お手伝いのノーツ
まぁ、裏話的な何かです。書いててこれなんの作品だっけってなってた。
「乃亜ー、起きてるー?」
「はーい。」
母に呼ばれ、乃亜は階段を降りる。
「おはよう。」
「おはよう。お父さんはもう車で待ってるから早く準備してね。」
「うん。」
乃亜は朝食だけ済ませると自分の部屋へと戻り、出発の準備を始める。目的地は実家、つまり天坂家が治める神社である。
「えっと、しばらくは泊まりになるからゲーム類も持ってと。あと忘れてるものは……、ないかな。」
持ち物を確認し再びリビングへ向かう。
「準備できたよ。」
「じゃあ行くよ。」
休む暇もなく、2人は父の待つ車まで駆け込む。そこから父の運転で2時間、休憩を挟み今度は母の運転で1時間ほどしてようやく目的地に到着する。
「毎度すまないねぇ、恵美さん。」
「いえいえ、これも務めですから。」
出迎えてくれたのは乃亜にとっては祖母にあたる人物で、とでもおだらかな性格をしている。
「乃亜ちゃんも久しぶりだねぇ。」
「お久しぶりです。」
「じゃあ乃亜は先に荷物を下ろしてきなさい。準備とかはこっちでやっておくから。」
「はい。」
乃亜は神社から一旦出て、近くの一軒家へと向かう。ここは年末年始やそのための準備の際、乃亜たちが泊まる為に用意された別荘のようなものである。そこで乃亜は巫女服へ着替え、神社に戻る。
「戻りました。」
「じゃあ俺たちも一旦荷物を下ろしてくるから、乃亜は清掃を頼む。」
「はい。」
場所が場所だけに、乃亜の反応はかなり丁寧になる。返事をするとすぐに乃亜は境内の清掃に取り掛かる。それからは一言も会話することなく1日を終える。
「はぁ、疲れた……。」
「お疲れさん。」
「まぁテスト前よりは楽だけど。」
乃亜は一足先に別荘へ戻り、真依と通話を始める。本当は真っ先にゲームを始めたいところだが、夕食もまだ食べていないためそうもいかない。
「そういえば乃亜。スキルの通知は確認した?」
「あぁ、あの【引納】っていうスキル?」
「そうそう。あれのことなんだけどあんまり使わない方がいいよ。」
「え?そうなの?」
「前にも言ったと思うけど今あるダンジョンってトラップノーツとかは通常のノーツをしっかり追えば気にする必要はないんだよ。だけどそれがランダムになるってことは意識を割く必要があるってことになるからね。」
「あっ、そっか。やっぱりゲームって難しいね。」
「まあその内慣れると思うよ!」
「ただいまー。」
「あっ、お帰りなさい。ごめん真依、一旦落ちるね。」
「うん、じゃあ今度は向こうで。」
通話を切り、玄関へ向かう。手荷物を持ち、リビングへ運ぶ。
「今から夜ご飯作るから待っててね。」
恵美は手際よく夕食を作り始める。乃亜はできた料理をテーブルに並べていく。
「じゃあいただきます。」
「いただきます。」
「いただきます。」
乃亜は久しぶりの家族での食事を楽しむ。学校についてや、友達との話など、親子の会話としては普通の会話ではあるが、乃亜にとっては新鮮な時間だった。
「ごちそうさま。」
「お皿はそのままでいいからお風呂入ってきちゃいなさい。真依ちゃんも待ってるんでしょ?」
「ありがとう。」
乃亜は急いで着替えをまとめ、お風呂に入る。
「ん、んーー。落ち着くな。」
ここまでゆっくりできる時間はなんだかんだで久しぶりである。最近はゲームやテスト、今は神社での手伝いで忙しいためこう言った時間は貴重である。
「そういえば私、プレイスタイルとかまだ決まってないな。」
せっかくの機会でもあるため一から考え直してみる。今のところ思いついている候補は2つ。ひとつは今のままこだわることなく、便利そうなものをどんどん使っていくスタイル。もうひとつは自分の武器でもある記憶力を最大限に活かせそうなスタイルである。個性を大事にするという面でみれば後者になるが、リズムゲームで記憶を活かすというのはなかなかに難しい。
「けど今のままっていうのはな。真依たちを見てると自分のスタイルっていうのも欲しいし……」
考えは結局まとまらず、ゆっくりと温まりお風呂を出る。そのまま用意された部屋へ向かい、念のため真依に連絡を入れたあとでゲームにログインする。
今後少し増える神社関連の小話。次作のための練習にもなってるんで、少々お付き合いください(>人<;)




