあおやすみ。」


「おやすみ、ヲノ。」


 乃亜はゴーグルを外すと同時にベッドに横になる。乃亜が眠りにつくまで1秒もかからなかった。


リズムゲームだけで意識失うって実際あるのかなぁ。アーケードやり過ぎであちこちが筋肉痛になったことはあるけど。

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