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World Notes〜ヲノ〜  作者: 水皮 天
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ダンジョンのノーツ

今回もサブタイトルと内容がなんか合わなーい。

 ダンジョン内は一つの大きな部屋になっており、そのダンジョンに設定されている曲が流れる。ノーツは部屋中央の開始のボタンを押すことで生成される。そして今現在、ヲノとカミナはそれぞれでダンジョンに挑んでいる。このダンジョンにはトラップノーツやモンスターの妨害はないものの、難易度だけで言えば以前にカミナが攻略したダンジョンとそこまで変わらない。


「えっ、次はそっち!?しかもタイミング早いしー!」


 このダンジョンで難しいポイントとなるのは広い空間にランダムでノーツが生成されるという点である。そのため部屋の端から端まで動かされることも珍しくない。初心者のヲノにこれをミスなく処理するのは無理である。案の定、ミスによるダメージが溜まり、曲の中盤辺りでHPが0になってしまう。


「うぅ、やっぱり無理だよー……。そういえばカミナはまだ来てないってことは、続いてるのかな。」


 ヲノの予想通り、カミナはダンジョン内でプレイしていた。曲は終盤に差し掛かるがカミナのHPは1も減っていない。つまりはノーミスでコンボを重ねている。


「そろそろラストかな!じゃあ試しにこれを使おうかな!」


 円を描くように現れた周囲のノーツを、剣で薙ぎ払うように処理する。一見適当に振っただけのように見えるそれも、ひとつひとつのノーツの細かなタイミングの差も逃さず、すべてをperfect判定で斬っている。


「やっぱり今ので終わりかー。というかこれヲノにはまだ早かったな。後で謝らないと。」


 一切の疲れを見せず、カミナはダンジョンの奥の転移の陣からヲノが待つ街へと転移する。


「カミナおかえりー。クリアしたの?」


「まぁね。というかごめんね。結構難しかったでしょ?」


「うん。ただ上達してるっていう感覚はあったよ。さっき買ったやつも試せたし。」


「おぉ!いいね!その調子で上達してくともっと楽しくなるよ!」


「ほどほどに頑張るよ。」


 そんな会話をしているうちに、カミナが攻略したダンジョンがモニターに映る。


「おー、あれがリプレイ!なんかあそこに自分が映ると思うと恥ずかしいな。」


 ダンジョン攻略をするカミナの動きは、やはり人間離れしている。多くのプレイヤーがその動きを見るのは2度目になるが、それでも信じられないといった表情を浮かべる。


「ねぇ、カミナ。」


「ん?」


「私頑張るね。」


 ヲノはこの世界の中で唯一、カミナの攻略する様子を真剣な表情で観ていた。今まで見たことのないその表情にはカミナも驚く。


「この先が楽しみだな。」


 カミナはヲノにも聞こえない声で呟く。そして再び自分のリプレイ映像へ視線を戻した。


「さて、このあとはどうする?簡単なダンジョンを探す?」


「うーん。もう一回さっきのお店行ってもいい?」


「おっけー!私も今のリプレイでまた欲しいやつできたし!」


 2人は駆け足でルーテン工房へと向かう。


「おっ、本日2度目だな。いらっしゃい。」


「どーもー!」

「こんにちは。」


「さてはあれだな。さっきのでまた新しいスキルが欲しくなった感じだろ。」


 テンザは口元に笑みを浮かべながら推察する。


「まぁね!【クロック】ってある?」


「それなら腐るほどあるが、そんなの必要なのか?」


「うん、ちょっとね!」


「まぁいいか。ほいこれ。」


「ありがとう!」


 カミナが目的のスキルを買う中、ヲノは先ほど見たスキルの中から、今の自分に使えそうなスキルを引っ張り出す。


「すみません、これお願いします。」


 そう言ってヲノは2つのスキルを渡す。


「【浮遊】に、【天奏】。まぁ妥当な組み合わせだな。けどそれならこれなんかもどうだ?」


 テンザは商品棚ではないところからひとつのスキルを取り出す。


「【鏡対】?効果は……。えっ、これ……」


「いいだろ、そのスキル。」


「はい。だけど今明らかに脾臓のコレクションの中から出してきた感があるんですけど……」


「まぁ気にするな。確かにレアリティは高いが入手自体は楽だったからよ。」


「あ、ありがとうございます!」


 最終的にヲノは3つの新しいスキルを購入し、カミナと共に店を出る。


「さっきの【鏡対】?ってどういうスキルなの?」


「これは見せた方が早そうかな。さっき買ったスキルも試したいしもう一回あのダンジョン行ってもいい?」


「え!?ま、まぁいいけど……」


 カミナはまさかの提案に動揺する。カミナにとっては先程のダンジョンは簡単なものだが、それは多くの経験を積み重ねきているからである。もしカミナが今のヲノと同じ頃だった場合、いくらスキルが充実していたとしてもクリアはできないだろう。しかし、ヲノが失敗を前提としていないことはその表情から読み取れる。


「じゃあ頑張ってね!」


「うん、ありがとう。」


 ヲノはカミナに背を押され再びダンジョンへと入る。1回目とは違い、今度は絶対にクリアするために。

果たしてヲノはダンジョンを攻略できるのか!

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